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3-3

そこまで話を聞いて塚本は大きくため息をついた。

長田も同じだ。

で、これからどうするという話になった。


「おまえ、このままじゃヤバいぞ。

完全なDVじゃないか。

家を出たほうがいい。

お母さんのところに行けないのか?」


「塚本の言う通りだ。

早く移ったほうがいい。

お母さんの住所とか連絡先は知ってるんだろ?」


塚本と長田は説得した。

だが中学生が考えるほど簡単にはいかない。

親権がどうのとかややこしい問題がある。

そして夏休みも中盤に入ろうとしている。

この学年で義務教育が終わる。

ほとんどの生徒が高校に進学する。

良い高校に行きたければ受験勉強をしなければならない大切な時期になる。

塚本と長田は普通にして生活していれば受験に対しての時間も取れるし、例えば学習塾に行くなりの準備も十分にとれる。

矢波だけがそうはいかなかった。


3年生になっても3人は同じクラスだった。

新学期初日で欠席だったのは矢波のみ。

初日は授業がない。

ホームルームが終われば帰ることができる。

午前中で終わりだ。

塚本と長田は飛び出すように学校を出た。

向かう先は矢波の家だ。

12分も歩けば行ける。


家の前に着いた。

住宅地の中にある古い家だ。

矢波の祖父が建てた家にそのまま住んでいる。

建て替えどころかリフォームもしてないだろう。

ひっそりとしている。

ここまで勢いで来たものの、いざ矢波の家の前まで来てみると会うのに躊躇する。

果たしているのかどうかもわからない。


ためらってたって埒が明かないので意を決してインターフォンを押す。

鳴ってるのかわからない。

壊れてる可能性が高い。

「矢波、いるか?」とドアをドンドンと叩いたのは長田だ。

数回繰り返してしばらく待った。


ドアが開いた。

顔を出したのは矢波だ。

その顔を見て塚本も長田も息をのんだ。

顔が腫れている。

目の周りもおかしい。

内出血している。


「その顔はどうした?

誰にやられた?」


塚本には一瞬でわかった。

誰かからの暴力は明らかだ。

間違っても転んだとかでできる怪我ではない。

学校に来なかった、いや来れなかった理由はこれだ。

誰がどう見てもどうしたと怪しむだろう。



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