Episode 26「本日のメニューは“銀河だし巻き玉子定食”――“お代を払わない”謎の怪人がやってきた!?」
いつもより早く暖簾が揺れる。
開店準備中のグルモス亭に、ひとりの影がスッ……と入ってきた。
その名は――仮面怪人ビルダー。
無言、無表情、全身グレーのスーツに鋲だらけの仮面。
言葉を一切発さず、注文もせず、勝手に座る。
しかも、毎回お金を払わずに出ていく。
だがグルモスは、なぜか一度も怒ったことがない。
今日も言う。
「……お前の顔、だし巻き玉子が似合う気がしてな」
【本日の定食】
銀河だし巻き玉子定食 〜黒銀昆布だし/銀根すり流し付き〜
銀河昆布と星鮮魚の合わせだしを、手巻きでくるくると重ねる熟練の一品
口に入れると**「……うまい……って言いたくなるけど、言わないでおきたい」**優しさ
見た目は地味、でも**“帰ってきたくなる味”**として常連に密かに人気
ビルダー、無言で平らげる。
いつも通り、立ち上がり、出ていこうとする――その瞬間。
トン…
彼は、テーブルにひとつの“ネジ”を置いた。
それは、非常に希少な「重力調整機構の核部品」。
市場価値:銀河ギルド価格で2万クレジット相当。
グルモス、ぽつりと呟く。
「……やっと、お代を払う気になったか」
そして壁に、小さく貼り紙が増える。
「※ビルダー様へ:いつもの席、予約不要です」
【店内・ボソボソ通信】
スビョーン:「ビルダーってさ、過去に酒場で喋りすぎて舌切ったらしいよ」
ピヨヨヨ:「いやあれは“心が壊れて喋れなくなった説”もある。だし巻きで泣くって相当やろ…」
ゴローニャ:「グルモス、あれだけでビルダーの“好み”把握してんのやべぇな……」




