会談です!
「大丈夫ですか?」
目が覚めると、私はベッドの上にいた。………ああ、気絶したんだっけ?
で、近くには眉を下げたアデラ。心配してくれたのかな?それなら思い出させないで欲しかったんだけどね。
天井の空はいつも通り青空だ。あ、これね?魔法で星空とかにも変えれることが発覚したんだよ。綺麗だった。
「大丈夫
今何時?っていうか、一日経った?」
「はい
姉様は昨日気絶してから、ここに運ばれました
あ、ゲームはセーブしてあるのでご心配なく」
あ、そこは心配してなかったなぁ。
まあ、最初からにならなくてよかったよ。ありがとう。
「今、朝?」
「昼前ですね
お仕事が溜まっているので、頑張ってくださいね」
う、嫌なこと思い出した。
アデラ、そんな無駄にキラッキラした笑顔で言わないで。
「…………お腹すいた
ご飯ある?」
「そろそろ皆、お昼ご飯なので丁度いいです
行きましょうか」
「うん」
今日のお昼はうどんだった。うどんっていうのか分からないけど。
基本洋食だったから、パスタ以外の麺類は久しぶりな気がする。きつねうどん美味しい。
「ステラ、もう大丈夫なの?」
母様も心配そうだ。
いや、ただ頭が混乱しただけなので。問題はないです、ハイ。
「これを飲むといいよ」
そう言って父様が出したのは、赤汁。青汁ですらないんだって。飲みたくないです。
でも、ね?父様、一度出したものは引かないから。飲むしかないんだよ。
ということで一気飲み。うえっ。お世辞でも不味いとしか言えない。
「………ご馳走さまでした」
口直しに水を飲んで、私は執務室へ向かう。
場所もバッチリだよ!
中に入ると、そこではリラが仕事をしていた。見ないと思ったら………ありがとう!
「リラ、お疲れ様
私も頑張るよ!」
「姫様、回復されたのですね
無理はなさらないように」
リラは優しいよね。
「それから、留学の件の会談の日が決まりました」
「いつ?」
「一週間後、ですね」
えっ、早くない!?
私は社交スキルを磨かねば!公式の場って出たことないんだよ!?
「ということですので、ソフィア様にはマナーや挨拶の仕方などを重点的にお願いしてあります
姫様なら大丈夫かもしれませんが、もしももありますので」
おお、有能。
一歩先を行く感じが凄い。
「ありがとう
じゃあ、捌きますかぁ!」
「はい」
*
その日は、夕食の直前まで書類捌きに追われましたよ。
リラがいなかったら、一日分に三日はかかるんじゃないかな?感謝!
「さあ、姉様
続きをどうぞ!」
そして今。昨日と同じようにアデラに見守られながらゲームをしている。
いつの間に作ったのか、タブレットと繋げたモニターのような物でアデラは見ている。まあ、覗くのは辛いよね。
『私『あの、オススメの本を教えていただけませんか?』
ルーカス『………これ』
私
1、『ありがとうございます』
2、『綺麗な星ですね〜』
3、『私のおすすめは…………』』
選択。
そして、私は迷わずに2。ルカの星好きは知ってる。同じ趣味があると仲良くなりやすいし。
『ルーカス『……星、好きなの?』
私『はい
詳しくはないんですけど、キラキラしていて綺麗です!』
ルーカス『じゃあ、今度見にいく?』
私『はい、喜んで!』』
絶賛、ハッピーエンドへ直進中。
難易度高いって言ってたけど、そうでもないね。
間違うわけないような問題ばっかりだし。
「二人とも、何してるの〜?」
「「あ」」
うん。ご想像の通り、おなじみの母様ですよ。
「乙女ゲームを作ったので遊んでます」
「乙女ゲーム?
………ああ、あの言っていた!
ステラ、終わったら私もやっていいかしら?」
「父様が泣きますよ?」
「大丈夫よ〜
内容より、そのゲーム?っていうのが気になるの」
「娯楽魔法ですよ?」
「ええ
ただ、物凄く細かい台本を入れているでしょう?
興味深いわ〜」
そこかい!
っていうか、普通じゃないの?
前世のゲームでも大体このくらいだよね?一プレイの時間はむしろ短いくらいだし。
「じゃあ母様
これ、私の試作で作ったカーレースゲームです
どうぞ」
素材はダンボールだけど、ちゃんと起動はした。
私が確認済み。
「このゴーグルをかけて、椅子に座って、これがハンドルで————」
アデラが説明してくれてるうちに、ゲームを進めよう。
何でアデラが知ってるのかは聞かない。
『ルーカス『行こう』
私
1、『え、何処へですか?』
2、『あ、もしかして星を見に行くんですか?』
3、『はい!』』
そして、迷わずに1をポチッとな。
私のする行動を押してるだけなんだけどね。何故か当たるから。
今のところ、間違ってはないんじゃないかな?イベントも進んでるし。
ただ、こんなに図書館に入り浸って、さらにルカの読書の時間を削るっていうのは私的にも読書好きとしてどうかと思うんだよ。迷惑すぎない?いや、ゲームだからいいんだろうけどさぁ。
ガターン!!!
何事!?
音源………母様の方を見ると、母様がノリノリで椅子を揺らしながらハンドルを回している。……気に入ったのかな?誕生日にでも新型をあげよう。うん。椅子が動かないやつ。
「後、アデラ。ドンマイ」
私は壁際でヘロヘロになっているアデラに声をかけた。
*
さて。早い物で、会談の日がやってきました。
私も母様も今日は正装——つまり、神衣を来ている。
今日の参加者は、魔族の王様、つまり魔王様。と、竜族の王様の竜王様。それから、私と母様だ。
竜王様は最近即位したばかりらしいけど、王太子の時から仕事に励んでいたから問題ないらしい。ただ、若いせいで他国の方に舐められるとか。お気の毒です。あ、天界は実力主義なので、見た目とかどうでもいいんですよ。仕事ができる、もしくはいい情報を持っている方なら大歓迎!
「久々であるな、天王殿」
「お招きありがとうございます。天王殿、そして姫」
一応母様と王様方は対等な立場らしいから、様じゃなくて殿なんだって。あ、私はまだ姫でしかないから、様づけは必須ね。後、母様が天王って呼ばれてるとか、初めて聞いた私です。
「魔王殿、お久しぶりですわ。竜王殿は、初めましてですわね?
アメリア・ウーヌスです。よろしくお願いしますわ」
母様、言葉使いもバッチリ。いつもこうしてたら女王っぽいのにね。
あ、母様から黒い気配が。すみません。調子乗りました。
そして、目線が来たので私も挨拶する。
「お初にお目にかかります
天界第一王女、エステラ・ウーヌスと申します
まだ未熟な身なれど、国のために全力を尽くす所存でございます」
カーテシー。ソフィア先生に珍しく褒められたから、悪くはないはず。
母様の合図をもらって顔を上げると、二王は面白い物を見つけたかのように笑っていた。
ひぃ!皆様腹黒さんですね!?そうですね!?
「これはこれは、ご丁寧に
儂は魔族の王、ウィリアム・ディアボイルと申す」
魔王様は尊大な口調。でも、それがしっくりくるなぁ。威厳が溢れているような、覇気がある。
容姿は黒髪黒眼で、日本人としては懐かしい。少し伸ばされた髭までもが威圧感を醸し出している。後、角が頭に二本。人間との違いはここくらいかな?あ、寿命は別。
見た目的には三十代くらいのおじさん。ただ、雰囲気からして只者じゃないのは一目瞭然だ。
「私はテオドール・ドラックと申します
まだお若いのに、しっかりしていらっしゃる」
竜王様は透き通った声。王様、より王子様、の方が似合いそう。でも、やっぱり王の威厳がある。この方に言われた事は、命令口調じゃなくても命令と同じ効果を発揮すると思う。見た目と違って、優男ではない。絶対。
容姿は銀の髪にエメラルドの瞳。母様の言っていた通り若くて、見た目では十五、六歳くらいじゃないかな?学園に制服着てたら溶け込むと思う。………あ、威圧感で目立つかなぁ。後、竜の角ばった翼が生えているのが特徴かな。
この人に若いって言われた私………あ、六歳だからそんな物かな?
「これくらいしっかりしていらっしゃるなら、天界は次の世代も安定ですね」
そう言ったのは竜王様。
「…………それは、私への挑戦と受け取ってもよろしいでしょうか?」
私がそう言うと、竜王様はまた、面白そうに笑みを深める。
六歳児だから分からないと思った?
この国は武力国家。天界を支えるには、並外れた武力、もしくは文官としてなら知力がいる。
竜王様は、私にこう言ったのだ。
「仮にも王女なら、天王になれる力くらい持っているだろう?
失望させるなよ、と?」
「!」
竜王様は歪んだ笑みのまま、瞳を輝かせた。
「ええ、もちろん
簡単に他のお家に王の座を渡すつもりはありませんわよ
………期待していらしてくださいな」
これは、竜王様からの——竜族からの、私への挑戦状だ。
私がエンジェルスマイルを浮かべると、竜王様はとうとう声に出して笑い始めた。
「あははっ、あはははは!
こんなに楽しい子は初めてだよ
うん、そうだね。期待してるよ、エステラ姫?」
「はい」
竜王様はお茶目だったらしい。
他国の姫で遊ぶのはどうかと思うけど、私の闘志は燃えてきましたよ〜?
精々、私を侮った事、後悔してくださいな。
「ステラ、素敵なご挨拶だったわよ?
さあ、時間に限りもありますし、早速話し合いを始めましょうか」




