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1-9

男は歩き始めた。

宇田川町に入った。

いま歩いてるのは井の頭通りだ。

この場所までくるとちらほらと人通りがある。

ほんの数分前の惨劇をまったく知らない人たちなのだろう。

なんのために渋谷の街を歩いてるのか?

それはこれから起こるであろう目的のための練習だ。

とにかく人混みの中でもしっかりと体を動かせるようにしておくためのもの。


東急ハンズの近くを歩いてるとサイレンの音。

来たかと思って足を止めた。

一瞬だけ逡巡しゅんじゅんして足はセンター街に向けた。

ここにきてなんだか体の動きがさらにぎこちない。

自分の意思がうまく体に伝わってないようだ。

わずかではあるが体の反応が明らかに遅れている。

ひとつの体に2人の人格があるから精神力が強いほうに優先されるのかね?


渋谷駅に近づいていけば警察官の姿も見えてくる。

それも複数。

もっと集まってくるんだろう。

誰かが通報してくれたわけだ。


惨劇のあった場所まで戻ってきた。

ほんの数十分前なら普通の日常があった場所。

今は立入禁止のテープが張り巡らされていて人だかりができている。

犯人は現場に戻るというが今回はその通りだ。


救急隊員たちが担架でテープの外に出てきた。

現場にいた人間は全員を殺害しているのですべてが遺体だ。

パトカーに救急車、警察官に救急隊員にやじ馬と賑やかになってるじゃないか。


男はこの場を離れようとした。

右足が上がらないって。

いよいよダメか。

それじゃ、ここでお別れだ。

独りじゃないさ。

み〜んないる。

ほら見てごらんよ。

こんなにも人が集まってきてくれてるじゃないか。

カウントダウンをしよう。

10···9···


2···1···大音響。

夜の渋谷の街で大爆発。

男が背負っていたリュックの中には5キロものセムテックが詰め込まれていた。

爆発の中心である男から半径50メートル内にいた者で生存者はいない。

のちの現場検証でも何名が亡くなってしまったのかは不明。

それぞれの体がパーツごとに四散してしまっているので終始がつかない状態だった。

推定ということで100名以上と警察発表ではあったが実際にはまったくわからなかった。


いったい何者が自爆テロ?

そう考えてしまうのはつい最近のこと、神奈川県であった自爆テロと似ているからだ。

そうなるとなんらかの武装集団によるテロ行為だと考えられる。

ネットでは俺がやったとフェイクの書き込みがあった。

発信者はすぐ調べられて逮捕されている。

本物の実行者からはいっさいの犯行声明が出てこない。

目的はわからず実行者とともに謎のままだ。

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