自然農という考え方
自然農というのをご存じだろうか。有機農業とは少し違うのでまずは概要から入りたいと思う
現在農業は化学肥料や農薬を用いて行われているが、そうした肥料や農薬に含まれている化学物質は土壌や周辺の生物、ひいては人体に有害な場合がある。したがってそうした化学肥料、農薬を使わない方法を一般的に有機農業というわけである。ただこうした有機農業でも肥料は用いる。腐葉土や牛糞等出来るだけ自然によって創られるものである
自然農はそうした肥料も用いない。正確には人の手によって作ることをしないというのが正しいと思う
全てを自然のままに任せる農法を自然農というわけである
では自然農を行っている人々は何故有機農業を行わないのかということであるが、皆さん総じて「人の手によって作る物は大なり小なり有害な化学物質を含んでいるから」という意見に集約される。一般的な農法で有害な化学物質を含んでいるのは分かるが有機農業は自然の物を肥料に使っているから化学物質なんて含まれていないのではと思うが彼らからするとそれは間違いなのだとか
例えば牛糞。牛が排泄したものであるが、そもそも牛が食べている飼料を育てるときに化学肥料や農薬を使っているかもしれない。腐葉土も分解させている植物自体がそうした化学物質によって成長させているかもしれない
肥料を商品として安定して売り出すには量がいる。量がいるということは少しでも多く育てるのが肝心で、多く育てるためにどこの販売業者も化学肥料を使っているだろうということだ
彼らは肥料として山、川などで落ちている竹、枝、或いは農業中に生えてきた雑草を用いる。化学肥料も農薬も使わない、故に有害な物質も含まれていないそれらの物品は畑の肥料として最も適しているそうだ
また彼らは自然農の重要な要素となるのは微生物だとよく言う。雑草は毎年同じような場所に同じように生える。人間が育てるために肥料や農薬をまくわけでもないのにだ。植物はそもそも人々が育てようとしなくても勝手にすくすくと成長するのである
つまり地中は人々が立ち入らなくてもよいほどのサイクルが既に形成されており、そのギミックのメインが微生物にある
微生物は原初の時代よりこの地球に存在した。地球の初めての生命は微生物だった。そこから幾多の進化の過程を経て今現在の地球の環境を形成しているわけであるが常に微生物は生態系の最下層にて素晴らしい働きをしている。人々が余計なことをしなくても微生物が植物や動物の死骸を分解し豊かな土を作り上げることで新たな植物を育て、それを動物が食べ、また死して土に還るというサイクルは何億年と繰り返されてきたのだ
ただ、化学肥料はそうした微生物を殺してしまう。人々な余計なお世話が短期的には多くの作物を作り上げるが、長期的に見れば人々は毒にまみれた作物を口にし、そして土壌に対してもダメージを与えてしまう。だからこそ化学肥料や農薬を使わず、化学肥料によって作られたと思われる有機肥料も使わない方が農業としては完成された形であるのだそうだ
最終的に彼らの意見を総じるとこのような結論に至る。「自然の恵みは自然本来のサイクルに任せるべきであり、それを破壊するような農業は長期的には自然を、ひいては人類を殺すことにつながる」のだと。また「化学肥料なんて使わなくても自然に任せれば、一般的な農業よりも多くの収穫が約束されているのに、この素晴らしい方法が広まらないのは政府の意思と利権が絡んでいる」とも述べている
この政府の意思と利権については別の機会にまとめたいと思う
色々書いてはきたものの自然農を進める人々は「子供たちに安全な食事をさせたい」という善意から来ているのは忘れたくない部分であり、現在衰退しつつある農業に関して考えさせられる部分なのではないか