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君へ  作者: 堂本実和子
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二人の思い出と、私のダメなところ



声にならない思いが、溢れだしそうになった。もうすぐフジテレビに着いてしまうから、だから今が、今が勇気を振り絞る時なんだ。

そして、やっと言えたんだ。

『あの、寒いから、手繋いでくれませんか?』


『う、うん』



向こうはちょっとびっくりしてた様子だった。




これが、私達が大切にしている[おもいで]だ。




話を少し戻して、なぜ今、彼を苦しめているのか。

それは私だと言った。私はアルバイトをしていた。しかしあるとき、行けなくなってしまった。


いわゆる[うつ]にかかってしまったのだ。


でも、これは彼に出会う前からそうで、それでも薬を飲みながら、バイトをしていた。

けれど、付き合って1年ほどで、完全に仕事に行けなくなった。


朝、仕事に行くために支度をしなければいけないのに、眠くて眠くて出来ない。体が動かない。行きたいけど行きたくない。休む為の電話さえも出来なくなっていた。


普通の人から言わせれば、[怠けてる][我が儘][ずる休み]になるだろう。

確かに自分でも、ダメ人間だと思った。


そして、それを彼に相談した。私は少し現実逃避していたのかもしれない。

でも彼は、私を励ましつづけ、話に耳を傾けてくれた。

私が働けない、ということで一緒に暮らすことになった。

けして彼の収入が多い訳ではなかった。だから、私の心が落ち着いたら、アルバイトをしなよ、という約束をした。



彼との毎日の生活は、とても新鮮で楽しいものだった。3ヶ月経った頃に、アルバイトを見つけた。なんとか頑張って、楽しさも見いだせていた。


それからまた半年経った頃、また嫌な予感がした。


仕事に行けなくなってしまった。せっかく頑張ってきたのに。普通に会社に行きたいのに、行けないのだ。

1ヶ月間休みをもらえたが、結局続かずに辞めた。


彼は仕事しろとは言わなかった。ただ、規則正しい生活をしなさいと言った。

私は、心が軽くなった気がした。行きたいのに行けない自分が苦しかったから。


そして、仕事を辞めたのをきっかけに、薬をやめようと、彼と話し合いをして決めた。

薬には副作用で眠気があったり、家事が出来ないことがたびたびあったからだ。

彼は、将来の為にも、ずっと薬を飲み続けていても、今のまま変わらないんじゃない?という考えだった。

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