世話師猫とドラゴンの尻尾とツノ
誤字修正連絡ありがとうございます!!!そしていっぱい誤字脱字があってすみませんんんんん!!!助かっております!
採掘は午後3時頃に終わり、明日も同じ場所から開始できるようヴェルゴナさんが魔法を施す。そしてリュカさんの移動魔法で私達は瞬く間にアトリエへと帰ってきた。
帰宅後は採取した鉱石をアトリエに置き、私は泥を落とす為、文二と大福を連れてバスルームへと行く。お風呂は泡風呂となっており、こういう準備やベットメイキング等はまだ姿を現してくれていないヴェルゴナさんの妖精さんがやってくれているそうだ。世話師猫の文二よりもお世話をしてくれていると思う。当の文二と言えば泡風呂の泡で大福とはしゃいでいる。文二は世話師猫、なんだよね?
そういえば、文二は世話師猫なのに食事面では私の世話を全くする気が無いのか私にご飯を作ってくれた事は一度もない。むしろ私が作った料理をめっちゃ食べている。人の分を横取りするくらい食べている。食欲が凄すぎてメタボにならないかちょっと心配だ。
「おーい、そろそろ上がるよー」
「んにゃ!」
「キュキュー!」
二匹がぶるぶるっと水気を弾き飛ばす。
私は用意されていたバスタオルで身体を拭き髪を乾かそうとしたら、いつの間にか白猫姿になっていた文二が私の髪も含め一瞬で魔法で乾かしてくれた。
おお~。お世話してくれてる。ありがとうございます。しかも白猫姿の文二は初めて見る。たぶん。
文二にお礼を伝えてからリュカさんとヴェルゴナさんが居るアトリエに行くと、頭に獣耳を生やしたた筋肉質の男性とヴェルゴナさんが話をしていた。
彼はヴェルゴナさんが契約している飛脚で、獣人族の中でも足が速いウルフ族だそうだ。丁度荷物を届けに来ていたらしい。私がアトリエに来た事に気づいたリュカさんが教えてくれた。
そんなリュカさんは未だにフードを被ったままだ。何でそんなに顔を見られたくないんだろう。此処にはいっぱい人が居る訳でもないのに。
説明を聞きながら二人のやり取りをぼーっと見ていると、前に訪れた村で出会った獣人族の人よりも、今ヴェルゴナさんと話している獣人族の人の方が毛艶が良い事に気づいた。何故だろうと少し考えたが、ヴェルゴナさんが話す度にウルフ族の人のピコピコ動く耳と、無意識になのか揺ら揺らと揺れている尻尾が可愛すぎて思考は途中で放棄してしまった。
その揺れる尻尾を目で追っていると、リュカさんから『見すぎだ』と軽く注意された。そしてその声に反応したヴェルゴナさんとウルフ族の人がこちらに振り向く。
振り向いたウルフ族の男性もとても整った顔をしており、その逞しい肉体にあった凛々しい顔つきをしている。この世界にはイケメンと美女しかいないのか。そうなのか。目の保養になります。
「俺の尻尾が気になるのか?」
「あ、すみません。見すぎでしたよね」
「別に。気になるなら触ってみるか?」
「え!?良いんですか!?」
「良くない」
「えぇー。リュカさん止めないでください」
ガシッと私の手首をリュカさんが掴む。
そのままグイッと引っ張られ、優しく抱きしめられた。お陰で私の視界は今真っ暗だ。
「リュカさん前が見えません」
「コハルは私だけを見ていれば良い」
「そんな無茶な」
「無茶じゃない」
私を引っ張った際にリュカさんが被っていたフードが落ちたのか、ウルフ族の男性が驚いた声色でぽつりと呟く。
「龍…族か?」
「そうだ」
「本当に、実在するんだな」
珍しく激塩対応のリュカさんはそれ以降一言も言葉を発する事なく、私を連れて借りている部屋へと魔法で瞬間移動した。
部屋の中ではベッドの上で文二と大福がはしゃいでいる。
二匹のせいで綺麗にベッドメイキングされていたはずのベッドがぐちゃぐちゃだ。しかしリュカさんはそんな事には目もくれず、私の手を引いたままずんずんとバルコニーにあるハンキングチェアを目指して歩く。そして私を抱えてそのチェアに座ると、珍しく龍の角を出現させた。触ってみたいけど、触ったら駄目なんですよね?
「コハルは、獣人族のような耳や尻尾が好きなのか?ドラゴンは、その、嫌か?」
「嫌じゃないですよ。どちらも好きです」
「そうか。ではドラゴンのツノはどう思う?」
「格好良いと思います」
「私のツノもか?」
「はい。ドラゴンのツノを出現させている時のリュカさんは普段と違った雰囲気があって格好良いです。それに似合ってます」
「そうか、ありがとう。結婚しよう」
「暴走しないでくださいリュカさん」
「暴走などしていない。私は常に冷静だ。それにコハルと祝言を挙げたいのも事実だ」
リュカさんは本当に真剣なようで、彼からの質問はまだ続く。
「では、何故ウルフ族の尻尾や耳をキラキラした瞳で見ていた。それに、触りたいとまで…」
「私の目キラキラしてましたか?」
「していた。龍族の瞳よりも美しかった」
「それはリュカさんの目が疲れている可能性がありますね。眼精疲労の疑い有りです」
「それは無い。話を逸らそうとするな」
「すみません」
リュカさんはこの件について本当に真剣に話したいようで、いきなりツノを出現させた理由も述べてきた。どうやら私が獣人族の方の耳や尻尾を食い入るように見ていた事にヤキモチを焼いたらしい。だから『私には彼らに無いツノがある!しかもドラゴンのツノだ!』という事で出現させたそうだ。
どうしたんですかリュカさん。拾い食いでもしましたか。
何処に妬く要素があったのか全然分からない。
そしてリュカさんは少しだけ頬を紅潮させ『尻尾を触りたいのならいつでも俺の尻尾を触ると良い』と照れながら言ってきた。ツノは駄目だけど尻尾は良いんですね。というかイケメンの恥らう姿の破壊力が凄まじい。一気に私まで顔が暑くなってしまった。
「ウルフ族の方の尻尾を触りたかったのは、どれくらいもふもふしているのか知りたかったからです。別に尻尾そのものが好きという訳ではないんです。でもリュカさんの尻尾触りたいので今度触らせてくださいね」
「そうか。分かった。耳も同じ理由か?」
「はい」
「コハルは毛深いのが好みなのか…」
「んーちょっと違います。もふもふが好きなだけです。文二や大福みたいなもふもふです」
「私には無いものだな。ドラゴンのツノではダメか?私には獣人族のようなふわふわした耳はないが、ツノならある」
「でも触らせてくれないですよね」
「コハルが私の告白に答えてくれたらいつでも触ってほしい」
「えっと…」
「ふふ。コハルがOKしてくれるまで待つから大丈夫だよ」
「肯定しか受け取らない所がリュカさんらしいですね」
「一途に待っていると言って欲しい」
リュカさんはまだ私を解放する気がないのか、未だに私たちはハンキングチェアに揺られながら座っている。普段ならこの定期的にくる揺れが眠気を誘うんだろうけど、真後ろにいるリュカさんが居るせいで私の眼はギンギンに冴えている。これ以上は心臓が持ちそうにない。離れたい。でも後ろから抱きしめられているので逃げ出そうにも逃げ出せない。いつになったら終わるのだろう。本当にそろそろ限界だ。心臓が爆発しそう。
「リュカさんそろそろ放してください」
「もう少し」
「もう十分だと思います」
「私の傷ついた心はそう簡単には癒せない」
「繊細なんですね」
「それだけ傷ついているという事だ。普段こんなにも私はコハルの側に居るというのに、触れたいなどと一度も言われた事がない。それなのに初めて出会ったあのウルフ族には触れたいと言う…。恋がこんなにも苦しいものだとは知らなかったよ。こんな感情は生まれて初めてだ。本当にコハルは俺に新しい感情や知識を与えてくれるね」
「なんだか壮大ですね」
「それで、何故私には自ら触れてくれない」
「まだ続くんですか」
「私の傷が癒えるまでだ。で、理由は」
「それは、リュカさんが美しすぎて近寄りがたいからと言いますか、こう、遠目で見ていたいんです。眼福。みたいな」
「納得いかない」
「そんなぁー」
その後もリュカさんから色んな事を聞かれ、最終的に獣人族の尻尾や耳に不用意に触れないようにと約束させられた。そして私とリュカさんが遊んでいると勘違いした文二と大福が来たと事により、この色んな意味でドキドキする質疑応答は終わりを迎えた。
評価やブクマ、イイネがまた少し増えてましたぁぁああああ!やったぁぁぁあああああ!!!!ありがとうございますぅぅぅううういええええええええええい!




