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僕に恋する人  作者: 音夢
第0章 番外編
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番外編 真里亞の夜

今回は前回言った通りサイドストーリー、まぁぶっちゃけ番外編です。

あと前回よりも格段に短いですが、ご了承下さい。


では、どうぞ!



ある部屋の中、リビングやダイニングキッチンなどを合わせ作られている為か、形は縦長く、大きさは普通のマンションやアパートの部屋よりも、少し大きく感じられる。

そして部屋のパッと見たイメージはかなり『痛い』部屋だ。別段家具として置かれている物には、何ら『コレ』と思わせる特徴は全く無い。強いて言うのならばベットの近くに置かれている2個のデジタルフォトフレーム、1つの写真立てぐらいだろう。写されている全ての写真が、10人見れば10人が例え同性だろうとも振り向いてしまうだろう美しく女性と並び、女性とは相対する地味なメガネを掛けた青少年との写真だけだった。


その写真でも多少ながら異常な光景とも取れるが、見方を変えれば女性と仲の良い弟が一緒に写真を撮っている程度にしか思えなくも無い。

それ以外の家具は1〜2人暮し用の少し小さな冷蔵庫や、その上に置かれて居る電子レンジ、椅子に机と全くと言って良い程に不思議な家具などは無かった。


では、一体何が『痛い』のか?

そもそも『痛い』とは傷などを負った時に感じる衝撃、刺激などを総称してそう呼ぶ。だが、少なくとも今回に関してはそれの意味が360度ねじ曲がっている。

ならば今回の『痛い』とは、そう思う人も多いだろうが、答えはとても簡単な意味だ。非常識、世間一般上の一般論とは懸け離れた行為、物などに与えする言葉とされる。そうするとこの部屋にある、一先ず家具だけをみ見れば多少非常識に感じるかもしれないが、それ以外は全く常識外れな物は無い。だとすれば、いや………部屋全体を見れば確実に異常だと、非常識だと分かるだろう。


フォトフレームに映し出されていた青少年、それはハッキリ言って美しいやカッコイイ、モテモテなどの言葉とは全く無縁なメガネ青少年だ。だが、現実。少なくともこの部屋に置いては違っていた。

部屋の異常、それはメガネを掛けて居る『あの』青少年を隠し撮りしたであろう大量の写真が貼られている。ただ写真以外には防水加工された写真やポスター、時計に抱き枕などと数え切れない程にあった。もしもこれがアイドルなどの物ならばまだ何かまともだったのかもしれないが、一般のしかも中の下と平均中の平均な青少年ならば、これは確実なまでに異常だ。



そんな異常な環境を寧ろ心地良いと感じている、部屋の主であり青少年とは真逆の美しい女性である九条 真里亞は全ての写真、その青少年に対して愛だけを向けならが癒され、年相応とは言い難い乙女の様に頬を赤く染め上げ、ウットリと写真を眺めていた。

彼女の周りだけ時間が、世界が、その全てが止まって見えた。まるで芸術作品を見ている様な、そんな感覚に襲われる程に美しく、壊れてしまいそうなほど繊細で、だが可愛く悪戯な小悪魔な笑み。 これを悪女とも呼ぶのかもしれないが、彼女の気持ちはただ一人だけを目指し、望む。


「見ているだけでここまで癒されて、しかもこんなに恋しく、愛おしくさせるなんて。ふふっ、何れだけ恋くんは罪深い人なのかしら?」吐息を吐く様な、ただ乙女が好きな人に対して思いを綴る様に、そう声を漏らした。だが、その言葉には嫌味や皮肉などは無く、愛だけが満ち溢れた言葉。

そんな真っ直ぐな感情を持ち、尚且つ愛したあの青年を信じ愛し続ける、歪んだ『何か』などは無い真里亞にすらも、やはり悩みがあった。いや、人間としてはごくごく当たり前な事なのだろうが、その悩みはある一定の職業や役職関連でもあり、真里亞自身にも大きくと関わる悩み。


(明日はどんな風に恋くんに話しかけようかしら?何時もみたいに甘やかすだけじゃなくて、ちょっと突き放してみて困って可愛い恋くんを見るのもいいけど、でも気だるそうで何か獣って感じになったあの恋くんもカッコイイし、どうしようかしら!?

あ、でもでも少し私の方が甘えてみて優しく頭を撫でて来る恋くん何かも、キャァー良い!恋くんの事想像しただけで身体が真から熱く成っちゃうわ。)それが今、彼女自身が仕事云々を抜きとして出た気持ち。



メガネ青少年、それは真里亞に取っては大事な生徒であり、同時に自分の愛おしい人にもなり得た。

なので仕事の事と言えば間違って居ないと言えば居ないが、多かれ少なかれ一人の生徒に関して過剰なまでに依怙贔屓(えこひいき)、差別するか如く。いや、完全的なまでの差別発言は教師としては確実問題ダメだろう。だが、そこまで明らかに1生徒への好意は社会的にも問題なのにも関わらず、それでも今までそう言った何かが起こった事は無く、真里亞もあまり気にはして居なかった。もちろん、メガネ青少年もとい恋と言う青少年に何かがあれば、自分が出来得る事全てを行い必ず恋を助けるだろう。これは確定的な事実では無いが、真里亞ならば100%の確率で行うと思われる。


それでもコレだけでは仕事と言うよりかは、私情をただ述べているだけであり、彼女が所属している職務とは全く持って関係が無いに近い。

すると「んー」と口を閉じたまま無声音を発しながら、手を組み身体を伸ばし、まるで準備運動をする様な行動を取ると、真里亞は「それじゃあ、時間も結構経ったしお仕事でもするとしますか。はい、真剣モード入りますっと」ふざけた様な言い草と思うが、その目は先ほどの様にハート、恋に対して向けた愛を纏った目では無くなった。

目は釣り上がり、怒りを連想させる様な冗漫が全く含まれていない、本気の目へと。




すると何処からか出した学校で教師に支給されている仕事用のNPC(ノートパソコン)を出した真里亞は、そのNPCのホームボタンを押し、薄っすらとドライブが回る音がする中、NPCは起動した。

黒いディスプレイには起動画面が映し出され、次の瞬間これまたメガネ青少年である恋が明一杯に拡大された画像が貼られていた。だが、一様仕事様なのか、その点以外には何か特別異常なアイコンなどは見た感じ無い。


「じゃあ、資料書きますか」そうまだ疲れた表情では無いが、内心(早く恋くんに会いたいなぁ♡)と思いながらも、真剣な表情で『特待支援生』と書かれたファイルを開き、記入式になった解答フォントをただ一向に回答し始めた。

内容は特待生への指導方法や、現段階で上がる上位者の家庭事情や校内での支持率などを記入する感じだ。

もちろん真里亞は恋を特待生として上げたいが、自分と会える時間が減る確立がある為か悩みがちに記入していく。でも、恋の為と思いながらやっているからか、以上なまでの記入速度でキーボードを押して行き、約15分足らずで真里亞の今日やるべき仕事は最早終わった。いや、学校などでもしっかりと職員室などでもやっているので、意外とまともである。



「さーて、堅苦しい時間は終わったし、さっきシャワーも入ったから寝るとしますかぁ」そう真剣な時とは、明らかに180°違う表情で真里亞はベッドに倒れ混む。

ベッドは柔らかく、そして盗撮して作ったであろう恋の抱き枕を抱き締め、子供が誕生日前日に早く寝れば誕生日になる。的な理論と同じ様に、早く寝れば恋くんに会える、と言う理論のもと意識を何処かへ解き放って行き、眠りについた。




次回も来週の月曜日に投稿します。では、感想などがありましたら書いて下さい。

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