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「なんだ、これは?

ドアノブにストールが結ばれている?

なんでだろ?」


理絵から説明を受けた通りだ。

柚葉、ちょっと開けるよと声をかけてドアを押す。

重い。

ドアの向こうになにがある?


勝利の力ならドアを押して開けることが可能だ。

なにがあるのかわからないのでゆっくりと押していった。

時間をかけて勝利が入れるくらいまでドアを開くことができた。


勝利は上半身だけドアの隙間から室内に入った。

ドアの向こう側を見ると娘の柚葉がいる。

首にストールが巻きついて倒れている。

いや、よく見ると体が、背中が浮いているような?

そんな状態を見て勝利は理解した。


「おい、早く救急車。

急げ、早く」


「えっ、どうしたの?

なにがあったの?」


「いいから救急車。

急げって、娘が倒れてるって言って早く」


勝利は怒鳴った。

理絵は大慌てで下に降りていった。

スマホは下に置いてある。

119に電話。

焦ってしまったのと事情をよく把握できていないためしどろもどろになってしまった。

幸いにも向こうは慣れていて、まず住所と名前を求められた。


スマホを持ったまま理絵は階段を登り始めた。

途中で気づいて足を止めた。

救急車を待ってないといけない。

玄関で待っていることにする。

娘が気になって仕方ないが勝利がついている。


その勝利は完全に部屋に入っていた。

自分の心臓の鼓動が指先にまで走っているようだ。

自分の娘の頬に触れてみた。

ピクリとも動かない。

呼吸は、呼吸はすでにしてない。

首に巻きついているストールをはずしていく。

目が霞んで見えなくなってくる。

涙が止まらない。

サイレンの音が近づくにつれて嗚咽も大きくなっていった。



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