頑張っても無理なものは無理なんです。
「ヤベェよ!死ぬよ!死んじゃうよ!!」
焦りながら僕は走った。後ろからは奴が追いかけてきている。
体がもともと大きいから追いかけてくるスピードも桁違いだ。
「…あそこに良い場所が!」
狭い木の隙間を見つけた僕はそこへ全力疾走した。
息を吐きながらも確認する。
「...セー………フ?…」
奴は、どうやって捕まえるかを考えているように立ち止まっていた。
「諦めたか?」
しばらく考えているようだったが、奴は諦めて元来た道を戻っていっ……………た?
『グルルルルル...』
「は?」
前言撤回。奴は諦めていなかった。そんなに僕は美味しそうに見えるのか?
「あ、来る…」
そう思った瞬間、僕の目の前に景色が広がった。
ーーー「何だろう、あれが僕のお母さん?抱っこされているのは僕?この光景どこかで見たことがあるような…」
見えたのは知らないのにどこか懐かしい光景。
のどかな風景。
ーーー「…って、走馬灯だよ!!!!!」
気づいた瞬間景色が元に戻った。
目の前にはティラノサウルスを思わせる、大きな化け物が突進してきている。
大きな音を立てて僕と奴を阻んでいた木が折れる。
咄嗟に横に飛んで逃げる。
僕がさっきまでいた場所が土ごとえぐられる。
僕は土煙に紛れて岩の陰に身をひそめた。
「気づくなよ…」
様子を伺っていると、奴は匂いを嗅ぐような仕草をした後にこちらを向いた。どうやら目だけでなく鼻も良いらしい。
「あ、これ詰んだわ…」
僕だけは絶対に生き残ると決めたのに…
諦めたその時僕はこちらへ向かって来る、奴が転ぶのを見た。
「どうして??」
よく見ると足元にワイヤーが張ってあった。
あまりの出来事に腰が抜け、僕は逃げようにも逃げられなかった。
そんな僕を後ろから引っ張る者がいた。
「☆¥%×○>×〒」
なんと言っているのかは分からなかったが悪意を感じなかったので僕は素直に従うことにした。