表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/1285

2つ目?の依頼、無事達成して帰還する

 ヒィと話をした後、ドギンもテトロンを去る。

 その一方で、レッダロンは何時の間にか居なくなっていた。

 サフィはレッダロンから得られた情報に、とても満足したらしい。

 満面の笑みで、ヒィの所へやって来る。

 そして両手を目一杯高く掲げて、大きな事を成し遂げた後の様に。

『うーん!』と、思い切り背伸びする。


「さーて、やる事もやったし。あたし達も帰ろうかしら。」


「お、おい!ちょっと待て!」


 サフィの言葉を受け、待ったを掛けるヒィ。

 その理由は。


「アーシェはどうするんだ?」


『さん付けは止めて欲しい、後は同目線でお願いする』と。

 アーシェから頼まれたので。

『そちらも対等な立場で話してくれるなら』との条件で、敬称は語尾から取られた。

 これは、『アーシェを正式に、仲間と認めた』と言う事である。

『自分が〔救世の御子〕である』との主張を、受け入れたのでは決して無い。

 その事に付いて、念を押しながら。

『うーん』と少し考えた後、何かひらめいたらしい。

『ちょっと邪魔するわよー』と、アーシェの背後に回り込むと。

 サフィは掌で、アーシェの目を隠す。

 そして。

 シュッ!

 目の前から、サフィとアーシェの姿が消えた。

 突然の事に、身体が硬直するヒィとジーノ。

 数分の後に、再び現れるサフィ達。

 サフィが、残されていた2人へ告げる。


「これからアーシェも、一緒に住む事になったから。宜しく。」


「『宜しく』って、そりゃあ良いけどさあ……。」


 視線を下に向ける、ヒィとジーノ。

 サフィの足元で、ガックリと来ているアーシェがそこに居た。


「まさか、陛下に対しても尊大な態度とは……!」


『不敬を働いてしまった』と、わなわな震えている。

 そこへサフィがしゃがみ込み、声を掛ける。


「大丈夫よ。あいつ、気さくそうだったもの。」


「『あいつ』などと!何と言う、恐れ多い……。」


 そこまで言って、ヒィとジーノの視線に気付く。

 プルプルと、首を横に振る2人。

 いつもの事、気にしたら負け。

 これから一緒に暮らすなら、尚更。

 そう訴えている。

 受け入れ難いが、受け入れるしか無い。

 それにしても、この娘は。

 一体、何者なのか?

 正体が見えそうで見えない。

 チラリと、たまに垣間見せる姿も。

 偽りなのか一部に過ぎないのかさえ、掴ませてくれない。

 面妖な者だ……。

 そう思わざるを得ない。

 漸く自分の置かれている状況を喉元へと飲み込んで、アーシェは立ち上がる。

 サフィはヒィとジーノに、荷物を持って来る様指示。

 慌てて取りに行くと、いそいそと戻る2人。

 今度はヒィ達に、『肩を組め』と命令形。

 何だ、何をする気だ?

 刃向うと、こじれる様な気がしたので。

 素直をに従う2人。

 アーシェもその、スクラムの様な輪の中に加わる。

 サフィが言う。


「目的は取り敢えず達したから、これから屋敷で宴会よ!それっ!」


 シュッ!

「!」「!」「!」

 驚く、ヒィ達3人。

 予告無く姿が消えたのを、たま々目撃したテトロンの人達も。

 同様に驚いていた。




「〔瞬間移動〕と言うのは、本当だったのか……!」


 ヒィが思わず、そう漏らす。

 彼等の目の前に広がっている光景は。

 そう。

 フキの町に在る、ヒィの屋敷の中庭。

 急に、目に見える景色が入れ替わった。

 気が付くと、ここに居た。

 サフィの言葉を、信じる他無い。

 肩を組み合って形成していた輪を解いて、サフィは言う。


「初めて体験する時は、目隠ししないと酔っちゃうのよねー。」


 中庭からソイレンの町へ跳ぶ時、ヒィとジーノの視界を塞いだのは。

 瞬間移動に慣らす為。

 らしい。

 そこで、ジーノがサフィへ詰め寄る。

 前にヒィへ言った事を、そのままそっくり。


「こんな事が出来るんなら、ゲートを直す必要が無いじゃないか!」


 この技を使えば、ゲートを使わずとも何処にでも行ける。

 ソイレンに現れたゲートだって……!

 あれのせいで、町の平和が脅かされた。

 ジーノは今でも、そう思っているのだ。

 しかしサフィは、ジーノの耳元で何やら呟く。

 すると、ギョッとした顔付きになったジーノが。

 思わず『バッ!』とサフィから離れ、顔色が真っ青になる。

 頭を抱えしゃがみ込むと、ブルブルと震え出すので。

 ヒィは心配になり、サフィへ問いただす。


「何を言った!白状しろ!」


 でないと、屋敷から追い出すぞ!

 それ位の剣幕で言うものだから、サフィも渋々返答する。




「世界がヤバくなった時の、【避難経路】。そう言ったのよ。」




「それだけか?」


「ええ。そうよ。何か問題でも?」


「いや、だって……。」


 サフィの答えに、顔をしかめるヒィ。

 ゲートの開放は、住人を逃がす為。

 その主張が本当なら。

 天啓に出て来た、あの〔K〕が。

 世界を蹂躙じゅうりんする事は最早、確定的と成るから。

 認めない、認めないぞー。

 ブツブツと言っているジーノ。

 サフィがその背中をガシッと蹴ると、コロコロ転がって。

『ポスン』と、ヒィの足に当たる。

 丸まっているジーノに向かって、サフィが言い放つ。


「だったら強くなる事ね。あんたの願い通りに。そうすれば、あんたの故郷も守れるでしょうよ。」


「えっ?」


「あんたがしがみ付いて来た時、振り落とさなかったのは。何の為だと思ってんの?」


 そう言って、サフィは顔を背ける。

 まるで、照れている顔を見られたくないかの様に。

 確かに、瞬間移動が出来る位だ。

 ドワーフ1人如きが掴まっても、振り解くのは容易たやすい筈。

 なら、サフィのこの行為は必然……?

 そう考えたヒィはその場にしゃがみ、ジーノの顔を真正面から見据えて。

 優しい口調で語り掛ける。


「お互いにさ。大事なモノを守る為に、もっと強くなろう。な?」


「あ、兄貴……!」


 うんうん頷きながら、ジーノはヒィと抱き合う。

 ジーノのその小さい目は少し、涙でうるんでいたが。

 悲しみのなのか、喜びのなのか。

 ジーノ自身も、分からなかった。




 一悶着有ったが、とにかく屋敷へと帰還したヒィ達。

 アーシェは裸一貫も同然で、ここに連れて来られたので。

 家財道具など、何も無い状態。

 〔どの部屋に住むか〕すら、まだ決まっていない。

 取り敢えず、客間に案内されるアーシェ。

 ジーノとヒィは、持ち帰った荷物の整理を。

 まあ、大半はサフィの私物だったが。

 手持ち無沙汰だったので、何もする事が無いアーシェは。

 客間に鎧や武器を置いて、屋敷内をウロウロ。

 そしてサフィの部屋を覗き込むと、荷物整理の手伝いを買って出る。

 女性の手は、大いに歓迎。

 喜んで、アーシェの申し出を受けるサフィ。

 整頓の最中さなか、アーシェがサフィに尋ねる。


「済まないが。ゲートとやらに付いて、説明して貰えまいか?」


「ああ。あんたは、通った事無かったっけ。」


『ごめんごめん』と、サフィが手っ取り早くアーシェに説明する。

 ほう、そんな物が……。

 この世界にはまだまだ、私の知らない事が沢山有るのだな。

 感慨深げのアーシェ。

 2人で荷物整理を行った結果。

 サフィ1人でやるよりも、遥かに早く終わった。

 なら、〔あれ〕に励みますか。

 そう思ったサフィは。

『ちょっと買い出しに行ってくるわよー』と、奥でまだ整理中のヒィとジーノに告げて。

 サフィの取って置きのドレスを着させられ、何処かのお姫様の様な風貌になったアーシェを伴い。

 フキの商店街へと向かって行った。

 ヒィとジーノは、『アーシェの衣服周りを調達しに行ったのか』と。

 その時は大して気にしなかったが。

 後で、大量に運ばれて来た料理を目の前にして。

『どうしてあの時、買い出しの内容を確認しなかったのか』と、後悔するのだった。




 アーシェの部屋は、サフィの隣と成り。

 料理と一緒に運び込まれた、箪笥たんすやベッド等も備え付け完了。

 やっと、まったりとした静かな時が戻って来た。

 ヒィは自警団、ジーノは鍛冶屋。

 そこでそれぞれ働きながら、暇を見つけては剣などの修行に勤しむ。

 たまにそこへ、アーシェも混ざる。

 ヒィが今回の事を報告しに、町長とロイエンスの下を訪れた際。

 共に出向き挨拶を済ませ、アーシェは自警団の特別顧問に。

 自警団の連中に稽古を付けながら、自身の目的を今一度見つめ直す。

 男くさい自警団の中では、アーシェの存在をオアシスみたいに感じ。

 勝手に『マドンナ』と呼ぶ者が増えて行った。

 ブレアを初めとする女性の自警団員は、それを不服とするも。

 アーシェのキリッとした美形顔に、何時の間にかいちファンと化していた。

 サフィと言えば、フラッと居なくなる事しばしば。

 また何処かで、ちょっかいでも掛けているのだろう。

 こうして何事も無い時が、十数日過ぎる。

 しかし世界は、ヒィ達を放って置いてはくれない。

 次の厄介事が、怪しい依頼と共に。

 ヒィ達の下へと迫っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ