Episode 45「本日のメニューは“黒星豆の月見焼きカレー”――静かなる満月の夜、ただひとりの客」
その夜は――月が、とてもよく見えていた。
店の照明は少しだけ落とされ、
窓際の席には、誰の姿もない。
でも、グルモスは一皿だけ多く仕込みを始めていた。
グルモス:「満月の日は、“あいつ”が来る。
注文もしねぇ。話もしねぇ。
けど、月を見て、黙って食っていく、ちょっとだけ面倒な奴だ」
【本日の一皿】
黒星豆の月見焼きカレー ~銀米&黄身の宇宙月仕立て~
スパイス香る黒星豆のカレー。
表面を香ばしく焼いて、カリッと仕上げる“焼きカレー”仕様。
中央に宇宙黄身の目玉焼きを落とし、まるで“満月”のように。
静かに沁みる、夜限定の一皿。
扉が、音もなく開く。
誰もいないように見えるその隙間から、
空気が、ほんのわずか変わる。
窓際の席が、す…っと引かれる。
そして、一皿分だけ、
ゆっくりとカレーが消えていく。
誰も喋らない。
誰も笑わない。
でも――月だけは、よく笑っていた。
グルモス:「……来るだけで、月がうまくなるって奴も、いるんだよな」
食器が空になったあと、
残されたのは、銀色に光る“月の化石”のかけら。
グルモス、それをそっとカウンター裏に置いて、
今夜の営業を終える。
【店内・深夜のボソボソ記録】
スビョーン:「今夜もいたよな、見えなかったけど……」
ピヨヨヨ:「あの“月カレー”の香りだけで、俺泣けるんだけど」
ゴローニャ:「月って、うまいんだな……」
次回予告
Episode 46「“観察者・カグヤ”の密やかな報告――今、店に何が起きているのか」
満月の夜、そっと裏路地に立っていたのはカグヤ。
彼女は語る――
“この店には、確かに世界を変える何かがある”と。
ウルトラヒロイン、観察モード回。静かに、しかし確実に、何かが動き出す。




