無事転生完了!
「あら、起きた?」
眩しい光を感じて目を開けると、そこには、見た事のない様な綺麗な青空が広がっていた。
「あう?」
目線を流すと、そこには翼を生やした、金髪碧眼の綺麗な女の人がいた。
どうやら、無事、転生したらしい。その証拠に上手く話せない。
「うふふ
エステラ…………愛称はステラかしら?」
どうやら、私の名前はエステラらしい。
(…………あれ
そういえば、神様の言ってた『都合』って何だろう?)
そう。私が転生することになった原因。
今思い出したけど。
………ハーフ天使になったんだし、もし会えたらその時に聞いてみよう。
「ステラ、お父様に会いに行きましょうか」
「あいっ!」
私が返事をすると、アメリアさん———お母さんは私を抱き上げた。
(お母さんが)歩いている時に周りを見回した
けれど、何処の天井も空だった。でも壁はある様で、建物ではあるらしい。穴が空いているのか、「魔法」の力なのか。
「エド、私よ
入ってもいいかしら?」
一つの扉の前で立ち止まり、ノックをして言う。
確認はとった方がいいのかな。覚えておかないと…………。
「ああ、入ってくれ」
少しすると、扉の奥から低めの、けれどよく通って聴き心地のいい声が聞こえた。
部屋に入ると、そこの天井も一面空だった。
そしてお父さんだが、神様が言っていた通り銀髪緑眼で、若々しいイケメンだ。エルフだからかな?近寄り難くて厳しそうな雰囲気だが、私とお母さんを見る目が優しいのは分かる。
「エステラ、おいで」
(………いや、どうしろと!?)
思わず突っ込んでしまった。
私はまだ歩けもしないので戸惑っていると、お母さんが私をお父さんに渡した。
(あ、そういう)
「ステラ、お父様よ〜」
お母さんが私にそう言う。赤ちゃんだから怖がるかも、とかそういう配慮かな?
お父さん、強面でもないんだけど、一見無表情だし、確かに怖がられそう。
少なくとも、子供が嬉々として寄っていくことはないと思う。
「あう!」
私は取り敢えず、お父さんの腕に抱きつく。怖くないよアピールとリップサービスだ。想像で同情してしまった。ドンマイ、パパ。
「あらエド、良かったじゃない
顔が怖いせいで子供に泣かれる、って心配してたんでしょ?」
「え、あ、いや、何でそれを……」
(あ、やっぱり気にしてたんですね)
「コホン、ああ、愛称はステラになったのか
私もそう呼ぼう」
(あ、誤魔化した)
分かりやすく話を逸らしたが、見逃しておこう。
「…………ステラは可愛いなぁ」
おや、お父さん。クールが消えて、親バカが出てきましたか。
まあ、お父さんもお母さんも美形だし、他から遺伝しない限り、私も美形だろう。
「ふふ
ステラ、お嫁に行くのは難しそうね
エド、きっと自分よりも強くて賢くないと許してくれないわよ?」
とお母さん。あぁ、娘は嫁にはやらん!ってやつか。ありそう。
成長したら、「パパのお嫁さんになる!」とか言ってみようかな。………本気で取られそうだしやめておこう。怖い………。それに、お父さんにはお母さんがいるしね!美男美女でお似合い。目の保養だよ。
「………当たり前だろう
ステラを守るにはそれくらい当然だ」
開き直った!
「う、あ…………」
あ、なんだか唐突な眠気が…………。
うぅ、目が開かない。
「あら、ステラ、眠いの?
エド、ステラを寝かせに行くわ」
お母さんが私に手を伸ばしたところで、私の意識は闇に落ちていく。
(…………やっぱり、此処での暮らし、楽しくなりそうだな)
薄らとした意識の中、私はそう確信する。
新しい世界で、新しい家族と、新しい生活。
前の世界に未練がない、って言ったら嘘になるけど、過去のことを悔いても仕方ない。
私は全力で、この一生を謳歌する!