表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/50

Episode 2「激辛料理で口説け!灼熱姫の婚約試合」

灼熱の惑星カプサーラ。

降り立った瞬間、目に染みるほどの赤い空と、鼻の奥にズンとくるスパイスの香り。

大気中にカプサイシンが混じっているせいで、普通の生物なら3分で気絶するらしい。


「いい場所じゃねぇか……燃えるぜ」


グルモスはマスクもつけず、赤銅色の肌に汗を光らせながら、

“グルオーブン”を背負って、広場の中心に現れる。


そこは、婚約試合ブライドバトル会場。

周囲を囲む観客は何百人。皆、口にチリソースを塗りながら興奮していた。

中央には一人の女――燃えるような紅蓮の髪、鋭い瞳。

スピカ・バーニア。灼熱の姫騎士。


「またくだらん挑戦者か……この星の男は皆、私の舌を満たせぬ」

「甘さは逃げ。酸味は言い訳。真の愛は痛みと共にあるべきだ――!」


グルモスは腕を組んで言う。


「へぇ。じゃあ……“痛くて泣けるけど、もう一口食べたくなる”料理ってのはどうだ?」


その瞬間、スピカの眉がピクリと動いた。


「……ほう。言うではないか。ならば証明してみよ、“異星の料理怪人”よ!」


婚約試合、開始の鐘が鳴り響く――!


【スピカの料理:灼熱大地の激辛煮込み「カルナ・スープ」】

主材料:カプサーラ火鶏、地獄根ショウガ、極辛ウルボス唐辛子

調理法:唐辛子の煙で肉を燻し、スープに溶かす。食べた者は一瞬意識が飛ぶと言われる。

一方、グルモスは静かに調理を開始する。


「こっちは、“痛みを抱いて微笑む料理”といこうか」


使うは、銀河チリ・ゼラニウムと冷気トリュフ。

甘さも酸味も封じず、“冷たさ”と“辛さ”の波状攻撃を目指す。

名付けて――


「冷熱交差の灼冷ロール」

トリュフ香る冷製ソースで冷やした生地の中に、灼熱スパイスで煮詰めた鶏ミンチ。

一口ごとに辛さがぶり返し、それを冷たさが追いかける。

食べるほど、火照っているのか冷えているのか分からなくなる。

それでも、止まらない。舌が、心が、求めてしまう。


観客、沈黙。


スピカ、一口。


……二口。


「な、に……これ……“痛い”のに……やめられない。火照って……でも……落ち着く……!!」


そして三口目。


――スピカの頬に、一筋の涙が伝った。


「……私は、辛さしか愛せないと思っていた。けれど――

 この料理、私を許してくれる。『それだけじゃなくていい』って…言ってくれる」


結果:引き分け。

だが、スピカはこう言った。


「貴様……いつか私に、もう一度料理を食わせろ。

 もしもその時、また涙が出たら――その時こそ、私は貴様の嫁になってやる!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ