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助けた人は龍で、騎士で、美形貴族  作者: たかむら
第三章 再出発します、龍の国
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血の一週間



 害獣駆除した場所が緑あふれる大地になり精霊まで住み着くというミラクルまで起こした私たちは、国王様からいたく感謝され、王宮にある迎賓館へと招待された。

 本当はすぐにでも次の国へと依頼をこなしに行きたかったが、後でもし広大な大地にどうやって木々や草花を生やしたのか、精霊はどう呼び寄せたのかと聞かれると後々面倒なのでウメユキさん、ユメヒバナさん、フィーさんが迎賓館に宿泊してくれる事になった。

 もちろんただの“おもてなし”という可能性もある。だが念には念を入れて行動をしようとウメユキさんとリュカさんがブルリモン国側からの招待を承諾した。

 今の内にちゃんとブルリモン国の感謝を受け取っておけば、後々「あの時のお礼をしていなかったのでさせて欲しい」と言われて根掘り葉掘り聞いて来ようとしても、「もうお礼は既に頂いているので十分だ」と突っぱねる事ができる。それを聞いた時なるほどとも思ったが、政治の世界は難しいなとも同時に思った。

 

 私は残念ながら月のものと重なり体調不良となってしまったため迎賓館には宿泊していない。変わらずリゾートホテルみたいな宿に宿泊している。心配したリュカさんと大福、文二も一緒だ。

 できれば私が生理中の時はリュカさんじゃく、フィーさんに残って欲しかった。でもそんな我儘は言えない。


 私はベッドに横になり、文二が渡してくれた桃色の痛み止めポーションを飲む。今日の文二は白猫姿だ。可愛い。大福は私のお腹を温める為なのか、私のお腹の上で丸くなって眠っている。




「ぶんじ…ありがとう」

「にゃっ」

「りゅかさん、ぶんじとだいふくが居てくれてるので、げーひんかんに行かれても、大丈夫ですよ」

「私はコハルの傍から片時も離れたりはしない。それにこんなに苦しんでいるコハルを置いていける訳がない」




 違うんですよ。イケメンからの介護が恥ずかしすぎて嫌なんですよ。

 色んな意味で血の巡りが早くなるので本当にリュカさんには迎賓館に行って欲しい。でも純度100%の優しさと心配で残ってくれているから心苦しすぎて無下にできない。

 …でもやっぱり手ずからご飯を食べさせようとしてくるのは止めたい。

 食べにくいし、恥ずかしい。




「その、答えにくかったら答えなくても良いのだが…」




 珍しくリュカさんが言葉を詰まらせながら、私に問いかける。

 何が聞きたいんだろう。




「初日と二日目は血の匂いが濃いが、その、出血多量でコハルの目が覚めなくなるという事はないのか?私はそれが心配で」

「やっぱりリュカさん迎賓館に行ってください」

「嫌だ」

「私だって嫌です」





 私はリュカさんに背を向けて毛布にくるまった。

 その反動で大福がお腹から落ちてしまったが、すぐに毛布の中に入ってきたので「ごめんね」の意味を込めて頭を撫でる。お腹は痛いし、リュカさんにあの生理独特の臭いを嗅がれるしで今日はもう最悪な事だらけだ。昨日はブッチギリニューイヤーを見れてせっかく楽しかったのに。


 ブッチギリニューイヤーはメリーゴーランドで走っているようなような馬の事だった。

 メリーゴーランドの馬は白色が多いけど、ブッチギリニューイヤーは白色だけでなくパステルカラーのパープルやオレンジ、ブルー等、種類豊富で見ているだけで楽しかった。

 普通の馬との一番の違いは蹄をハンドベルみたいに鳴らして音楽を奏でていた事だ。広場で自由に音を鳴らすブッチギリニューイヤーも居れば、劇場で優雅に演奏するブッチギリニューイヤーも居た。演奏を聞きながら再度ブルリモン国の事をリュカさんに聞いた時、彼は怒ることなく一から私にブルリモン国について教えてくれた。

 この国は昔鬼人族の領地だっらしい。しかし特に田畑を荒らされた訳でもなく、むしろ外敵から身を守ってくれていたのでウーマ族からしたら有難い存在だったそうだ。鬼人族がこの領地を手放したのは自国からも遠く、特に何の利益にもならなかったからだ。

 ウーマ族と鬼人族の関係は今でも良好で、門が鬼人族しか開けられないのは昔の門をそのままウーマ族が使用しているからである。

 



***



 ふて寝していた私は夕方ごろに目を覚まし、お腹の痛みが消えている事に気付く。

 きっと桃色ポーションと大福のおかげだろう。寝ている大福を撫でると私の手にすり寄ってきた。リュカさんと文二は居ないようで、音のするキッチンの方へと足音を立てずに向かってみると、なんとそこには七匹に分裂した毛色の違う文二とリュカさんが一所懸命に料理をしていた。




「あっしが茹でる」

「某は分量を量る」

「洗うにゃ」

「三毛ネコの世話師猫は私が切った野菜の中に大きなものが無いか確認し欲しい。コハルの喉に詰まったら大変だ、窒息死してしまう」

「ニャッ!」

「砂糖は思うとる倍じゃ」

「容器が足らぬッ」

「味見係はワイに任せろっちゅーソイヤ」





 一匹凄いクセの強い喋り方の世話師猫がいる。それにしても毛色によって一人称が違う事には驚いた。

 ていうか何を作ってるんだろう。すごく気になる。あと世話師猫ズの頭巾が可愛い。エプロンじゃなくて割烹着なんだね。


 こっそりと最後まで見ているつもりだったけど私と大福が見ている事がバレてしまい、七匹の世話師猫達がこちらに向かって走ってくる。走って来る途中で世話師猫達は融合していき、私の元に来たときには白猫の世話師猫一匹になっていた。そして私の足をてしてしと叩く。




「抱っこしてほしいの?」

「にゃっ」




 前足をバッと上げて来たので抱き上げたら嬉しそうに鳴いた。

 世話師猫は普通の猫よりも2倍大きいので重さもかなりある。だから長時間の抱っこはきつい。






評価者とブクマが増えてました!あがりとうございます!!!

そして毎話イイネしてくださってる方!ありがとうございます!!!誰かが読んでくれてるんだなという励みになっております(´;ω;`)感謝!


おまけ~龍と猫~


「龍の子よ、小春が起きたら謝るが良い」

「?」

「心配は分かるが、小春にとって生理中の血の匂いは気になるもの。それに小春は匂いの意味を勘違いしておる」

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