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シナリオは崩壊しました。自由に生きてもいいですよね?  作者: 雪結び
日常です〔五歳〜〕
8/68

女子会、一回目!

「と、いうわけで、第一回、転生者による女子会を開催いたします!」


「わ〜、パチパチ(棒)」


棒読みだけど乗ってくれた。ありがとう!


「じゃあ、そのゲームについて教えて頂戴!」


紙とペンの用意はバッチリだよ!


「はい………

舞台は、先ほども言った通り、この天界です

 具体的には、天使が十五歳から通う事になる学園が舞台ですね

 学園名は『神立天使学園』。適当ですが、他に言い様がなかったそうです。通称学園

 え〜っと、シナリオはこうです


『アデリナが優秀な事気に入らなかった、怠慢なエステラから虐められる日々。使用人たちや義弟は味方だけれど、両親は二人とも可愛がっているので手が出せない。

 とうとうアデリナと義弟が学園に通う事となった春。母は二人にこう言う


『二人とも、学園で素敵な人を見つけてきなさい

 寿命は長いし、焦らなくても問題ないけれど、いい人は取られていくわよ?』


両親が学生の時から恋仲だった事を知っていた二人は、納得して頷いた』

 で、それから入学し、攻略対象と愛を育む、と


 で、攻略対象は四人と隠しキャラが一人です

 一人目。家庭教師をしてくれているソフィア先生の息子さん。つまり、宰相子息ですね

 王道の金髪碧眼の王子様キャラ。まあ、私たちの方が身分的には上なんですけど、武力国家なので強くないといばれませんから

 顔よし、身分よし、性格よし、成績よし、の完璧キャラですね。ただ、笑顔はほとんどが作り笑顔。外面しか見ない女子には失望。と、好感度はマイナスからなので、難易度は高めです

 

 二人目。騎士団長子息です。騎士団長を継ぐために修行してますので、子供の中では強い方ですね。この一家は今まで一度も騎士団長の座を譲った事がないにも関わらず、王位入れ替え戦はわざと棄権しているので不思議がられる一族ですね

 茶髪赤眼のそのまま騎士キャラ。主人公は病弱設定で武力をあまり鍛えていないので、守られたい方々に人気のキャラでした

 性格——は、ツンデレですね。よく拗ねます。私は鬱陶しいなぁ〜、って思って見てました」


(アデラ、辛辣っ!)


「ツンにめげずに構ってたら簡単に好感度上がる構ってちゃんです」


(アデラ、彼に恨みでもあるの?

っていうか、転生者ってバレてから適当じゃない!?私の可愛い妹は何処!?)


「三人目。さっき出てきた義弟キャラです。二年後くらいに、父様が拾って来ます

 基本クール系ですけど、情には厚いです。黒髪碧眼で、私の推しキャラです

 姉?妹?まあ、家族として暮らしていたので、好感度はプラスからスタートです。が、そこからが難しいです。ヤンデレキャラなので他のキャラとは接しない方がいいのですが、騎士団長子息が何かと構って来るので面倒です。これで何度やり直したか…………っ!」


(あ、恨みあったんだ)


「ちなみに推しでいられるのは、ヤンデレ成分低めだったからです。暴力系はなかったので、ただ愛がちょっと重いくらいでしたから


 四人目。エルフと天使のハーフです。エルフの里で育ったので自尊心が並じゃないですね。所謂俺様キャラです

 エルフではよくある、金髪緑眼で、顔だけは儚い系美少年です。顔だけは

 山の様に高い自尊心を傷つけず、かつ、恋に落とさないといけないので、歩くバグと呼ばれるほ

どには攻略が難しいです

 

 で、最後の五人目。彼は運や手順が関係するフラグをいくつも立てないといけないので、攻略不可とまで言われてました

 神なんですが、リンネ神に言われて、経験を積むために入学します

 白髪金眼の美少年で、すごく無口です」


(…………ん?

凄い思い当たりがあるんだけど……)


「彼のルートに入ろうとフラグを立てても、選択肢を一つでも間違うと嫌われてしまうので、攻略不可はそこからも来ています

 

 で、悪役令嬢は三人いますね

 一人目。ご存知の通り姉様です

 宰相子息と義弟ルートで活躍してます。嫌がらせ内容は物を隠したり、目の前でくっついたり。典型的な物ですね。あ、暴力とかの物理はなかったので大丈夫です


 二人目。騎士団長子息ルートの悪役令嬢です。キャラ設定的には、彼と幼なじみですが、愛するあまりにヒロインに辛く当たる、という

 行動はヒロインを無視、はぶる、など。ただずっと彼にくっついているので、イベントは五分の一の確率で失敗します」


(え、イベントって運で失敗するの………?)


「三人目。ハーフエルフ——正確には違いますが(ハーフエルフ=人間とエルフのハーフを指す)——のルートの悪役令嬢です

 彼女は妹で、兄の攻略対象はシスコンです。重度の

 普段上から目線なくせに、妹に対しては優しくて、一部のファンからは攻略後に甘くなる事を期待されていました———変わりませんでしたけど

 妹自体は、兄としては好きですが、恋愛感情は持っていないので、彼女が何をするとかはありません。兄に付き纏われているだけです

 …………と、まあ、こんな感じですね」


一気に喋ったので疲れたのか、アデラは机の上に置いてあったお茶で口を潤す。


「色々気になるところがあったんだけど…………質問、いい?」


「どうぞ」


アデラが頷いたのを確認し、口を開く。


「まず、私にカミングアウトしなかった理由で、『疑われたくなかった』、ってどういう事?」


「ああ、姉様、悪役令嬢物のラノベ、って読んだ事ありますか?」


「?あるけど……?」


いきなり何の話だ。


「それに出てくるヒロイン、三、四割くらいはビッ————コホン、攻略対象の方々に媚びを売る様な悪女じゃないですか

 私、逆ハーとかいやですし。というか、できたとしても国の将来が不安です

 ———私、なんだかんだで姉様の事好きなんですよ?だから、疑われたくなかった…………」


「アデラ————」


「まあ、姉様はゲームの事知らなかった様なので私の取り越し苦労だったんですけどね!」


(アデラ………

そんな風に思ってくれてたんだ………っ!)


 私が心の中で感涙していると、アデラが頬を赤らめて、次の質問を促す。


「あ、うん

 …………隠しキャラの神様の名前って————ルーカス、だったりしない?」


これが一番気になる。ルカは神様だし、無口だったし、白髪金眼だし………。思い当たる節が多すぎる。


「えっ!?なんで知ってるんですか!?」


アデラが目を見開いた。当たりだ。


「ルカ———ルーカスとは、リンネ神に呼ばれた時に、一回会ったんだ」


私がそう言うと、アデラはさらに喫驚した様子で言う。


「ルーカス様、姉様に愛称呼ぶ事、許可したんですかっ!?」


あ、そこなの?


「というか、『私がステラって呼んで』って言ったら、『じゃあ僕の事もルカって呼んで』的な感じで言われたよ?」


あれ、可笑しい事あった?ルカは無口キャラだから特殊だったのかな?


「………姉様、相当気に入られてますね」


「でしょう!?」


「「えっ?!」」


あ、皆様。勘違いしないで下さい。今同意したのは私ではなく第三者。そう———


「母様、如何して此処に?」


母様でした。


「え〜、だって、娘たちが女子会してるって聞いたから、来ちゃった☆」

 

いや母様。「来ちゃった☆」じゃないですよ。

この世界にプライバシーという言葉はあるんでしょうか?


(って、それよりっ!!)


「………母様、私たちの事知ってます?」


そう。母様に転生者、ってバレたかもしれない。


「ふふふ

貴方達の魂が異界から来た事なんて、皆知ってるわよ〜?」


「「…………えっ?」」


予想外の展開に、アデラと二人、ポカンとしてしまった。


「どういう事ですかっ!?」


アデラの食い気味の質問に、母様がいつも通り落ち着いて答える。


「私たち、一応天使の中でも力が強いのよ?」


(あ、母様は一応所じゃないですよね?)


「魂の形だって変わってるし、違和感もあったから、そうじゃないかな〜って

 異界から魂が来る事は、時々あるのよ

 人間界に来たときは、劇感覚で楽しんでたわ〜

 普通はね?この世界の魂はこの世界だけで循環しているの。でも、神々の気まぐれで混ざったりもするのよ」


(天使じゃないとできない様な発言が多々ありましたが………?)


「それで!

乙女ゲーム、って何かしら!?

恋のお話なら聞きたいわ!」


あ、母様が食いついた。母様、恋話好き乙女でしたか。年齢だけだと違和感半端ないですけど、見た目が若々しいお姉さんですからね。

 そして、アデラと私で説明する事数分……。


「あら、じゃあアデラは、その義弟君?が好きなのね!二年後が楽しみじゃない!」


 あ、ちなみに、母様は父様の浮気を疑ったりとかはないです。というか、浮気してたらそっちの方が驚きですよ。二人見てたら、砂糖吐ける。


「え、いや、母様

あくまで憧れ、みたいな物ですから

 好きかどうかは………」


そう言いながら照れるアデラ、かっわいいっ!


「ステラはルーカス様?」


「えっ!?」


いや、急に話をふられた事にも驚いたけど、ルカがどうしたの?


「ルカがどうしたんですか?」


「だから、姉様の恋愛対象ですよ!」


アデラにまで言われた。え、何でそんなに楽しそうなの?皆恋話好きなの?


「え、いや……

ルカは友達で、そんな風には………」


ルカ?ルカが恋愛対象?

 いや、確かにルカは格好いいし優しいし趣味も合うけど………


「魂的には二十歳くらいなので、五歳児を恋愛対象には見れません」


そう。これが全てだ。

 まあ、ね?可愛いな〜、綺麗だな〜、格好いいな〜、くらいは思うよ?

 でも、想像してみて欲しい。二十歳の大人が五歳児の少年に恋するところを。………一歩間違えれば犯罪だよ?


「あ〜……確かに?

————ルーカス様、不憫だな〜」


「アデラ、最後、何か言いました?」


よく聞こえなかった。


「急に、難聴系ヒロインみたいな事言わないで下さいよ!」


あ、確かに。都合のいいところだけ難聴になるよね〜、ヒロイン。


「姉様は何歳くらいの方なら恋愛対象に見れるのですか?」


「う〜ん………十五歳くらいからでしょうか?

 前世では十七歳だったんですよ。上下二歳差くらいは大丈夫です」


「なるほど…………」


あれ、ちょっと待って。何で恋話大会、というか、私の恋愛相談みたいになってるの?


「あ、アデラ

一応主要キャラの名前教えてくれませんか?」


ハーフエルフもどきとか、絶対に関わりたくないからね。

 あ、ちなみに私が敬語なのは、母様もいるのでつられてるだけだよ。気分で色々混じる。


「あ、はい

・宰相子息がアレクシス・トレース

・騎士団長子息がヴァレリアン・ドゥオ

・義弟がノアール・ウーヌス

・ハーフエルフがアベラール・ノヴェム

・騎士団長子息悪役令嬢がカミラ・クィーンクェ

・シスコンに付き纏われているのがクロエ・ノヴェム

ですね

 あ、ちなみにルーカス様はフルネームだと、ルーカス・デオラム様になります」


「なるほど………

ありがとう」


と言いつつも、頭の中は混乱中ですよ。書き留めた紙を見て、脳内で処理する。

 ちなみにドゥオは二、ノヴェムは九、クィーンクェは五だよ。


「あ、アデラ

これから近年で重大なイベントってある?

 恋愛関係じゃなくて、伏線用とかで」


ほら、よくあるじゃない。子供の頃のあれこれで心を壊して………とか。


「あり、ます、ね…………」


しばらく悩んだ後、アデラは眉を顰めた。幼女がやってもしまらないけどね。


「今年の、収穫祭で………」


アデラはそこで、何かを思い出した様に青くなった。


「クロエ嬢が拐われます……」


アデラの目は、何処か遠くを映していた。

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