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刺身としての喜び

さて、スーパーに刺身として並べられて、2日目の朝が来た。鮮度的に多分今日には僕は廃棄されるだろうから、今日を含めてあと1日の命か…まあ既に死んでいるんだけど。今日こそ本当に売れてしまうのだろうか。それとも売れずに廃棄されるのだろうか。どちらがいいのか分からないけど、そんなことを考えたって仕方がないので、取り敢えず天井のシミ数えに徹することにする。


「お母さーん!鯛鯛鯛!」


思わず目玉が飛び跳ねそうになった。恐る恐る声の方を見ると、小さな男の子が僕を指差しながら近付いてくる。あぁ、買われてしまう。

男の子が僕の入ったパックを母親らしき人物が持つカゴに入れた。

「コラ、弘樹!勝手に入れないの!しょうがないわね…」


「だって僕鯛大好きなんだもん!」


鯛が大好きなんだな。この言葉が、ほんの少し僕の恐怖心を和らげた。弘樹と呼ばれた少年の嬉しそうな顔は、前世の僕の小さな頃を僕に思い出させた。この子に食べられるなら、悪くない。そう思えた。

間もなく弘樹の母親はレジを済ませ、車に乗り込んだ。

今回の僕の鯛としての人生は今日をもって終了となった。

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