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その歩道に1台の車が突っ込んできた。
原因は正月から飲んでいたアルコールが抜けきらないまま運転していたことによる飲酒運転だった。
この時は目を開けてられないほどの眠気にも襲われていてウトウトしながらの状態で車を動かしていた。
ブレーキを踏まれた痕跡はなかった。
このあたりでの法定速度は60キロ。
それよりは少しオーバーした状態で歩道に乗り上げてしまっていた。
この事故によって松岡修士(78)松岡京子(74)の高齢者夫婦。
北村愛美(41)主婦。
西田奈央(36)主婦。
柳田結衣(33)柳田舞(8)柳田大翔(5)の7名が亡くなった。
負傷者は6名。
事件としては飲酒運転による事故。
それに関しては計画性があるわけでもなく府中駅の北口にある府中警察署の交通課での現行犯逮捕になった。
この事故は犠牲者が多かったこともあり全国ニュースでも扱われた。
その第1報では確かに飲酒運転による事故だと報道された。
車を運転していたのは三治頼朝で当時56歳。
同乗者はいなかった。
自宅は文京区白山。
正月は府中市にいる親戚の家ですごしていた。
大晦日の朝にやって来てそれから常に飲んでいる状態だった。
この日も朝から少しだけ飲んでいた。
食材を買うために府中駅近くのスーパーに買いものに出た。
たいした距離でもなかったし酔ってるわけでもないと判断したので独りで運転して出てしまった。
ちょっとそこまでと軽く思っていた。
だが運転していてちょっとウトウトしてしまった。
我に返った時は全身に痛みがあった。
なにが起きて自分がどうなっているのかがわからなかった。
正月休みで不規則になってしまった睡眠不足にアルコール、さらに暖房の効いた車内などによって眠気に襲われたということでの大事故であったらしい。
この事故で三治も重体となって入院となった。
半年ほどで退院になった。
そのまま留置所へと移ることになる。
留置されても大丈夫だろうという判断があったからだ。
府中警察署に留置されて20日間の取り調べを受けることになった。
事件内容としてはそれほど複雑なものでもない。
運転していた本人も寝ながらであったためほとんど覚えてなかった。
だが7名もの死亡者と6名の負傷者が出てしまった大きな飲酒事故であったので危険運転致死傷罪ということで送致された。
身柄は立川市役所の隣にある立川拘置所に移された。