Episode 33「本日のメニューは“宇宙かぼちゃのとろとろグラタン”――“戦闘不能の怪獣”、初めてのリハビリごはん」
昼営業前のグルモス亭。
オーブンの中で、カチカチの宇宙かぼちゃがとろとろに変わっていく。
グルモス:「今日のやつは、“噛まずにすむ”くらいでいい。戦うのに使ってた歯じゃ、もう味わえねぇって奴に」
【本日の定食】
宇宙かぼちゃのとろとろグラタン 〜銀星クリームと焼き根添え〜
超高密度の“宇宙かぼちゃ”を48時間低温熟成して、とろとろに
銀星ミルクで作ったホワイトソースに、わずかに星塩
表面は香ばしく焼き上げるが、スプーンひとつで食べられるやさしさ
扉が開く。
入ってきたのは――元・前線怪獣“バトルグラウド”。
全身に古傷。右足は義足。
昔は火山を一撃で砕いた“破壊の雄”。
今は、杖をつきながら、ゆっくりとした足取りで店に入る。
グルモス:「……今日は、“戦わない奴”が来ると思ってた」
バトルグラウド、静かにグラタンを見つめる。
「……ああ。
これまで、戦うためにしか“食った”ことがなかった。
でも今、初めて“食うために生きる”ってのをやってみようと思ってな」
一口。
トロッと舌にとけて、
ほんの少しだけ、“涙”が出る。
バトルグラウド:「……生きるってのは、“熱くて柔らかい”もんだったんだな」
グルモス:「戦わなくなって、うまくなる味もあるってこった」
【店内・ボソボソ記録帳】
スビョーン:「あの人……昔、宇宙刑務所落としたって噂の……」
ピヨヨヨ:「でも今、“グラタンを静かに食う男”になってんだな……」
ゴローニャ:「食堂って、マジで“武器”より強い場所かもしれん…」
バトルグラウド、帰り際に杖を一度カツンと鳴らして言う。
「また、“あったかい飯”を頼む。
次は……もっと“未来の味”をくれよな」
次回予告
Episode 34「本日のメニューは“金星りんごの冷やし甘煮”――初来店、熱が苦手な氷属性怪人!」
来店したのは、常に冷気をまとう、極寒惑星の怪人“フリジェール”。
食堂の温もりがつらい彼に、グルモスが出すのは――“冷たくて沁みる甘さ”。
“熱がなくても温かい”を届けるデザート回、開幕!




