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最初の銃乱射事件での目撃者は複数いる。

その証言をもとに当時の監視カメラ映像を調べてみても該当する若い男というのが何名も出てきて暗礁に乗り上げた。

公安警察の情報としても過激派グループや宗教団体の動きなどなにも見つけられてない。

捜査員の中からは「これはなんの目的もないただの無差別殺人」ではないかとの意見もあった。

そうだとしても自分を犠牲にしての無差別殺人はあり得ないとの反対意見も出てくる。

真相はまったくわからない。

捜査にあたる警察官たちもどこから手をつけていいのやらと混乱を隠しきれないでいる。


九本長政は異変に気づいた。

建物が揺れたので一瞬だけ地震かと思った。

だが音もする。

轟音だ。

凄まじい音。

なんだ、なにかが爆発した?


長政が経営する興信所「平安リサーチ」は渋谷区道玄坂にある。

センター街は目と鼻の先。

数百人もが一瞬で亡くなるような大爆発が起こってしまえば室内にいてもその影響は大きい。

いろんなものが床に転がったりしている。

揺れと大音響は長くは続かなかった。


この時の長政はまだ帰ってなかった。

調査報告書をまとめるために所内にいた。

所内にはもう1人いた。

調査員の薮井謙周やぶいかねちかだ。

元警察官で定年になる前に早期退職してきた54歳。

長政と同じく調査報告書を作成中だった。


「なに?」


薮井と目が合った。

無言だが首をかしげてわかりませんと示している。


「テレビをつけてみましょう」


薮井は立ち上がった。

部屋の中にはテレビが置かれている。

リモコンでオンにした。

長政も立ち上がってテレビの前まで移動した。

まだいつもの番組を放映している。

薮井が時々チャンネルを変えたりしてしばらく見ていた。

緊急ニュース速報に変わった。

まっ先に動いたのは地元であるNHKだった。

センター街で爆発が起こったとだけ流れている。

NHKからセンター街までなら車で飛ばせば3分で行ける距離だ。

地理的にも圧倒的に有利なテレビ局。


局の報道担当者が現場近くでライブ中継している。

詳細はまったくわかってないらしくて、とにかく近寄らないようにしてくださいと何度も繰り返している。

この近くで仕事などをしてる人や遊びにやって来た人も速やかに避難してくださいとも、もはや怒鳴り声になっている。

現場の状況は警察官や消防隊員たちの姿が見てとれる。

全員が慌ただしい。

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