誰かしら一つや二つ譲れないものがあると思うんです。
「ヤベェ…気まずい……」
僕は凄く気まずいと思いながら老人が用意してくれた朝ごはんを食べていた。
そりゃそうだろう、朝起きてから僕はいきなりこの女の子のほっぺたをムニムニしてしまったのだから必然的に気まずくもなr…
「あ、これ美味しいね、おじいちゃん」
気まずくもn
「々×」〆=×」|」
気まずくm
「もう、おじいちゃん!日本語を使ってって言ってるでしょ!」
気まずk
「いや、しかしだな…」
気まz
「じゃないと、この人に通じな「何でだよ!!!」
そう叫ぶと僕は勢い良く立ち上がった。
「どうしましたか?」
「いやどうしたもこうしたも………」
「?………あぁ!そういうことですか、遅れましたが私の名前は*+×と申します。そうですね、日本語ではなんと言いましょうか…あなたの好きな花は何ですか?」
「はい!?あ、えーと、桜です」
「そうですか、それでは桜とお呼びください」
「わっ、分かりました。…って、違うよ!!」
「好きな花は桜ではないのですか?」
「そっちじゃないよ!?君は何で朝あんなことがあったのにそんなに平然としていられるの!?」
「朝???」
まさか覚えていない?あんなことがあったのに?
「…!あのことですか、確かにほっぺたが少しくすぐったかったです」
うん。どうやら動揺していたのは僕だけだったらしい。
だってしょうがないじゃん!同年代の女の子なんて初めてだもん!
「いや、何でもないんだ……ハハ」
「?そんなことよりあなたの名前を教えてください。このままでは呼びづらいです」
「あぁ、そっか。僕の名前は、」
そこで僕は気づいた。
自分の名前が分からないということに。
「…ごめん。分からないんだ、自分の名前が」
「記憶喪失ですか?」
「驚かないの?」
「あんなに派手な戦争があったのですから仕方のないことです」
「そっか・・・」
「それではあなたのことは、一樹と呼ぶことにします」
「なぜ一樹?」
「あなたが人類最後の一人で寂しい人だからです」
「ひどっ!?」
「冗談ですよ」
そういうと桜さんはニコニコと笑った。
なにこの子!?凄く可愛いんですけど!
「あれ?そういえば何で僕が人類最後の一人って知ってるの?」
僕からこの子、桜さんに話したことはないはずだ。
「いえ、通りかかった方に聞いたので」
「そうなんだ」
仲間の人から聞いたのかな?
「それで、私はなんと呼ばれるのですかな?」
「うわっ!?」
いきなり後ろから声がかかって驚いた。
「えーっと…どうしようか、桜さん」
「そうですね、おじいちゃんは・・・おじいちゃんです」
「だ、そうなので適当にじいさんとお呼びください」
「良いの?桜さん」
「はい。それと、私のことも呼び捨てで構いません。私もそうしますので」
「うん、わかった。これからよろしくね。桜、じいさん」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
「仲良くやっていきましょうな!」
この人達はとても良い人たちだ。優しいし、初めてあった僕にも暖かく接してくれる。
「じゃあ、朝ごはんも食べたことですし…」
「食後の運動と行きましょうか」
「?どこへ行くの?」
「昨日のリベンジに決まっているではありませんか!」
「まさか・・・あの化け物?」
ティラノサウルスによく似たあのでっかい…
「ほっほ、負けっぱなしは良くないですぞ」
「…」
この人達のことがまた一つ分かった。
>>とっても負けず嫌いだ<<