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「脅迫罪もね···
確かにいじめの首謀者としての名前は書かれています。
いますが、この誹謗した文書を作ったのがその人たちであると確証がないのです。
それこそ取り調べをして調査ということになります。
ですがせいぜい罰金までです。
その可能性も低いものと思われます。
SNSでの誹謗中傷でもせいぜいが7,000円程度の罰金になります」
参考にとB5サイズの紙の束と柚葉が書いたノートを見てもらった。
石塚弁護士はザッと目を通していたが、やはりこれだけではそうとうに厳しいということだ。
「学校側にも訴えていくつもりです」
勝利は語気を強くした。
あたり前だ。
長期に渡ってのいじめがあったなら気づいて当然だ。
気づかなかったというのなら、いったい毎日なにを見ているんだと言いたい。
「学校に対してそう訴えるのは可能です。
ただ学校側が認めるかはわかりません。
それと自殺したとの因果関係の問題もあります。
必ずしもいじめが原因ではなく、他の要因もあったのではないかと言ってくるでしょう。
そうなってくると民事もかなり難しくなります。
仮に裁判ということになっても分が悪くなることも懸念されます。
どちらにせよ、損害賠償などの裁判となると長引きます。
控訴をするとすれば5年、6年かかることになるでしょう」
ではどうするかということになる。
柚葉の事件は全国ニュースで流れている。
それでも扱いは小さなものだった。
学校名はメディアによってまちまちだった。
石塚弁護士にも同席してもらって勝利と重雄の親子は学校に乗り込んだ。
最初のコンタクトから少し時間が経っていた。
学校側でも独自の調査を行うので少し時間をもらいたいと返答があった。
しばらく待たされてやっと話し合いの場の調整ができた。
「私は異変があるとはまったく気づいておりませんでした。
このように書かれた用紙も見たことはなかったです。
えぇ、いじめが行われていたということも、その兆しもなかった。
揉め事もありませんでした」