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2-5

男が歩いていたら「悪い子」を見つけた。

見つけた限りは殺しておくべきだ。

なかなか世の中のために善いことをやってるんだけどね。

助けた親子も礼も言わずに逃げていった。


ちょうど信号が青だ。

無様に路上に転がっている「悪い子」は放っておいてサンロード商店街に向かう。

商店街の中に入っても誰からも声をかけられることはない。

道路側は大騒ぎになってるだろうが商店街の中は落ちついている。

ほんの少しだけアーケードの下を歩いてペニーレインと呼ばれている道路に入っていく。

まっすぐ進むと右手側にロフトがある。

その入口近くでまた揉め事が起こっている。


見たところでは学生風の集団。

6人だか7人だかで怒鳴り合いになっている。

まだ手は出てないようだ。

これからエスカレートすると殴り合いにでもなるかもしれない。

原因なんかは知らない。


それにしてもこの男の体は動かしやすいな。

貧相な体格で力はなさそうだが。

それはあまり関係ないか。

どうせ使うのは中国製のハンドガン。

それに広範囲をまとめて爆発させるための大物を背中にしっかりと背負っている。

完璧だよ。

どうせ使い捨ての体だし。

代わりはいくらでもいる。


邪道力「のっとり」は新嵩自身の精神を対象者の精神の中に潜り込ませるところから始まる。

対象者の意識、精神は強制的に深い眠りに落としこむことができる。

それに代わって新嵩が対象者の体の動きすべてを管理、支配する。

いってみれば精神寄生体とでも呼べばいいのか。


いろいろと実験は行っていた。

人間以外にも動物などにも「のっとり」ができるのではないかと思ったからだ。

独りで可能な限り実験を繰り返していた。

脳があって思考力がある動物へなら精神的寄生ができることが判明した。

試しているうちに知能が高ければ高いほど操りが安定することがわかった。

犬や猫よりも人間が最もベストだということがわかった。

それでも必要に応じて犬なんかの選択肢は十分にあり得る。

人間の場合でも男女なら男のほうが使いやすい。

女だと力加減がわからない。

慣れが必要になる。


さぁ、目の前で暴れてる連中をどうしてやろうかと思案していた。

異変に気づいた。

体がおかしい。

全身が痙攣してる。

あぁ、以前にもこういうことがあった。

拒絶反応だ。

何度も試してみて「のっとり」の支配が持続するのが6時間から8時間といったところだ。

原因ははっきりしている。

邪道力の力が弱いからだ。

これまでは「集め人」としてそれほど長時間で他人の精神の中に潜り込む必要がなかった。

時間的には短いほど「呪い」の仕事を終わらせることが最良だとされている。

これからはそうもいかないこともあるだろう。

新しい世界に飛び出したのだから。

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