Episode 34「本日のメニューは“金星りんごの冷やし甘煮”――初来店、熱が苦手な氷属性怪人!」
今日のグルモス亭は、窓全開。
冷気がふわりと流れ込み、店内がいつもより涼しい。
グルモス:「暑さがダメな奴が来る。
でも“冷たい”のが、“冷えたままじゃない”ってのを教えてやらなきゃな」
【本日の一皿】
金星りんごの冷やし甘煮 〜水星ミントと銀根ゼリー添え〜
酸味のある金星りんごを、星蜜と銀水でじっくり煮てから急冷
柔らかくなった果肉に、わずかなシャリ感とじんわり残る甘さ
添えられたミントとゼリーで、**“さっぱりと心までひんやり”**する一品
開いたドアから、冷気と共に現れたのは――
氷属性怪人・フリジェール。
細身で全身淡い青、目元は氷のマスク
常に周囲の温度を下げる体質
“ぬくもり”というものに、物理的にも心理的にも不器用
フリジェール:「……すまない。俺の体質は……この店にとって“迷惑”ではないか」
グルモス:「熱い奴も来る。冷たい奴も来る。
俺は“今の温度に合った飯”を出す。それだけだ」
一口、金星りんごを口に含む。
……カリ。
……じゅわ。
ほんのりとした甘みが、胸の奥で優しく広がる。
フリジェール:「……これは……冷たいのに……
なぜか、“温かい”と感じる……」
グルモス:「それは“甘み”が伝える、“今日も生きてていい”ってサインだ。
温度じゃねぇ、気持ちだよ」
【店内・ボソボソ気温低下中】
スビョーン:「いやマジで寒いけど……甘煮はガチで沁みた」
ピヨヨヨ:「温かくなりすぎた日常に、冷たい一撃って必要よな…」
ゴローニャ:「ここのデザートって、なんか…生き直す味なんよ…」
フリジェール、最後に手を合わせて言う。
「……今日、初めて“熱のない感謝”を覚えた。
ありがとう。グルモス亭よ」
次回予告
Episode 35「本日のメニューは“銀河焼きおにぎりセット”――ご来店、喋らない子ども怪獣」
その日やってきたのは、ちっちゃな影。
言葉を話せない、小さな小さな子ども怪獣――
グルモスが握るのは、何も言わなくても伝わる“おにぎりの形”。




