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助けた人は龍で、騎士で、美形貴族  作者: たかむら
第三章 再出発します、龍の国
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ゴーラントバーデンで採掘です!




 今日はいよいよ採掘日だ。昨日はヴェルゴナさんにアトリエを紹介された後、夕食を摂りながら採掘する場所やルート確認などの打ち合わせをしていたら1日が終わった。本当はヴェルゴナさんが夕飯も何処かのお店を予約していたらしいけど、リュカさんの猛烈な我儘によって夕食は私が作る事になった。





「コハルちゃんは料理人かい?」

「違う。だが見たことも無いような美味しい料理をよく作ってくれる」

「へぇー。リュシアン君の舌を唸らせる程の料理か。楽しみだな」

「勝手にハードル上げるの止めてくださいねリュカさん」






 結局私はヴェルゴナさんに2階のキッチンへ案内され、豚しゃぶサラダとワイルドベアーのお肉を使ったローリエ入りのシチューを作った。2品とも皆の口に合ったようで良かった。

 ローリエ入りのビーフシチューを食べた後、ヴェルゴナさんは自身の体調の変化に気づき、体力や魔力の回復が上級ポーションよりも早く回復している事に驚いていた。そして美味しい食事を摂りながらそれらを回復できる事等について、かなり興奮しながら私が作った料理が如何にすごい事なのか熱弁し始めた。それを華麗にスルーしながら優雅に食べるリュカさんと、いつの間にかしれっと現れて大盛のシチューを頬張る世話師猫の文二、豚しゃぶサラダをキュイキュイと鳴きながら美味しそうに食べる大福。

 本当に自由だな。

 誰かヴェルゴナさんの相手をしてあげて欲しい。じゃないと私が一口も食べられないまま夕飯の時間を終えてしまいそう。


 そんな熱弁中のヴェルゴナさんは伝説級の世話師猫が現れた事にも驚き、彼の興奮が最高潮に達した時、リュカさんが一言静かに『煩い』と呟きヴェルゴナさんを氷漬けにした。可哀想に。でも雪まつりで見る氷の彫刻並みに彼は美しかった。そういう置物だよと言われたら『そうなんだ~』と納得してしまいそうな程に美しい。

 ヴェルゴナさんは黙っていれば超絶イケメンだと思う。だけど自分の興味ある事や好きな事の話になるとノンブレスで語りだし、最早息継ぎを何処でしているんだろうかというレベルで早口になる。そこが非常に残念だ。ちょっとヲタクっぽい所があるのかもしれない。特にヒートアップしてくると身振り手振りが激しくなったりする。だが一番驚いたのはリュカさんの行動だ。友達にも容赦ないんですね。




 そんな昨夜の出来事を思い返しながら洞窟へと入る。ヴェルゴナさんを先頭に黒猫姿の文二、私、肩に乗っている大福、リュカさんの順で進んでいく。鉱石の採取方法はまさかのトンカチだ。優しくコンコンと叩きながら折れるまで辛抱強く地道にやっていくらしい。ヴェルゴナさんがお手本に入ってすぐの所にあった岩から生えている鉱石を取ってくれた。物凄~く地味。魔法じゃないんですね。


 洞窟の中は広く、とても涼しい環境だ。私も採掘用のトンカチを貸してもらっているので試しにいくつか採取するつもりだ。

 洞窟内は一本道ではなく幾つもの道があり、たまに仕事中のドワーフ達とすれ違う。私のイメージでは彼らは小人くらいの身長かと思っていたけど、実際には屈強な戦士みたいにガタイが良く身長も高身長な人が多かった。


 ヴェルゴナさんのお目当ての鉱石はふらっと現れるらしいので、私たちはひたすら歩く。たまーにヴェルゴナさんが欲しいと思う鉱石が見つかると私も一緒に採取のお手伝いをする。

 今回彼が探している鉱石はフラワータートルと言って、亀の背に季節の花と鉱石が生えている珍しい動物だそうだ。そう簡単には見つけられないらしい。

 

 ヴェルゴナさんにお願いされた鉱石を採取していると、私の手際が悪かったのか文二が私の手の甲をてしてしと叩く。そしていつも斜めに掛けている鞄の中から猫サイズのトンカチを出して私にレクチャーし始めた。





「にゃ」

「こう?」

「にゃー」





 文二が短い足で×を作る。ダメって事か。何がいけないんだろう。

 人語を喋ると魔力の消費が激しい文二は必死で私にジェスチャーし、何かを伝えようとしてくる。文二の両足には先ほど私が採取した鉱石と文二が採取した鉱石があり、トンカチで叩いた箇所を私に見せながら『にゃーにゃー』と呟く。そして何かの動物の真似をしながら腰をかがめたり、寝そべる仕草をし始めた。






「なるほど。ブンジはコハルの採取方法だと鉱石が鋭利な状態になるため精霊が身体を休めに来た際に怪我をしてしまうと言いたいのだな」

「にゃ!」

「おー、なるほど。よく文二の言ってる事が分かりましたね」

「流石リュシアン君。世話師猫の伝えたい事も分かるなんて凄いね」





 

 その後、私は合格を貰うまで文二の短いモフモフの足で指導されながら採取を進めていく事となった。私しか指摘されないという事はヴェルゴナさんの採取方法はOKという事なのだろう。因みにリュカさんはあくまで護衛が仕事なので、鉱石採取には参加していない。

 

 ヴェルゴナさんのお目当てのフラワータートルが現れないまま、時刻は過ぎていく。


 そろそろ昼食を摂ろうとリュカさんとヴェルゴナさんが話し、やっと休憩時間がきた。

 お昼ご飯はリュカさんの鞄の中に入れさせてもらっており、出発する前にぱぱっと簡単に作ったサンドウィッチが入っている。カツサンドと卵サンドだ。


 何もない地面にヴェルゴナさんが魔法でテーブルをセッティングし、私はその光景に驚く。

 てっきり地べたに座って食べるもんだと思っていた。魔族の方はこういう所にまでこだわるらしい。

 数分も経たない内にお洒落なカフェみたいな椅子と机が出来上がり、自然に生えている鉱石が辺りを優しく照らしだす。コンセプトカフェみたいだ。


 リュカさんは慣れているのかセッティングが終わるまで腕組をしながら待っていた。

 ヴェルゴナさんの『お待たせ』という合図とともに、リュカさんが鞄からサンドウィッチが入っているカゴを取り出しドリンク等の準備もする。ちゃっかり一番に着席してカツサンドを狙っていたのは世話師猫の文二で、既に二つも確保している。世話師猫ってご飯のお世話とかはしてくれないのかな。


 みんなが椅子に座ったところで食べ始め、口々に感想を述べる。

 カツサンドや卵サンドは皆初めてのようだ。これは何?どうやって作るの?原料は?など、リュカさんとヴェルゴナさんの質問攻撃が凄い。

 因みにこの世界のサンドウィッチは主に生野菜を挟んだものか、焼いて塩を振っただけの肉が挟まれているものが多いらしい。肉を卵に浸し衣をつけて揚げる工程を説明したら驚いていた。

 一番人気はカツサンドで、今日の夕飯にもう一度食べたいとヴェルゴナさんとリュカさんからお願いされた。リュカさんは自分でも作ってみたいそうだ。そして私が説明している間ずーーーっと大福と文二はサンドウィッチを食べており、特に文二は私のお皿の上に置いてあるカツサンドまで食べようとしてきた。






「あ!こら文二!」

「嫌に゛ゃぁあ゛あ゛あ゛!!」

「世話師猫が喋った!?」

「それ程までに食べたいという事か」

「リュカさん冷静に分析してる場合じゃないですよ!私まだ一口も食べてません!」








ブクマ、イイネまた少し増えてましたー!嬉しい!!!!ありがとうございます!

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