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5-1


大佐古の家に明るい未来が失われて6年がすぎた。

理絵は外に出ることがなくなった。

それどころか話すこともなくなった。

鬱の状態だ。

理絵の母親と勝利の母親は可能な限り大佐古の家にやってくるようになった。

それでもたった独りで家の中にひっそりといることも多い。

飼い犬も亡くなってしまったので無人かと思えるほど静寂の中ですごしている。


勝利は転職していた。

理絵のこともあるので残業がない会社へ移った。

収入は減ってしまったが未来を望まなくなったので生活できるほどの金さえあれば十分だ。

それよりも早く家に帰って家事をやらなければならなくなった。

これがもしも自分独りだけだったらどうなっていただろうかと考えることがある。

理絵を支えているから自分はまだ生きていなければならないと思ってるだけの毎日だ。


勝利の生活形態はこれまでとはまったく違うものとなった。

これまで家族とすごす時間もないほど忙しかったのが家事と妻の介護を中心の生活に変わった。

それでも午後9時になると一段落できる。

その時間から寝るまでの間はネット検索を行うようになった。

いじめ関連のものから刑事事件に関するものにまで目を通している。

自分でもよくわからなくなっているが「殺意」という感情は自分の中でまだくすぶっているんだと思う。


ある夜、検索をしていると奇妙なタイトルが目についた。

「あなたが恨みに思うことを教えてください」とある。

これは何だろうとクリックしてみた。

内容としてはタイトルのままで、なにが原因で恨みをいだくようになったのかを書き込んでくださいとある。

書かれた内容によって一般公開して読者からアドバイスをもらう。

稀なケースとして、あまりにも重篤じゅうとくな場合は専門家と相談してもらうことも有りると書いてある。


そして一般公開されている「恨みごと」を見てみた。

ざっと目を通してみてたわいもない内容のものが多かった。

一般公開されてないものも実際にはあるんだろうか?

そこらへんはよくわからないが書き込んでみようと思った。

どのように判断されるのかは知らないが、理不尽ないじめの実態を知らしめるために書き込んでみようと思った。


PCを使わずスマホで入力していたので思いのほか時間がかかった。

時々、テレビを見て休憩しながらだったので終わった時には寝なければならない時間になった。

いつもより夜更かしして4時間近くもかけて終わらせた。

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