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1-6

その男も若者だ。

髪は短めだがダークブラウン。

水商売風ではなく都会的な垢抜けた雰囲気を持っている。

その若者はスクランブル交差点の人の流れを見ていた。

1回の青で300人ほどが動く?

いや400人くらいか? 

数えてるわけじゃないが1日の中で最も人が多いのが今くらいの時間?

それとも朝?


男はやっと動き出した。

いつからそこにいるのかなんて誰も気にしちゃいない。

そういうことが都会で生きるための最低限のルールでもあるようだ。

男はゆるゆるとした足取りでセンター街の中に入っていった。

繁華街の特徴として飲食店が多い。

男は飲食店に入ろうとはせずにブラブラと歩いている。

夜の散歩でもしてるかのようだ。

それにしても夜の街に集まってくる多くの人たちはどこから来てるのか?


男の足はセンター街から井の頭通りに向かっている。

井の頭通りを北に進んでいけばNHK放送センターがある。

そこに向かっているのか?


コンビニの前では数名の男女がたむろして話に夢中になってるようだ。

それぞれがアルコールやタバコを手にして大声で騒いでいる。

年齢的には高校は卒業してるだろうと思われる。

公共のモラルなんてあまり気にしないタイプの集まりのようでもある。


男はそんな連中の横をただ静かに通りすぎるつもりだった。

仲が良い男同志なら一般的にもよくあることだが、この場所でたむろしている男同志もふざけあっていた。

大声で殴り合いではなくじゃれあって暴れているようだった。

他の人に迷惑でなければギリで許容範囲と甘く見過ごす人もいるかもしれない。


その連中の中で最も体格のよいなにかのスポーツでもやってそうな男が静かに横切ろうとしている華奢な若者にぶつかった。

ふざけてジャンプしていて背後には気づかなかったのだろう。

いきなり大男に体当たりされた若者はちょうど左側から押されて避けることができなかった。

路上に倒される形になった。

ふざけていた男はそれに気づいていたはずだ。

後ろを振り返って助けようともせず謝罪もないまま。

何事もなかったかのようにふざけているのをやめる気配もなかった。

仲間であるらしい数人の女子はチラッと一瞥いちべつをくれただけ。


ふざけているほうはそれだけのことだと思うかもしれないが被害にあったほうはそうはいかない。

「悪い子」にはそれ相応のお仕置きが必要になる。


男はゆっくりと起き上がった。

その動きはどこか緩慢かんまんで不気味かもしれない。

背中には重そうなリュック、そして大きめのショルダーバッグを肩からかけている。

スローな動作でそのバッグからハンドガンを取り出している。

表情はなく無言だ。

沈んだ目つきでもある。




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