表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/12

0-0 Sランク冒険者、勇者パーティーから追放される

物語が始まる前日譚を書きました。

どのような経緯でリンネが追放されたのか、お楽しみください。

 それは、突然起きた出来事だった。


「――リンネ。悪いが、お前にはパーティーを抜けてもらう」


 パーティーのリーダーである勇者――アランに到底信じられないことを言われたのだ。

 私は、何を言われたのか理解できずに、ただ彼の顔を呆然と見つめることしかできなかった。


「聞こえなかったのか? 何度も言わせるな、役立たず」


 やめて! そんなことを言わないで!

 

 ……そんな、冷め切った目で、私を見ないでよ。


「さっさと消えてくれるー? あんたは、私たち――勇者パーティーには必要ないの」


 パーティーのメンバーであるイザベラが、容赦なく、言葉のナイフを突き立ててくる。

 彼女とは同じ魔法使いということもあって、前々から、嫌われていた。


 それに、彼女はアランのことが好き。

 同じパーティーに女がいるのが気に入らないのだろう。


「……でも、私だって頑張ってきたわ! 確かに私には攻撃手段がない。だから、それを帳消しできるように『補助魔法』で支えてきた。それでも、あなたたちは私が必要ないって言うの……?」

「リンネ、お前は馬鹿じゃない。だから、わかっているはずだ。俺たちは魔王を倒さなければならない。攻撃魔法が使()()()()お前じゃ、この先邪魔にしかならない」

「それにー、『補助魔法』って言ってもー? 私の方がリンネより強化倍率高いんだよ? それ、知ってる?」


 二人の言ってることは正しいのだろう。

 このまま勇者パーティーに居座ったとしても、使いものにならない。

 そう理解できていても……、私は諦めることはできなかった。


 彼なら、説得してくれるはずだと、もう一人のパーティーメンバーに視線を向けた。


「悪いな、リンネの味方はできない。何としてでも、俺は魔王を倒したい。だから、抜けてくれ」


 ああ……そうか。ここに居場所はないのか。

 彼らのことを、私は仲間だと思っていたのに。

 それは、私だけだったみたい。


 ……本当に、馬鹿みたいだわ、私。


「カイルもそう言ってるんだから、さっさと消えてくれるー? 目障りなんですけどー」


 もう、反論する気力もない。

 彼らの望むように、私は背を向けた。


「装備も金も、全て置いていけ。俺たちの物だ」


 パーティーで手に入れたものは、パーティーの共通財産とする。確か、そんなルールがあった気がする。

 パーティーを組むにあたって、不必要ないざこざを起こさないために必要なことだけど、それがここまで残酷なことだとは思わなかった。


 改めて思い知らされる。

 私はもう、パーティーメンバーではないのだと。


 私は大人しく、身につけている装備を全て外した。

   

 イザベラがクスクス笑っている。

 私の格好がおかしくて、堪らないのだろう。

 本当、嫌味な人。


「そんな痴女みたいな格好、アランの前でやめてくれる? あたしは優しいから、こうなると思って、ちゃんと服を用意しておいてあげたわよ」


 そう言って、麻の服を投げ渡してきた。

 どれだけ私を馬鹿にすれば気が済むのか。

 だけど、今は素直に受け取った。

 下着姿のままじゃ、どこにもいけないから。


「感謝はないのかしらー? ま、いいけど。生意気なあんたには弱体魔法をかけてあげるわ」

「え、それは――」

「じゃあねー、『白の大賢者』」


 無詠唱で紡がれた弱体魔法。

 私に対抗する手段はない。

 ただ、私は受け入れることしかできなかった。


 そして、それは、私――『白の大賢者』の死を意味していた。




 その後、どう彼らと別れたか、覚えていない。


 次、意識がはっきりしたのは、とても優しい少年の前だった。

 

 

 

お読みいただきありがとうございます!

「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします! 

 していただけたら、作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!

 ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ