4ー5
少し疲れたが、まだ真面な方だったのだろう。そんな風に父さんとセバスチャン、神主さんとの茶道部での一幕を終えてから思う中、常識人とは。と悩む様に考えてしまう。
まぁ、幾度となく考えて来た事なのに、どうしても常識人、少なくとも一般常識には当てはまらない人達が僕の周りには多過ぎる。それに常識と掛け離れて居る理由が、何も非常識的な行動だけではない。
容姿やカリスマ性、そう言った所ですら一般人とは違い過ぎる。良く天才は孤独になりがちだと聞くけど、これだけ天才が集まると何も感じないのだろう。だって、十分に楽しみながらフリーダムだしね。
考えごとをしながら次の人を一階正面玄関と何故、こんなにも目立つ所で待ち合わせなのかと聞きたくなる様な場所だが、多分数分もすれば自ずと分かるかな?僕の感、今までの経験上何と無くだがそう告ている。良くも悪くも、当たる確率が結構高いのがたまに傷に成るのが残念だ。でも、気に病んでも変わりはしない。
なんせ、この感は彼女達の行動パターンに不覚にも慣れてしまったせいで、身に付けてしまったある種の才能なんだから。彼女達に関わっている内は必要だし、逆に彼女達に関わる機会が減れば無くなるだろうが、先ず難しいだろう。それこそ、色々とかわらなきゃね。
さっきから向けられて来る。周りに居る人の色々な私情が混ざり合った視線に、いい加減飽き飽きして来た中、周りの視線や足音に変化が起こった。
ざわざわとした周りの雰囲気が変わり、ゆっくりと歩む足音の中、1人テンポの違う走って居る人、そしてその1人を追って走っている更に1人の足音。段々と近付いて来るその足音に大衆は見事に視線をズラし、そして僕も視線をズラそうとした瞬間、同時にそれは叶わぬ事と成る。
ズラした視線の先に、微かに見知った顔を感じた瞬間にはタックルの様な威力、体に伝わるダメージ、そしてそれが女性だろうと感じさせる程に柔らかい肉付き、いい匂いが背中に襲って来た。
瞬間的な衝撃に足はふらつき、倒れそうに成ったが何とか持ちこたえ、後ろに居るこの人に「副か「もう、先に行かないで、って!何してるの真弓ちゃん」そんな僕の声を掻き消す程の声の持ち主である飛鳥さんだが、「何って、私はただ恋ちゃんとナニをしようとしただけだにゃぁ」と何を言っているんだ、と思う様な事を平然と言って除ける副会長さん、こそ真弓さんを追って居たのは飛鳥さんだったようで、副会長さんに文句を言ったは良いが結構走ったのか?膝に手を起きながら、「はぁはぁ」と息切れをしている。
飛鳥さんは息切れをしながらも、額に筋を浮かべた様に赤いオーラを身に纏い、鬼の形相。悪鬼と言うのだろうか?綺麗で美しく、冷血で真っ赤な血が似合う、そんな鬼にも見える。
その姿は何故か痛く幻想的なのだが、痛く飛鳥さんの呆れた様にも感じられた。
恐怖にも感じるが、あまり僕は何も感じないが「あーあ、せっかく良い所だったのにゃぁ」と副会長さんの残念そうな声が耳元に届き、残念そうに言うなよ。と思う僕が居た。
勿論、コレで終わる訳がない。副会長さんはゆっくりと慈しむ様に僕の背中から離れ、そして飛鳥さんの「真弓ちゃん、流石に恋くんに迷惑を掛ける行為だけは許さないよ」と言うツンツンした言葉に、副会長さんは何でこうもマイペースなのか。
「んー、それぐらい分かってるにゃぁ。流石に私だって恋ちゃんに嫌われて、嫌われて『お姉ちゃん何か大嫌い』って言われたら、あれ?以外と嬉しいにゃぁ」やっぱり反省はして無いみたいです。
コレが何時も通りの平常運転だから、見た目の華やかさやお姉さんみたいなのがダメに成って居る気がする。そう思いながら副会長さんの事を見ていると、副会長さんと目が合い「まさか、恋ちゃんはお姉ちゃんに見ほれちゃったのかにゃぁ?」ニマニマとした表情が可愛くも、イタズラ小悪魔で良さげなのに、色々と副会長さんを見ていると騙されている気分だよ。
だから「別に、ただ副会長さんは今日も元気だなって」と元気の定義に当てはまるかは分からないが、そう返した。
すると「これだけ凄いのが高々『元気』ぐらいじゃ、当てはまらないでしょうに」やっぱりですか。飛鳥さんの最もな発言に、えへへっと笑う副会長さんが居るが、他人事じゃ無いのにあれだけ笑って居る辺り、僕には出来ないな。
褒めてるのか貶しているのかは聞きよう、物は言いようとは良く言った物だな。
取り敢えず「それで、私達は今からパトロールに行く事に成ってるから」と、さっきまでの様な遊びでは無く仕事なので、僕は真面目に取り組みたいのだが、横で1人「私は遊びたいにゃぁ」と言っている人を「私達は生徒会なのよ、それにさっきまで遊んで居たでしょ」の一言でねじ伏せた。
流石の副会長さんでも飛鳥さんには、あまり逆らいたく無いのだろう。なら、逆撫でる様な事もしなきゃいいのに。
そんな事を考えて居る僕を他所に、パトロールが始まった。
普段よりも多数の人が出入りする中、美女2人をはべらかしているかの様に見えるだろう、副会長さんと飛鳥さんが腕に抱き着きながら歩いて居る。
心地良い感触と言うか優しい感触が腕全体に広がり、そして2人かする匂い、確か女性ホルモンと男性ホルモンは互いに刺激し合うんだっけ?とってもいい匂いだ。が、それと同時に周りから刺さる様に飛んで来る視線に寄って、多少生きた心地がしないのは、もう言うまでも無いだろう。
視線を感じつつも、しっかり仕事はしないといけないので、周りの様子を見て行く。
此方を見ている人、此方を見ている人、此方を見ている人、うん。こっちを凝視するぐらいに見ながら感情のこもった視線を向けている人ぐらいしか、僕の周りには居ません。
残念だ、何か色々と残念だ。
言葉では現し難い、何とも言えない感覚に襲われながらも、一応パトロールは続けるのだが、あのね「何でさっきから腕にわざとって分かるぐらいに、体を密着させて来るのかな?副会長さんは?」今言った通り、副会長さんは体全体を使う様に僕の腕を抱き締めている。あ、あと今匂いを凄く嗅ぎ初めた。
「すぅはぁ、すぅはぁ、ん?だって恋ちゃんが好きだからにゃぁ、しょうがないにゃぁ」しょうがなくありません。それと過程式の抜けた解答は0点ですよ。
全く、いや。何が全くなのかは分からないけど、もうあれか。察しろって事ですか。副会長さん、「別にそうは言って無いにゃぁ」なら、先ず喋る為にもちゃんとコッチを見て下さい。「それは匂いを嗅いだり、抱き締めたり、恋ちゃんとイチャイチャしたいから無理な話だにゃぁ」さいですか。しかも、話しながらも腕に顔を埋めて居るんですね。
何事もポジティブにって言うけど、僕には無理そうだよ。
心が折れそうになりながらも、何とか残っている信念で歩いて行く中、初めは僕の腕に抱き着き、何時もの様なキリッとした顔なのに頬を少し染めた飛鳥さんだったのだが、今はリラックスした顔になりながらも、抱き着いて来る飛鳥さんに成った。
この変化は一体なんなのか、とも思うが、多分女心何て言われても僕には分からないな。
周りの視線とは裏腹に、もう慣れたのか、のんびりとした和やかな雰囲気に成って来たのも束の間、目の前から来た2人の男にそんな雰囲気は壊されてしまった。
見慣れない制服を着ている所を見ると他校生だろうか?にしては、凄く着崩し過ぎている様にも見えるけど。多分、結構離れた所から着ているのだろう。
仮説を立てながら歩き、そして近くを通った瞬間、事は動き出した。
「ん、ねぇねぇねぇ!君達可愛いね!そんなさぁ、ダサい男何か捨ててさぁ、俺たちと遊ばない?てか、決定しょっ!」うわ、チャラいとかじゃ無かった。
何だが、凄く関わりたくない感じがするのに、相手は副会長さん達とは違った意味で常識がダメな様だ。
「ならなら、俺君達の彼氏立候補ね!さぁさぁ、俺たちが何でも奢ってあげるよ」なんだろうか、この僕達の立ち位置が、小学生だったらと思うと恐ろしいな。
しかも、2人は2人でめんどくさそうな顔してるし。
「ん、何?俺達がカッコよすぎて、喋れない感じ、うっわ!俺達って罪な男!しかも、こんなダサダサな野郎と会っちゃう何て、やっさすぃー!」ウザい、そう思っても仕方無いと感じ始めた頃、飛鳥さんが動いてくれた。
「他校でのナンパ行為、また文化祭での他校生への迷惑行為として、貴方達の学校へ生徒会役員として抗議してらあげましょうか?」多少殺気のこもった声、別段有って無い様な物なのだが、周りからの応援視線+殺意の有る視線が彼らに向けられた事に寄って、彼らはそそくさと逃げてしまった。
勿論。今現在彼らの行動を見ている舞川家の人が居る訳であって、あとは言うまでも無いか。
それに飛鳥さんは多分、本当に抗議するだろう。それに高々その辺りに有る高校程度じゃ、この学校に敵う筈無いし、良くて自宅謹慎か自主退学、最悪あらぬ事を言われてしまうかもね。
この学校は良くも悪くも、世界的に知られて居る訳だし。
彼らに黙祷でも捧げてやろうとでも思う程に、容易に哀れな末路が想像出来てしまう。
そう思う中、「にしても、やっぱり飛鳥は凄いにゃぁ。私だったらとっとと殺っちゃってちゃうにゃぁ」と今だ抱き締めて居る副会長さんは言うのだが、何だろう。この人なら否定出来ないよ。
僕の中での副会長さんのイメージが凄いが、飛鳥さんも結構来てたらしい。「別に私だって、やっていいならやって居たよ」との事です。
2人して、似ていない様で似ているのが面白いが、暴力は基本的にダメだからね。
そう心の中でだけ思いつつ、何故か副会長さんが時計を見て、そして「あっ、忘れてとにゃぁ!!」慌てている事だけが分かる言葉を言って、僕と飛鳥さんを連れ移動してしまった。
急過ぎる、そんな事を暗闇の中、飛鳥さんに腕を抱き締められながら、体育館の舞台を見つつも、やはりそう思わずには居れなかった。
不平不満とまでは行かないが、それでも急過ぎて最初、理解が追いつかなかったよ。まぁ、何と無くは分かる。
ただただ、僕の『当たり前』を貫き通せば良い。たったそれだけの事だからね。
すると体育館全体に低く、響く訳でも無いが聞こえ渡る開始のブザーと共に、幕は上がり、物語が始まる。
『ある国にはそれはそれは綺麗なお城がありました。勿論、住んでいるのはその国に王様やお妃様、それに見るもの全てを魅了する程の美しさ、全てを薙ぎ倒す程の強さ、他人には無い全てを持ったお姫様です。お姫様には誰もが跪き、そしてお姫様を崇めます。そんな国での、そんなお城に住む、そんなお姫様の物語です』
幕の向こうに立つのは物語の住人達、中世ヨーロッパを感じさせる服装、そして玉座に座る副会長さん。
その姿は正にお姫様その物で、僕の視界を虜にした。
舞台上を舞う暴君なお姫様、だが全ては彼女を中心で周り、そして最後は自ら命を絶つ。
悲しくも正しい物語、いつ振りだろうか?僕がここまで物語に執着したのは、いつ振りだろうか?僕が副会長さんを真弓さんと認めてしまったのは。
舞台上に居たのは何時ものおちゃらけた副会長さんでは無く、強く凛々しいお姫様を演じて居る真弓さんだった。
見入る様に見惚れてしまう。そんな感情を抱くのはとても久しぶりだ。
「流石、真弓ちゃんね。私にはあんな風に出来ないもの」そんな声が飛鳥さんから聞こえ、僕は飛鳥さんに見えない様に微笑んだ。
やっぱり、2人とも似た者同士か。だから、あんなに対局的なのに、やって行けるのね。
それにしても何時も舞台上みたいだったら、真弓さんの事、好きになれるのに。
心の中でそう思ったが、まぁ言わない方がいいだろう。それに、多分見て居たなら読心術で分かるだろうし。
あーあ、何だが疲れたな。副会長さんの相手をするのは。
こうして2人とのパトロールは物語と共に幕を閉じた。




