喋る世話師猫
昨日はローリエ入りカレーの効果のお陰か、皆寝る直前まで元気で色んな話で盛り上がった。
フィーさんも幌馬車に積んであるハードボイルドベアーの臭いが気になっていたのか、寝る直前に氷魔法で冷凍してくれた。本当に感謝してもしきれない。お陰で幌馬車内の臭いが気にならなくなった。
私が魔力暴走で出した、足元に転がっている花は全てリュカさんが回収しポーチに入れている。いったい何に使うんだろう。
まだ夜が明けきらない頃、ぺちぺちと頬に当たる肉球で目が覚めた。
朝、私の眼に一番最初に飛び込んできたのは世話師猫だった。
「お腹、すきやした」
い、いいいい今、喋った!?
私の頭を枕代わりにして寝ているリュカさんを慌てて起こし、世話師猫が喋った事を伝える。だが寝起きがあまり良くない彼は今日も中々起きてくれない。
流石に2回目の頭突きは気が引ける…。
という事で、私のお腹の前に組んでいるリュカさんの手の甲を捻ってみた。
「っ」
「おはようございます。聞いてください大事件ですよ」
「…おはよう、確かに事件だな。何故私の手の甲を抓る」
そんなに痛くしたつもりはないのにリュカさんの機嫌は良くない。彼が起きた事によって私の頭の上にあった重みは消え、身体が少し軽くなった。一晩中私の頭を枕代わりにしてたのかな、道理で首が痛いわけだ。
外はまだ薄暗く日の出までまだ時間がある。
世話師猫が喋ったことをリュカさんに伝えると彼も驚いていた。とりあえず猫ちゃんが喋った内容を伝え急いで身支度を整え、朝食の準備に取り掛かる。
いつもいつも硬いパンを食べているので今日は柔らかくしてみようと思う。
昨日の残りはなく今日はリュカさんにハードボイルドベアーのお肉を薄切りにしてもらう予定だ。
昨日組み立てた簡易キッチンは片付けずそのままにしておいたので、調理器具だけをリュカさんのポーチから出してもらい朝食のメニューを伝えた。栄養満点の野菜のコンソメスープにハードボイルドベアーのサンドウィッチ。サンドウィッチは多めに作りお昼にも食べる予定だ。
一緒に付いて来た世話師猫と大福に薪の準備をしてもらい、火はリュカさんにお願いした。
本当は私がチャッカマンで点火する予定だったけどユメヒバナさんから返してもらうのをすっかりと忘れていた。いけない、いけない大事な物なのに。私は今の所【古の御業】しか使えないので、火を起こす事が出来るチャッカマンをかなり重宝している。
大福は口で薪を咥え、世話師猫は両手で薪を持ってくる。
自分より小さい生き物が一生懸命な姿って、どうしてこんなにも可愛いんだろう。二匹の姿にきゅんきゅんしているとリュカさんにトントンと肩を叩かれた。
「どうしました?」
「薄切りとはこのくらいで良いだろうか?」
彼が切ったお肉を見ると、まな板にはオブラート並みに薄いお肉が綺麗に並べられてあった。凄い技術ですね。むしろどうやって切ったんですか。
私が思っていたのとちょっと違ったので、彼にお手本を見せ同じように切ってもらった。
私はてっきりリュカさんも登山用の簡易包丁でお肉を切っているもんだと思っていたが、実際には魔法を駆使してお肉を切っており、ちょっとだけズルいと思った。手が汚れなくて羨ましい。
リュカさんの魔法は綺麗で、まな板の上に鋭利な氷を出現させ、お肉を浮かせながらケバブのようにシュンシュンとお肉を削いでいっている。
「他に何かする事はあるか?」
「んーそうですねぇ、霧吹きの様な水魔法って使えますか?」
「造作もない」
「ではパンの上にお願いします」
並べられた硬いパンに向かってリュカさんが魔法を放つ。
パンの上からキラキラした水滴が降り注ぎパンが湿っていく。私はそれを大鍋の中に敷き詰め、火は世話師猫が点けてくれた。
まさか口から赤黒い炎の球を吐き出すとは思わなかった。
最初はうぇうぇ言っていたので、毛玉を吐きたいのかな?と思い見つめていたら、口を大きく開け薪に向かって炎を噴き出した。
これは【暗黒死炎】と言って、古い文献にしか載っていない古代魔法。闇属性の魔法らしい。リュカさんの説明を聞きながら私は眉間に皺を寄せる。不穏な単語が多すぎやしませんかね。
世話師猫は満足そうに私を見てゴロゴロと喉を鳴らし、頭が撫でやすいようにピンと立てている耳を少しだけペコっとおった。
火を点けてくれた事に変わりはないので感謝の意を込めて頭を撫でる。もちろん大福の頭も撫でる。二匹は嬉しそうに鳴き出した。
パンが敷き詰められた大鍋を火の上に5分ほど置き、後は火から下ろし蒸らしていく。
その間にリュカさんが薄切りにしてくれたお肉に塩コショウを振りフライパンで焼いていき、御者さんが好意でくれたレタスも洗い水気を取る。
今回は小川が近くにないから不便だけど、その分世話師猫や皆が魔法で手伝ってくれた。特に水魔法はありがたかった。人によって水にも特徴があり、リュカさんが創り出す水は凄く冷たくてキラキラしている。ユメヒバナさんのは温くウォシュレットに丁度良い温度、フィーさんのは水からは爽やかな香りがした。
私にとっては面白い発見で、もし自分にも水属性魔法が使えたらどんな特徴が出るのかなと想像を膨らませた。一人、妄想の世界へ旅立っていると世話師猫が私のローブを引っ張って現実へと連れ戻してきた。
慌てて大鍋の蓋を開け、中を確認してみるとパンがふっくらしていたので木皿にあげて切れ込みを入れていく。フィーさんがくれたバターをベースに引き、お肉やレタスを挟む。最後に醤油とハードボイルドベアーの油、砂糖で作った和風ドレッシングをかけて完成だ。
「おはようございます!!師匠!!」
「煩い」
「おはようございます、ユメヒバナさん、フィーさん」
「おはよう、コハル」
「コハル居たのか、お前チビだな。全然見えなかったぜ」
「朝から喧嘩売ってるんですかユメヒバナさん買いますよ。ていうか、私は平均身長のはずです」
「この中ではチビだろ。つーかお前成人してんの?」
「してますよ!」
マイペースなユメヒバナさんと話すと調子が狂う。
まだスープが出来ていないので、もう少し寝てても大丈夫ですよと伝えても元気な彼はリュカさんに稽古をつけてもらおうと必死にせがみ、腰にさしている刀で喧嘩を売りに行った。
しかし、リュカさんは全く相手にするつもりがないのか、それを交わしながらじゃがいもを切っていく。隣で玉葱を切っている私が危ない。落ち着いてくださいユメヒバナさん。さっきから刀が私に当たりそうで怖いです。
「あーマジでこの匂い腹減る。食って良いか?」
「待てユメ。スープが出来上がってからだ」
「某も辛抱しておる。待たれよ小鬼」
「ん?今喋ったの誰だ?」
「世話師猫から聞こえたような気がするが…」
「やっぱりその猫ちゃん喋りましたよね!?」
「喋ったな…しかし、なんとも渋い声だ」
大鍋に切った野菜と一口大のハードボイルドベアー、ローリエ、コンソメキューブを入れ、急いでスープを作り上げていく。もちろんコンソメキューブは私が登山用に持ってきたものだ。
後は煮込みながら灰汁を取るだけなので皆で世話師猫に話しかけた。
世話師猫の声は、日本人なら誰でも一回は聞いた事のあるであろう、あの声にそっくりだった。それは日曜の夕方、海の幸の名前がついたアニメに登場してくる唇のぶ厚いおじさんサラリーマンの声だ。語尾が『ぶるぅああ』で愛嬌?のあるキャラクターだったような気がする。
世話師猫のお顔は可愛い。なのに声が超ダンディなおじさん。言葉も武士語みたい。ギャップ萌えの域を通り越しているような気がする。
「そろそろスープが出来たのではないか?」
「そうですね、ちょっと見てきます」
リュカさんに声を掛けられ、大鍋を見に行く。
味見をしてみるとちゃんと食材に出汁がしみ込んでいたので、ローリエを引き上げた。フィーさんに御者さんを呼びに行ってもらい木皿にスープを盛る。出来上がったサンドウィッチは各自で取ってもらい残りは綺麗に洗った大きな葉で包んだ。
この大きな葉はポーションにも使われており、大福が口に咥えて持って来てくれた。偉いぞーっと頭を撫でると嬉しそうにまた鳴いた。
日の出を見ながらサンドウィッチを食べる。
今日も各自好きな場所に座り会話を始めた。
「うっまー!すっげーなコハルの料理!」
「あんなに硬かったパンが、柔らかい…」
「生まれて初の事、かようにも美味な物を食した」
「キュキュー!」
「コハルの手料理は不思議と癒される」
「こんなにも美味しいサンドウィッチは御者生活初めてです!」
「肉汁すげぇな!このソースもサッパリしててうめぇ!」
「ドレッシングじゃないのか?スープも美味しいぞユメ」
「この旨味は最後に入れたキューブ状の物か?」
「それもありますけど、野菜からもちゃんと旨味成分は出ていますよ。コンソメならこの世界でも作れるはずです」
私が説明を始めると、皆メモを取り始めた。
野菜は出来れば人参と玉葱、セロリが好ましいけど、無ければ色んな食材で代用して挑戦してみて欲しいと伝えコンソメの作り方を伝授する。
まず、野菜は皮付きのままで、牛もも肉、水、ローリエ、タイム、にんにく、塩コショウ、鶏がらを煮詰めて、ざるでこす。もう一つ鍋を用意して、牛肉の赤身を使用したミンチと卵白、皮を剥いだ野菜をみじん切りにしてよく混ぜる。その中に、先ほどこしたスープを入れてかき混ぜながら火にかけ、灰汁が出て来たら取り除く。しばらく煮るとスープが澄んでくるので、それが完成の合図。
御者さんには、こんな貴重なレシピを他人である僕に教えても良いのか?と問われたが、この世界の食の向上に繋がるのなら是非とも活用して広めて欲しいと伝えた。この世界には出汁を取る文化がないので大抵の料理が塩をかけたり、油ぎったドレッシングやソースを掛けて味付けをするのが主流だ。お陰で今まで食べてきた料理は私にとって味が濃すぎた。
素材は良い物が沢山そろっているのに、味付けで殺しにいってるようなかんじだ。
楽しい食事を終え、簡易キッチンや木皿などを洗い片付ける。
幌馬車に乗り込むと、とてとてと足音を鳴らし世話師猫が私の隣に座った。名前を付けてくれとせがまれたので、文二と名付ける事にした。本当は宵丸にしたかったけど、そこは猫ちゃん自らが断って来た。
世話師猫、改め、文二はヒトの言葉を喋るのに大量の魔力を消費してしまうらしいので基本的にはにゃーにゃー鳴いている。にゃーにゃー言ってる時は猫ちゃんらしく可愛い声だ。
今日の天気は曇りで、風もあり心地よい。
お尻が上級者ではない私の為に寝袋は敷きっぱなしになっており、お陰で初日よりも全然お尻が痛くない。
馬車に揺られながら走っていると、珍しくリュカさんからユメヒバナさんに話しかけた。
「何故御者の用心棒をしている。強い敵に挑むのが好きだっただろう」
「いやー色々あったんスよ。あ゛ー思い出しただけでもだんだん腹立ってきた!」
「ユメは説明に向かないだろう、吾が話す」
ユメヒバナさんとフィーさんはツーマンセルを組んでおり、Sランクのユメヒバナさんの元へヒトが治める国、ボラギンから依頼が来た事から話は始まった。
お尻からチューっといれる派ですか?と聞きたくなるような国名だと思った。すみません。
依頼内容はある少女の護衛で、長期任務になるはずだった。
その少女は聖魔法が使えるらしく、物凄く国から重宝されており豪華な一室が与えられていたそうだ。
「聖魔法は誰でも使える訳じゃないんですか?」
「誰でもではないな、魔族や龍族、私達エルフは使えるが、ヒト族や獣人族は使える者がほとんどいない」
「俺も使えねぇぜ」
「そうなんですね」
そもそも聖魔法とは、人体に悪影響のある魔物を取り払ったり、病気やケガを治す魔法の事。そして光魔法は攻撃魔法で、アンデット化した物を倒したり、魔獣を攻撃したりする魔法。
聖魔法は精神や身体を作る組織に作用するもので、光魔法は物理攻撃。中々理解できない私の為にリュカさんが簡潔にまとめてくれた。ありがとうございます。
私は未だに魔獣や魔物、動物、神獣などの区別がついていない。
この際に聞いてみようと思ったら、結構難しい話になってしまったので、黒い瘴気を纏った異形が魔獣で食べる事はできない、食べる事が出来るのは基本動物。と教えてもらった。
魔物には実態がなく、精神が弱い者に住み着き悪さをする。悪魔みたいなもんかな?と無理矢理納得した。気高い龍族やエルフ、魔族、ドワーフ、鬼人族には一切縁のない物らしいので、魔物に困っているのは、もっぱらヒト族と獣人族だけらしい。
なのでヒト族や獣人族の間では聖魔法が使える者は重宝される。
その聖魔法を使える少女の護衛任務を依頼されたユメヒバナさんとフィーさんは、ヒト族が治める国、ボラギンへと向かいその少女と対面を果たした。
その少女は髪色がピンクで、瞳の色もピンクで、フリフリのドレスを着た可愛らしい少女だったらしい。しかし、そう語るのはフィーさんで、ユメヒバナさんは違う感想を述べた。
「可愛いか?俺には発情期のサンタ猿のケツみてぇにしか見えなかったぜ」
「色々気になるんですが、まずサンタ猿って何ですか?」
「知らねぇの?寒くなると煙突から家に入ってきて、人の顔にケツ擦り付けてくる奴だよ」
「サンタ要素が煙突部分しかないんですね」
「昔一緒に旅してる時、師匠は大群に襲われそうになってましたよねっ!」
「余計な事を思い出させるな」
「その話し詳しく聞きたいですユメヒバナさん!」
喋ろうとしたユメヒバナさんにリュカさんが無言で氷魔法を食らわせた。見事顔面に直撃したユメヒバナさんは撃沈し、目覚めるまではフィーさんが続きを話してくれた。
ピンク髪の少女はこの世界のヒトではなく、異世界から召喚された愛し子らしい。勝手にその国のヒト族が愛し子と呼んでいるだけでフィーさんから見るとただの聖魔法が使える少女にしか見えなかったそうだ。
フィーさん曰く、愛し子とは精霊から最低でも一つは祝福されていなければならないらしい。
少女は王城で暮らしており、侍女をぞんざいに扱い、見目の良い男には甘えたり我儘を言ったり等のやりたい放題で、フィーさんは初日に護衛の任務を外され、ユメヒバナさんだけが護衛に着いたがその少女の機嫌を損ねてしまい、転移魔法で私達と出会った場所まで二人一緒に飛ばされてしまったそうだ。
転移魔法を掛けたのはユメヒバナさんとは別に少女を護衛していた人物だとフィーさんは語った。
「ユメは接待が苦手だからな。初めは顔の良さを気に入られていたが、『鬱陶しい触んな』と言って腕を払いのけたのが相当頭に来たのやもしれん」
「そんな事があったんですね」
「…その異世界人はどうやってこの世界に?」
リュカさんがフィーさんに問いかける。
その少女は魔術で呼び出されたらしい。
魔法と違い地面に術式を書き、魔力を流す。すると魔法が発動される。それが魔術だ。
面倒なので、ほとんどの人はやらない。そして異世界から人を呼び出すには相当な魔力が必要になる。どんな奴が来るかも分からないのに色んなリスクを負ってまでやる国は少ないそうだ。それどころか成功する可能性も低いらしい。
少女は聖魔法で人々を救っているようなので、その国の王侯貴族は彼女の我儘を大目に見ている。しかし、王や次を担う王子などの印象は悪く派閥が出来ているそうだ。
少女を元の世界へ帰そうとするのが王派で、少女をこのまま愛し子として持成すのが宰相派。
王としては人々を救い魔物からの穢れを払ってくれる事に感謝はしているが、少女が来てからというもの、風紀の乱れが著しく、侍女がどんどん止めていく事に困っているらしい。なので、魔物に関しては、これまで通り協会や聖魔法が使える種族に頼むので良いのではないかと思っているとの事。
少女は宝石やドレスなども買いあさっているので、その予算を魔物討伐用に他の種族への依頼料として回したいらしい。
一方宰相派は、ヒト族や獣人族が治める他国から魔物討伐の依頼が来るので、少々の我儘を聞きながらでも少女にはこの世界に居座って欲しいと考えている。依頼が来て、それを達成できれば報酬が入る。あと、異世界からヒト呼びましょう!と言ったのが自分なので引くに引けないらしい。
「よくここまで内情を探れたな」
「護衛を外されましたので。まあ、自由に王城を歩き回っていると自然と耳に入ってきました」
「私、その国に行ってみたいです!」
「コハルがか?良い事はないと思うが?」
「私も反対だ。そもそも私の故郷、ルシェールに行くはずだろう」
「じゃあルシェールに行った後に行きます」
「止めとけ止めとけ、飯もそんな旨くねぇ国だったし、あの女はウゼェし。来るなら俺の故郷にしとけよ。まあお前の場合、灼熱の大地で一瞬で干上がっちまうだろうけどな」
「起きたのか、ユメ。吾もコハルならば里に歓迎するぞ」
フィーさんから七色に輝く一枚の葉を渡された。
これはエルフが住む里に入るのに重要な通行証で、これを両手に持ち強く願うと里に繋がる道が現れるとっても重要な物だそうだ。服のポケットに仕舞うと前に入れておいた石が私の手に当たった。確かこれはカーバンクルの額から落ちた石だ。今の今まで忘れていた。
動物の事なら動物に聞いてみようと思い、世話師猫の文二に視線を向ける。が、気持ちよさそうに大福と椅子の上で眠っているので、邪魔するのは可哀そうだし、この石についてはまた別の機会に聞くことにした。
お昼休憩は取らず、走る幌馬車の中でサンドウィッチを食べる。
幌馬車を引いて走る二頭の馬にもローリエ入りのスープを飲ませてあげたので、今日中にヒト族が治める国テッテレーみたいな名前の国に着く予定だ。
当初の予定よりもだいぶ早い到着だ。
「リュカさん、今向かってる国の名前なんでしたっけ?」
「テッレディスェホンムだ」
「テッレディスふんふ」
「覚えにくい名前の国だよな」
「ユメヒバナさん言えますか?」
「てっれでさーほんむ」
「「違う」」
鬼人族が住む国へは、灼熱の大地さえ越えればお金も通行証も何もいらない。
嬉しい事に、そこには醤油がある。何としてでも行きたい。
たまたま会話の中でユメヒバナさんが「久々に醤油食ったわ、やっぱうめぇな」と発言した事により分かった事だ。リュカさんが私の隣で、龍の国ルシェールについてのプレゼンをしているが全く耳に入って来ない。どうやったら鬼人族の国へ行けるだろうか。今の私の頭の中はそれでいっぱいだ。




