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僕に恋する人  作者: 音夢
第4章 文化祭、それは終わりへの道
66/67

4ー7

酷く疲れた、何時もと言えば何時もだが、今日は豪くその言葉を感じさせられる。

いや、無意識の内に昔から言っているから癖にでも成っているのかも知れないが、まぁそれならもう直す必要も無いだろう。実際、結構疲れたしな今日は。


息を「ふー」と吐き出し、息を「すぅー」と吸い込む呼吸音が、溜め息と同じくらいには感じて居ると自負出来るぐらいには、多分今の僕は疲れて居る。


母さんに九条先生、女将さんとのデートと言うか、お話?を終え、生徒会室を出た僕は、まだ残っているデートと言う仕事に取り掛かる為、ある場所に向かって居た。

今の今までやって来た事が仕事かどうかと問われれば、確実に仕事では無いと言える自信があるが、生徒会メンバー曰く、今日のコレは立派な仕事らしい。

なら、もっと仕事らしい仕事をくれよ、と要求でもしたくなるが、多分この仕事が僕にはお似合いの仕事何だろう。

忌々しくも、手に入れてしまった力、昔なら鬼とでも罵られ、蔑まれるのだろう。それが今の僕よりも幸せかと聞かれると、贅沢だが僕は肯定してしまう。少なくとも、大切な人を騙す苦しみよりも、僕は楽だと信じて居るから。


幾ら疲れたと言っても、体自体はそこまで疲れては居ないからか、結構早目に目的地へと付いた。だからか、まだ待ち人は来ていない。

少し嬉しいのかな、精神的には今日、だいぶ荒削りの様にガリガリと削られたし、正直な話、少しぐらいは余裕を持たせないといっぱい、いっぱいだ。

だけどまぁ、当たり前の様に僕の都合何て、周りには関係無い。


少し離れた所で桜の木が春に咲かす桜とは違う、また別の風流を奏でる中、僕の名を呼ぶ声。そして周りの人が明らかに圧倒されている雰囲気を感じ、僕はその方向を向いた。

僕を「恋ちゃぁん!(お兄ちゃぁん!)」と人目も気にせずに、2人にしては大きくだが、一般的には少し小さいくらいの声なのに、透き通る様に雑音を通り抜け、僕の元、全体に響き渡った。

それだけで僕とは生きる次元が違うと分かる、そして視界に入る2人の美女、2人が近づいて来る中、僕はゆっくりと息を吐き出し、また何時もの様に覚悟だけは決めて置いた。


近付いて来る2人、ただ眺めて居ただけなのに、何故か前に起きたが、覚えて居ない?忘れてしまった何かが記憶の片隅を過ぎった瞬間、僕はまるでフラッシュバックが起こったかの様に、鮮明に、リアルに、そうまるで今、可愛らしい容姿をしながらも大人びた表情もする夏海が、僕の腹に体当たりと言う名の抱き着きをして来た様な、じゃないか。

「っ!」そんな鈍い声を腹から出し、少し倒れそうになりながらも、「夏海、前にも言ったけど、危ないから辞めようね」そう注意をしたんだ。した筈なのに、まさか束の間の夢だったとは思わなかった。


腹に来る衝撃が和らぐ暇も無く、今度は全身に来る衝撃、そして顔を埋める柔らかい塊、いい匂いが息を吸う度に全身に広がる。ただしかし、体が痛いです。

もう何か、何時もの事だけど注意した端からまた注意しなきゃいけないって、嫌に成って来る。

取り敢えず「秋葉姉さん、離れて」そう言うが、残念にも秋葉姉さんの柔らかい胸に吸収されてしまったのか、言葉は通らない。

しかも「ん、ぅぅん、恋ちゃんあんまり、お姉ちゃんのに話し掛けないでよ。くすぐったいよ」とまで、言われる始末なんだが。


どうしようか、その悩みだけが頭の中に有るが、そんな事も知らずに「むぅ、お兄ちゃんから離れてよ」夏海の少し苛立ちを覚える声が聞こえ、またなのかな?ともう冷静に反応出来る僕が居た。

更に秋葉姉さんも秋葉姉さんで「私が何時、どれだけ、どんな風に恋ちゃんと応接したって良いじゃない」と、明らかに夏海何て眼中に無いと言う感じの雰囲気で、そう放った。


秋葉姉さんは年上なのに喧嘩腰過ぎだし、夏海は夏海で凄くツンケンしてるし、宥めるのは無理そうだな。

となると、頑張って秋葉姉さんの胸に埋れた顔を取り出し、秋葉姉さんと目が合う中、「2人とも、喧嘩ばっかしてると、デート辞めるよ」と姉弟、兄妹でデートと言うのも可笑しな気がするが、この際気に留めてる必要は無い。


僕の言葉に2人は直ぐに反応してくれた。

「うっ、ごめんなさい。お兄ちゃん」と言う夏海に、「うぅー、ごめんなさい。恋ちゃん」とやっぱり姉妹なんだな。謝り方まで似ているとは。何に気付いて居るのかな僕は。

自分自身の変な関心に呆れてしまう僕だが、取り敢えずは落ち着いてくれたので、「ううん、大丈夫だよ。でも、あんまり喧嘩はしないでね」と言い、文化祭を楽しくデート?して行く。



先ずは秋葉姉さんの要望で軽く食事をしたいらしいので、焼きそばを、食べることにした。

焼きそば屋に向かう途中、やはりと言うかやっぱりこう成ってしまうのか。


両手に花とは正にこう言う状況なのだろう。右腕には秋葉姉さん、左腕には夏海、何方もその体にある大きく、柔らかな凹凸をくっ付け、指を絡める様にしながらも手を握り締め、体を預けて来る。

歩き辛い、そう言える辺り、もう2人が腕を抱き締める事も、恋人繋ぎで手を握る事もどうでも良く成っている。

周りからの視線も流す程度には無視出来るので、ゆっくりとには成るが、10分程度で焼きそば屋に着いた。

しかも、この焼きそば屋、舞川の息が掛かって居る所か。だって、周りにサクラか何か知らないけど、絶対舞川の人達が居る。


まぁ、あまりその事には触れずに、やを買い、またベタだが2人から『あーん』をされながら、何とも言い難い気恥ずかしい気持ちの中、焼きそばを食べた僕達は次に、夏海が行きたいと言っている綿あめ屋に向かう。

勿論、移動は先程と同じで向かい、着いたのだが、今回は僕や秋葉姉さんは食べずに夏海だけが食べる事にした。

そこまで秋葉姉さんも好きではないらしく、食べて居る夏海が可愛らしいので頭を撫で、目を細め気持ち良く成って居る夏海で癒された。


癒されたのは良いが、秋葉姉さんは夏海への対抗意識かは分からないけど、背中に当てる様に後ろから抱き付いて来る。慣れてしまったからか、あまり違和感を感じない。

それにしても、2人は他の人達とは違って、何か特別有るって訳じゃないんだ。


以外と言えば、またそれも以外だった。

2人だったら、何かしら有るとでも考えてたから、少し身構えてたのに、今の所は何も無いや。


ただ、こんなに可愛いらしい夏海の頭を撫でて、こんなに綺麗な秋葉姉さんに抱き締められてるんだから、それだけで何かは、有るのかな?

毎日、毎日、何かしら色々と有ったんだ。だから、少しは良いよね。僕が我儘を言っても。


何時も通りの日常を、当たり前の日常に。

そんな言葉が頭の中に浮かび上がり、ゆっくりとそれが溶ける様に体の中に消えた瞬間、「恋ちゃんだけで全部背負わなくても良いんだからね」空耳の様で、でも一瞬だが聞こえた。


勿論、僕だって分かってるよ、だからこそ、皆は特別なんだ。

「夏海」名前を呼び、そして優しく抱き締め、後ろからは秋葉姉さんに抱き締められ、まるでサンドだな。

夏海が「へっ?」と驚きながら頬を染める中、一言、僕は呟いた。







「大好きだよ」と


風や鼓動に消えそうな声で。


次回で最終回です。

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