やはり隠し事は良くないと思います。
「そろそろ出発だよ〜」
「「はーい」」
さぁ引っ越しだ。
「って、何処に行くの?」
一体何処へ行くのだろうか…
「行き先は、神のみぞ知るってところですね」
「………そう」
未決定だったらしい。
それにしても………
「ねぇ桜」
「なんですか一樹?」
「じいさん、なんとかならねぇの?」
「…」
そう言いながら後ろを向いた僕と桜の目線の先では…
「よっしゃー!久しぶりの引越しじゃー!!」
じいさんが踊っていた。
「ほらじいさん。今にも人が死にそうな不気味なダンスをやめろ」
「ほぇ?」
「今気付いたのかよ!?」
「いやはや、見苦しいところを見せてしまい申し訳ない」
「今更取り繕っても遅いからね!?」
「はいはい二人とも、じゃれてないでさっさと行くよ」
「「じゃれてないよ(ぞ)!」」
「ふふっ、それでは出発しましょう」
何だろう。最近桜にからかわれる回数が増えつつあるような…
それから約5時間が経過した。
「暑い…」「暑いのぅ」「暑いですね…」
僕ら三人は砂漠を彷徨っていた。
「僕達…ここで死ぬなんてことはないよね…?」
「それは………ないですよ?」
「本当にないよね!?なんで疑問系なの?ねぇねぇ!?」
「ほれ一樹、そんなに叫ぶと喉が渇いてしまうぞ」
「ムグゥ………」
「あ!ほら!!オアシスが見えてきましたよ!!ほらほら!」
「幻覚じゃないよね……」
「安心せぃ。本物じゃ」
良かった。僕らは死なずに済むらしい。
見えているオアシスが見ただけでも10キロは離れていなければ。
絶望に近い気持ちを味わっていると、
「あなた達大丈夫ですか?」
「「「???」」」
不意に背後から声が聞こえた。幻聴かな?
「乗りますか?」
うん。幻聴ではなかった。
振り向くとラクダを連れた男性が立っていた。
「乗りますか?」
聞こえなかったと思ったのか、男性がもう一度聞いてきた。
「「「乗ります!!」」」
もちろん即答するよね?これ以上歩いたら死ぬよ?まじで。
「いや〜、わざわざ歩いてくる人もいるんですね〜」
「……は?」
「いえ、近くの町に行けば普通にラクダタクシーがあるのにって「おい。それは本当か?」
本当だったら今までの僕たちの苦労は一体何だったんだ。
「?はい。本当ですよ?現にこれもそうですし」
そんなこと初耳だぞ。
「さ〜く〜ら〜?」
「いっ、いえ、私も知りませんでしたので」
「ま、そりゃそうか」
知らなかったのならしょうがない。それに桜だから許すに決まっている。
「わしは知ってたぞ」
「よ〜しじいさん。歯を食いしばれ〜?」
「ま、まて一樹!早まるでないぞ!!」
これは一発殴っても良いと思うのは僕だけでしょうか?
「おじいちゃん?」
「さっ、さくら!助けてくれ!!」
「あ!じいさん卑怯だぞ、桜を盾にするなんて!」
「おじいちゃん…」
「桜………?」
「今日は夕飯抜きです」
「なぜじゃ!?楽しかっただろう!?」
良かった、桜も僕と同じ意見だったらしい。
「楽しいわけないだろうこのバカじいさん!こちとら死にそうだったんだぞ!」
「そうですよおじいちゃん!もうダメかと思っちゃったんだから!!」
「すまん…」
「あの、お客様。そろそろ勘弁してあげても…」
しょうがない。これ以上みっともない姿は見せられないし、かんべんしてやるか。
「そうですね。そろそろ許してあげましょう」
「一樹、桜!」
じいさん、そんな目で見ても全然可愛くねーぞ…
「あ、もちろん夕食は抜きですが」
「なんでじゃ!?」
あ、桜キレてる。
そりゃそーか、死にそうだったんだし。
「なんでって…おじいちゃんのせいで疲れちゃって、明日は狩りに行けそうにないじゃないですか!」
あ、そっちなのね。じいさん。ちょっとだけナイス。
「お客様、着きましたよ?」
そうこうしてるうちに着いていたらしい。
「あの、今日は本当にありがとうござ…」
「代金は途中からなので半額の50円です」
って、金取るのかーーーーーい!!感謝して損したよ!
代金を払い、新たな町へ来た僕ら。
最初にすべきはやっぱり宿探し…
「あ!ここの家って空いてますか?」
「空いてるよ、50万円ね」
「はい、どうぞ」
「毎度あり〜」
…は終わったみたいだから荷ほどきだね!
っていうか50万円も現金で持ってきてたのかよ桜は…
そこはとある場所。
そこには一匹の生物が巣を作っていた。
しかし後から、ふた周りは大きい生物がやってきて巣を取ってしまった。
仕方がないので、巣を取られてしまった生物は新しい住処を求めて飛び立った。