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2-3

そんな毎日が続いても柚葉は学校を休むことはなかった。

休まずにがんばった。

首謀者はわかっている。

でも柚葉からはなにも言わない。

言っても無駄だと思っている。

こういう人種にはなにを言ったって無駄。

そもそもがそこまで悪いことだとは思ってないだろう。


そして柚葉は決めていることがある。

絶対に泣かない。

涙を流せば負けてしまったことになる。

来年の3月までだ。

実質で2月まで。

3年生になったらクラス替えがある。

それまでがんばるつもりだ。

どちらにせよ高校を卒業すれば終わりだ。


そういう我慢強さと意地もあって2学期が終わって冬休みに入るまで柚葉は耐え抜いた。

ここまでは柚葉の勝ちだ。


大佐古家の日常は、平日は母親の理絵りえと柚葉の2人だけの夕食。

あとはジャックラッセルテリアが1匹いる。

父親の勝利かつとしは残業があるので8時代の帰宅になる。

3人での夕食は土日と祭日くらいだ。


さすがに晦日になると勝利の会社も正月休みに入っている。

1日中ずっと一緒にいるわけでもないが夕食は家族一緒だ。

年末なので外食はしない。


特別ななにかがあるわけではなくごく普通の夕食の時間が終わった。

柚葉は2階の自室に上がっていった。

勝利はリビングに移ってテレビをつける。

理絵は後片づけに風呂の用意と動き回っている。

ごくありふれた日常の光景だ。


30分以上も経って風呂に入ることができるようになった。

順番としては娘の柚葉に一番風呂に入らせている。

理絵が下から呼んでいるのに柚葉が降りてこない。

聞こえてないのかと2度、3度と声をかけた。

反応がないのでトントンと階段を上がっていく。


あら?

理絵は不審に思った。

娘の部屋のドアノブにストールが巻きつけられている。

見覚えのあるものだ。

柚葉が持っている大判のストールだ。

それがグルグルとドアノブにくくりりつけられている。

ストールの反対側はドアの上から部屋の中に入っている。


「柚葉、これなに?

えっ、大丈夫なの?

ちょっと入るわよ」


理絵はドアを押してみた。

どういうわけか重くて開けられない。

嫌な予感しかしない。

自分では対応できないと即座に悟り大急ぎで階下に足を向けた。

なにかおかしいから来てくれと理絵に言われた勝利とともに足早に娘の部屋の前まで引き返してきた。



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