努力をすれば力は付いてくるものです。
「この後はどうしますか?」
自分より大きい虫を狩ってきた帰り道、明日も狩る気満々の桜から声がかかった。
「もう絶対囮はやらないからな…」
もうあんなしんどくて恐いことはしたくない。
「それでは、囮はおじいちゃんが?」
「ほっほ、年寄りには務まりませんよ」
じいさん、囮が嫌だからって僕に押し付ける気だな。だが甘い。その程度で僕は怯まない!
「じいさん、運動は大切だよ」
「いえいえ、毎日鍛えておりますゆえ」
「…」
ここで引くわけにはいかない!もう囮は嫌なんだ!!絶対にやりたくないんだ!
「じいさんはいつも後始末じゃん?たまには前に「大丈夫ですぞ。楽しんでおりますので」
「…」
あー…うん。どうやら囮は僕で決定しそうだ。
「はぁもういいよ僕で…」
「そうですか?ではこれからもよろしくお願いしますぞ」
(このやろう、覚えとけよ)
そう思いながらも僕は囮を引き受けることにした。
「それで、この後はどうしますか?」
また桜から声がかかった。
う〜ん…別にやりたいことがある訳でもないし…
「何かしたいことでもあるの?」
「はい!実はそろそろ『アレ』が食べたいなぁと!」
「『アレ』ってなに?」
「アレっていうのはですね…」
「見てからのお楽しみじゃ」
桜の説明をさえぎってじいさんが言ってくる。
なにが秘密だ、このやろう。
「そうですね…見てからのお楽しみです!(ニコッ)」
そうかぁ、秘密じゃしょうがないね!楽しみにしておこう!
一旦帰宅して僕達は海に来ていた。
何をするのか聞こうと思ったのに、桜は「じゃあ行ってきますね」と言って海に潜っていき、じいさんは僕に釣竿を渡すと影に行って寝てしまい、僕は今一人で岩の上に座って釣りをしているという状況になっている。
べ、別に寂しくなんてないんだからね!!
………寂しくはないけど虚しくなった…。
そのとき、ザボンッという音を立てて浮きが沈んだ。
と、思った瞬間に勢い良く引っ張られた。
「大きい!」
これは今までで一番の引きだ。かなりの大物に違いない。
「どぉりゃーーー!!!!!」
僕は力一杯竿を上げた。良し!釣れたぞ!
「………て、あれ?」
うん。釣れた。とても大きい魚が。
引っ張った反動で上にあがってこちらに向かって一直線に…
「落ちる〜〜!!!」
次の瞬間、とっさに横に避けた僕がさっきまでいた場所を魚が直撃していた。
その衝撃で魚は気絶したのか、ピクリともしない。
「まぁ、良しとしよう。っていうかこれはどうやって運べば…」
「わしに任せるのじゃ」
「じいさん!?」
神出鬼没のじいさんはそう言うとヒョイと魚を持ち上げて見せた。
「っておい!?それどう見ても100キロはあるじゃねぇか!」
「日頃の訓練の成果ですな」
「普通は訓練してもそこまでにはならねーよ!」
「一樹、一樹」
「ん?桜かってウギャア!!!!!」
なんだなんだ!?振り向いたら顔がすごくヌメッとしたぞ!?
「おや?その魚を釣ったのですね!凄いです!」
いやいや、それほどでも…
「今日のおかずは豪華です!」
あ、凄いのは僕じゃないのね…
「っていうか桜、その手に持っているのはなんだ?」
どう考えてもさっきヌメッとした原因もそれなんですけど…
「これですか?ナマコの一種ですよ、えーっと…あれ?そういえば名前は私も知りませんね。おじいちゃん、知っていますか?」
「ほっほ、帰ってから調べてごらんなさい」
「分かりました、おじいちゃん」
じいさん、さてはお前も知らないな…
「夕食が出来ましたよ!」
「「おぉ〜」」
目の前に現れたのは今にもヨダレが垂れてきそうな料理。
さて、どれから食べようか…
「美味しいですぞ、桜。お代わりを頼めるかの?」
「はーい♪」
おいじいさん、食うのはえーよ…
気を取り直して僕も、
「頂きまーす」
パクッ。!?。パクパク。!?!?。パクパクパクパク…
なにこれ旨っ!?
魚の刺身は身がとてもプリプリしてるし、ナマコの酢和えもとても歯ごたえが良い。
極め付きはこの海鮮サラダだ。
プリップリの魚の身とコリコリのナマコ、それらに凄く合うこの酸味のきいたドレッシング…
「僕にもお代わり!!」
「はいはーい♪」
こんなに美味しいものを僕は今までに食べたことがない!どんどん箸が進むぞ!!!
「ふぅ〜、美味しかった〜」
「もう入らないのじゃ」
「お粗末様でした♪」
結局ご飯を5杯もお代わりをしてしまった。
「では、二人とも後で自分の荷物をまとめておいて下さいね」
「わかったのじゃ」
じいさんは分かったみたいだけど、僕にはさっぱりわからない。
「え?なんで?」
「あ、そうか、知らなかったんでしたっけ…明日はここを離れて移動しますよ。つまり…」
ーーー引っ越しですーーー
僕は桜に言われたことを思い出しながら荷物を整理していた。
「何処へ行くのかな?まぁ、行けばわかるか…」
さぁ、明日は引っ越しだ!