表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
助けた人は龍で、騎士で、美形貴族  作者: たかむら
第三章 再出発します、龍の国
52/125

髭もじゃドワーフと魔石



 リュカさんに手を引かれるまま歩いて付いていくと、旧市街地に着いた。

賑やかな中心街とは違い、旧市街地には職人さんが武具や家具を作る音で響き渡っている。何度も道をくねくね曲がり突き進むと、大きなキノコで出来た家に辿り着いた。此処がリュカさんの知り合いがいる家兼職場だそうだ。

キノコの家に続く小さな階段を登ると、リュカさんがドアの鍵穴に合わせて背を屈ませる。

何をしているのか気になった私は、後ろからその様子をじっと見ていると鍵穴が喋り出した。





『合言葉を述べよ』

「愚か者は鍵を求め、探究者は知恵を差し出す」





リュカさんがそう言うと勝手にドアが開き、鍵穴は元通りのただの鍵穴に戻った。

何だかアンデルセン童話の世界に居るみたいでワクワクする。


 キノコの家の中は別空間と繋がっているようで、長い小道を歩くと大きな木の中にそのまま家を嵌め込んだ様な不思議な建物が現れた。家の中には沢山の鉱石が色ごとに乱雑に置かれており、古びた木の机が中心に置いてある。その机で何かを作っている髭もじゃの小人みたいなドワーフがリュカさんの知り合いだそうだ。そのドワーフに招かれ私達は木で出来た丸椅子に座る。





「久しいのリューシー。元気そうで何よりじゃ」

「ヨーディは相変わらずだな」





 リュカさんは気心知れた人にしか愛称を呼ばせないと前に言っていたので、このドワーフ族とはかなり親しい間柄なのかもしれない。リュカさんにお互いを紹介してもらい、私はコハールと呼ばれる事になった。ドワーフ族にとってリュシアンやコハルという名前は呼びにくいらしく、舌を噛んでしまうらしい。

そしてヨーディさんこそがリュカさんにあの四次元ポケットみたいなポーチを作ってくれたドワーフだった。私も大変お世話になっているのでお礼を伝えると、大層喜んでくれた。

四次元ポケットみたいなポーチは俗にアイテムボックスと言って作成するのに1年はかかるそうだ。リュカさんには大恩があったので3日で作り上げたというから、ヨーディさんは相当な技術者なのが窺える。




「大恩って何があったんですか?」

「昔儂がエイヤソイヤで間違った行先に魔力を流してしまってのぅ、トロールに治安の悪いリザードマンの国へと投げ飛ばされてしまったんじゃ。そこで虐められておった儂をリューシーが助けてくれての。そのお礼にアイテムボックスを作ったという訳じゃ」

「そんな事があったんですね」

「儂らドワーフは体は頑丈じゃが戦闘はてんでダメでの。モノ作りだけが得意なんじゃ。まぁ儂はちと他のドワーフと違うがの」

「?」

「ヨーディは鉱石の声が聞こえるんだ」

「凄いですね!」





 ここへ来た本当の目的は私専用の武器を作ってもらう為だとリュカさんが続けて話す。

私が正式な儀式ではなく違法で強引な世話師猫による仕業でこの世界に来た事をヨーディさんは知らないが、私がこの世界の住人じゃない事はこの部屋の中にある鉱石がヨーディさんに教えてくれたそうで、どんどん話はスムーズに進んでいく。

ヨーディさんに特別な眼があるわけではないが、私の周りにいる精霊が鉱石に事情を伝え、その鉱石がヨーディさんに説明しているらしい。

私の身体が完全にこの世界に馴染むと私も自分の周りにいる精霊が見えるとの事で、まずは寿命を迎えそうなウサギが居るのでそのウサギを安らかに眠らせようという話になった。


 

 ヨーディさんが鉱石を見ながら私が取り扱えそうな鉱石はどれかと探す。

しかし、どの鉱石も率先して声をあげるモノがいないらしく、ヨーディさんが「うーん」と顎を摩りながら悩む。




「コハール、お主もしや他の石を持っておるかの?」

「石・・・ですか?」




昨日採掘した鉱石はヴェルゴナさんのアトリエに置いてきているから無いはずだとは思いながらもローブのポケットに手を入れると、大福を助けた時に額から落ちた石が手に当たった。

それを差し出すとヨーディさんがこれだと言う。





「おお、よく喋る魔石じゃ」

「それはこの子の額にあった石なんです」

「そうかそうか、カーバンクルの魔石か。これは綺麗な炎をともすじゃろうな、ちょいと待っちょれ」






ヨーディさんに魔石を渡すと、魔石の形がどんどん変化していき指輪になった。

使い方の説明を聞きながら実際に指輪を嵌めてみる。

そろそろ寿命を迎えそうで衰弱しきっているウサギをヨーディさんが机の上に置くと、先ほど説明したとおりにやってみなさいと言う。

私は呼吸が辛そうなウサギのお腹に手を乗せ、ヨーディさんが作ってくれた指輪に魔力を流す。

すると大きな炎がウサギを包み込み、炎が消えるとそのウサギの呼吸は止まっていた。不思議な事に炎は全く熱くなく、真冬の寒い時期に暖炉にあたるようなそんな優しい温かさがあった。

そして私は意識を手放した。









前話にイイネありがとうございます!!!やる気に繋がります!!!ブクマは変わらずだったと思いますが閲覧者が少しづつ増えてるぅぅぅうううう!!!やったー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ