狼煙に
大きく空いたもじゃもじゃの
穴には、青い空がない
穴から伸びるいかづちの樹の
遥か根元で身を横たえる、
キミの炎にひとが集う
――そしてキミは息絶える
名のある語りが語る通り、
ひとびとは燃え跡から離れられない
「おお、喪じゃ、喪じゃ」と服うひとの
泥む視野で消えるキミは、
浮かび上がってゆらゆら揺れる
人間の喪を燃えるのではなく、
動物の丸焼きの灰でもない
キミはキミたるキミの喪を、ただ
もじゃもじゃと萌え萌え萌える
天へと昇るかぐつちのキミの
影の御許に人は横たわる
キミの行方はとりとめもなく
――そしてキミは祈られ始める、
逸れたばかりの古の場所で
大きく空いた真っ青な
穴には、雲の守りがある