Episode 40「本日のメニューは“銀花あんの星団だんご”――再来、透明怪人と“3つの想い”」
昼下がりのグルモス亭。
外は静かで、風もない。
グルモスは、なにも言わずに、
ただ、小さな団子皿を一つ、カウンターに用意していた。
【本日の一皿】
銀花あんの星団だんご(三種)
白:銀花あんで包んだ、ほんのり甘い定番
赤:ちょっぴり酸味のあるベリーあん。軽く主張する味
黒:焙煎銀豆の香ばしい大人味。しっとりと奥行きのある甘さ
一串で「ありがとう」「ごめん」「また来るね」の気持ちが込められた三連団子
扉は開かない。
でも、風鈴が一度だけ鳴った。
次の瞬間、カウンターの前の椅子が、
すっ、と引かれる。
誰も見えない。
でも団子が、ゆっくりとひとつずつ消えていく。
グルモスはただ黙って、湯飲みに温茶を注ぎ、そっともう一つ置いた。
誰にも見えない“ありがとう”の席。
団子が三つ、なくなったあと、
空の皿のそばに――一枚の紙切れ。
「あの日のうどん、心に残ってます。
この団子で、三つのこと、伝えたかったんです。
また、きます。」
グルモス:「……おう。また来い。
見えねぇけど、お前の気配は、もう店の空気に馴染んでる」
【店内・超小声ボソボソ】
スビョーン:「風鈴、鳴ったな……あれは来てたよな」
ピヨヨヨ:「団子三つって、なんか泣けるよな……」
ゴローニャ:「“見えない常連”って、なんかいいな。店ってそういう場所だよな」
次回予告
Episode 41「再来、カグヤ――“空席”に目を落としながら、彼女が静かに告げる未来のこと」
その日、カグヤはひとりでやってきた。
出禁組の誰もいないテーブルに目を落とし、
**「いつか、皆でまた来られたら…」**と静かにこぼす。
そしてグルモスは――無言で、ひと皿を出す。