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助けた人は龍で、騎士で、美形貴族  作者: たかむら
第四章 戻ってきました、龍の国
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我慢と理性とお勉強と②



 城下町から帰って来たあと、私はリュカさんから破廉恥極まりない性教育を受けた。

 やっぱり一緒だった。



「十分分かりました!」

「では実践といこう」

「それはルシェールに帰ってからじゃないんですか!?」

「夫婦なのだからいつ何処でしようと問題ないだろう」

「まだ心の準備ができてませんッ」

「では私に触るだけで良い」



 リュカさんが私を優しくベッドに押し倒し、距離を縮めてきた。

 うわー!薄い本が分厚くなりそうなくらい顔面良ッ!しかもいつにも増して美しいというか色気が爆発している!文二と大福に助けを求めようと二匹の居る方に目を向けると、大福は窓辺で寝ており文二は“ヤっちゃえ”と書いてある黒い団扇を持って左右に振っていた。

 文二ぃぃいいい!




「コハルは私が欲しくないのか?」

「いえっその」

「私はコハルと早く繋がりたい。それに」

「それに?」

「いや、何でもない」




 そう言ってリュカさんは私のおでこにチュッとリップ音を立て、ベッドにごろんと横になった。

 

 ベッドからは夜空が見える。

 世界は違っても夜空は似ていて、たまに流れ星も流れる。



「今日はよく流れ星が流れますね」

「ながれぼし?」

「はい。ほらっ今も!」

「あれは鬼婆だよ」

「あれが鬼婆!?地獄畑を荒らしたサンタ猿の皮を剝ぐ為にエキセントリックワニと協力してボラギン国の上空を飛んでいるというあの噂の鬼婆!?」

「よく覚えているね。偉い偉い」

「あまりにも衝撃的な内容だったので。鬼婆って発光してるんですね」

「速度が速すぎて発光しているように見えるだけだ」

「そうなんですね。鬼婆はドラゴンの飛行速度よりも早いですか?」

「どうだろう?競った事がないから分からないけど、負ける気はしない」

「リュカさんって意外と負けず嫌いですよね」

「コハルには私の格好良い所を沢山見せたいからね」

「?リュカさんの“格好良い”と私の“格好良い”ってちょっとズレが有りますよね」

「そういえばそうだな。コハルは特殊な感性をしていたね」

「え!?私の方!?」




 リュカさんとは小動物やもふもふが好きな所は一緒だけど、その他は結構ズレている。旅の道中に出会ったスライムを私が可愛いと言うと彼はドン引きしていたし、リュカさんが造形が美しいといって捕まえて来た空飛ぶ骨魚はぶっちゃけ気持ち悪かった。




「鬼婆何してるんですかね」

「興味ない」

「えぇぇ」

「コハルからキスをしてくれるなら教えよう」

「じゃあ大丈夫です」

「はぁ。“にんげん”の恋愛の仕方が分からない」

「んにゃ!小龍よ、ニホンで入手した本を授けよう」



 文二がフンスフンス!と鼻息を荒げてリュカさんに本を渡す。

 表紙にはあはんうふんな男女二人が描かれており、帯には空前絶後のラブロマンスここに極めり!と書いてあった。



「それただの18禁本んんー!何処で手にしたの文二!?」

「草むらにゃ。向こうにおったとき捨ててあった」

「なんて古典的な!」

「18きん?」

「18歳以上しか読んじゃ駄目な本のことです」

「それなら私は読めるな」

「いや読まなくて良いです。文二もリュカさんに渡さない」




 文二から本を取り上げ、ルイーゼを呼び彼女にそれを預ける。

 処分しないのは決して私が読みたいからではない。決してそんな理由なんかじゃない。

 本には何度も読み返した爪痕があった。きっと文二が何度もページをめくったんだと思う。だからこの本は、もしかしたら文二にとって大事な物なのかもしれないと思ったから。それに久々に見る日本語が懐かしかったから。だからルイーゼに本を預けた。



***


 翌日私はルイーゼから謝罪を受け、その内容に驚く。なんでもあの本を読んでしまったらしい。字は読めなかったが絵が生々しく過激で最高に心躍るものだったと感想も添えられた。



「この本は聖書(バイブル)です!」

「え?」

「私の聖書(バイブル)です!」

「もしかしてこの世界にはえっと、そういう本ないの?」

「ございますよ。魔力を流すと浮かび上がってくる貴族御用達の物や誰もが買えるような安価な絵巻きや小説、歌等がございます。貴族御用達の本は音や動きも加わってより生々しいですよ」

「そうなんだ。ルイーゼは貴族御用達の見た事ある?」

「はい。ですが昨日コハル様から託されたこの絵本の方が双方の心理描写や角度、なんと言っても美麗な絵!様々な楽しみ方ができて心が豊かになります!」

「へぇ~。リュカさんに見つからないようにね」

「早朝に読まれていましたよ?」

「え!?」




 そうだった。私はルイーゼに預けただけでリュカさんに見せないでなんて一言も言ってなかった。

 あちゃー。でもリュカさん何も言ってこなかったな。


 朝食を食べ終えた後、私は仕事に行くリュカさんを見送り大福と文二のブラッシングを始めた。この国に滞在するのもあと一週間。鬼はパンツを作り終えたのだろうか。私もリュカさんにプレゼントしようかな。嫌がられるかな。




「ルイーゼ、リュカさんに鬼のパンツプレゼントしたら喜んでくれるかな」

「それは…流石に遠慮されるかもしれないです」

「やっぱり?」




ブクマや評価が増えてる!嬉しい!ありがとうございます!

更新が一ヶ月も空いてしまいましたすみません(;´Д`)

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