Episode 21「看板完成!でも誰も来ない!?孤独のオープン初日」
朝日――というより、流星帯の反射光が差し込むなか、
グルモスは、ピカピカに磨いた鉄鍋を火にかける。
小屋だった建物は、彼の手で少しずつ手直しされ、
ぼろぼろだった看板には、しっかりと書かれている。
「銀河食堂グルモス亭」
“美味いは正義。笑顔は無料。ケンカは即出禁”
けれど、客は……来ない。
昼を過ぎても、鍋から立ちのぼる湯気が、ただ風に揺れていた。
グルモス:「……はは、まあそうだよな。
ここ、流通ルートからも外れてるし、看板ひとつで来るやつなんざ……」
そのとき――
「……開いてる?」
扉が、軋んだ音を立てて開く。
入ってきたのは――
【一番客:セレナ】
服装はカジュアル、表情はクール。
でも、明らかに顔が赤い。
セレナ:「……たまたま通りかかっただけ」
グルモス:「嘘つくな。“あの匂い”目当てだろ?」
セレナ:「……少しだけ、懐かしくなっただけよ」
グルモス:「はいはい、じゃあ“いつもの”ってことで」
彼が作ったのは、あのオムライス。
でも今日は――
ソースがほんの少しだけ甘く、優しかった。
セレナ:「……やっぱり、あなたの料理はずるい」
グルモス:「そっちこそ、わざわざ来といてよく言うぜ」
セレナ:「……“ただいま”って言いたくなっただけよ」
グルモス、少しだけ顔を上げて、笑う。
「じゃあ言えよ。“おかえり”くらいは言ってやるさ」
そしてその夜、店の前にもう一つの影が。
アカリ(旅のかばん背負いながら):「あれ!?ちょっと、ほんとに店になってるー!!」
カノン(無言で香りをかいで微笑):「……この感じ、間違いねぇな」
ナユ(新しいスパイス瓶片手に):「ねえねえ、“本日の日替わり”ってある!?」
銀河食堂グルモス亭――
今日、ほんとうに開店した。




