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海斗との久しぶりの試合が終わり、唯さんに至れり尽くせりっと言った感じに、僕も驚く程に手厚い優しさを受けた所で、次の人と変わる事に成った。
そして次の人なんだけど、有る意味姉さん達に匹敵する程に美男、ジェントルマン揃いなのだが、どうにも相性が悪い。
はぁ、今回溜め息が早い気もするけど、しょうがないよね。だって、あの人達なんだから。てか、離れて居るのに目立ってるのが分かるとか。あと、こっちを凝視するな。
ラフな格好をしながらも、満ち溢れるイケメンオーラからかチャラさ寄りも清純差が目立ち、実年齢を言えば確実に上に鯖読んでるだろう、と思われる程に若々しく、僕を見ながらも隣に居るもう1人を鬱陶しい様に見て居る、僕の武術の師匠でもある父さん。
その横に居る以下にもジェントルマン、父さんとは違い多分年齢に見合った容姿をしながらも、大人と言う感じと包み込む様な雰囲気をさせ、父さんの視線を無視する様に笑顔な執事のセバスチャンさん。
そんな2人とは対照的に、和服を着ながらもラフな感じにも見え、父さんやセバスチャンさんの様に争わない、相談をすれば人生談から話をしてくれそうな神主さん。絶対と言える程に、この中で1番真面だと思う。
良くも悪くも存在が目立ってしまう3人を出来ればスルーしたいが、それは多分無理な相談なのだろう。
今更だが3人には僕の事を家族として、家族の代を超えて居る程に溺愛して居る。なら、今3人に方に向かわなければ、絶対に3人は誰かに支持されたと過程するか、もしくは何かしらの一般常識にはそぐわ無い行動を取る。
断定出来る程に、その姿が容易に想像出来てしまう。
つまり、行かなきゃいけないだろう。じゃなきゃ、一般人の方に迷惑が掛かって、それを舞川関係者が処理して、更に迷惑が掛かる。はぁ、綺麗な程に負の連鎖な事だ。まぁ、大丈夫だろう、一応みんな大人なんだから、大丈夫…………の筈。
あと隠しては居るけど、舞川関係者が結構居るのがバレバレだよ。
本気を出して居ないのか、または潜入能力が皆無なのかは分からないが、3人に近づく度に、3人に集まる視線の量に圧倒されながらも、何時も通り僕にも視線が集まって来る。
ただ何時もとは明らかに違うのは、男だけと言うのが大きい。いや、別に男だけじゃ嫌な訳では無いのだけど、それでもわざわざあの3人の横は歩きたくは無い。
それでも世界は、この世の中は何時も通り残酷でしか無く、希望を抱くとも、奇跡は起こり得ない。
「悪いな、恋。私達の我儘の為にわざわざ時間を割かせてしまって」会ったそうそうに謝罪をしてくれる辺り、父さんの人の良さを感じるのだけど、まぁ横に向けて居る視線と始めから辞めろ、は触らぬ神に祟りなしっと言った感じでスルーしよう。
続け様に「すいませんでした、恋様。わざわざ恋様の大事なお時間を割かせてしまい」セバスチャンさんも同じ様な感じで謝罪をしてくれたのだが、何時に成ったら2人の間に走って居る火花は止まるのかな、はははは、乾いた笑みが出てしまうよ。
最後に神主さんも2人の視線には、溜め息を零す様な表情をしながら「はぁ、お二方は相変わらずですな。にしても、若はまた暫く見ない内に強く成られた様だ」と2人とは違った挨拶なのは良いが、えっ?何、2人って昔からこんなに中悪いの?
寧ろ、そっちの方が気になってしまった。
「おや、気になりますか?」しかも、神主さんは普通に読心術を使うんですか。「ははは、コレでも神に使えて居る身、コレぐらい出来なければ神主として務まりませんよ」凄いな神主って職業は。と言うか出家して、何を覚えて居るんだか。
2人、父さんがほぼ一方的に視線を向けて居るが、こうしていても詰まらないだけなので、「それで、3人は何処か行きたい場所でもあるんですか?」と聞いてみる事にした。
するとまぁ「私は恋様が居れば、何処へでもお供します」とセバスチャンさんらしい答え、そして「若が楽しむ所を見れれば、それだけで面白いですよ」とこれまた神主さんらしい答えな事で。
確かに2人の言葉は嬉しいのだが、それでも今の状況ではあまり好ましくはない。
最後に望みを掛ける様に「父さんは?」と聞くと、何時に無く悩む様な表情をした父さんが「茶道部だな」何を悩んで居たのかは分からないが、茶道部に行く事に成った。
茶道部、地味に神主さんやセバスチャンさんとはお茶入れをした事があるのだが、何故父さんは選んだのだろか?
まぁ、気にする様な事でも無いので、茶道部に向かって歩く。そんな中でも、もうやはりと言うべきだろう。父さんはセバスチャンさんに威圧と言うか、殺気を向けながら、神主さんはその中を笑顔に歩く。
苦笑いするのがキツくなるって、相当だよね。
次は愛想笑いでもするか、と笑うのに何で苦労をしなきゃいけないのか、と思う中、茶道部に着き「せっかくですし、一部屋借りてお茶入れをしましょうか」そんな神主さんからの発案の元、お茶入れをすることに成った。
久しぶりと言う程、久しぶりでも無いが楽しみなのは事実だ。
時間や貸し出しがあれば和服でも切るのだろうが、生憎高々文化祭の出し物に過ぎない茶道部では貸し出し用が有るわけも無く、今の服のままですることになる。
僕や慣れては神主さんは慣れているし、セバスチャンさんも一度やっているので出来るだろうが、流石にやった事の無い父さんは、今ばかりはセバスチャンさんに殺気を向ける事無く集中してやって居るので、僕も集中してやる事にした。
精神統一しながら、ゆっくりと繊細に、だがテンポ良くお茶を作る。
するとお茶が泡立てられる音、水が器に流される音、お茶の匂い、風情を感じる物が響き渡る様に広がる。
こう言うのを侘び寂びと言うのかは知らないが、何故か無性に落ち着いてしまう。年齢にそぐわ無い感性だと自分でも分かる、だが変え様とは思わなかった。
お茶入れは5分程度で入れる事が出来たので、せっかくだから飲みながら雑談をしていく。
「それにしても、セバスチャン。お前、少し恋に対して馴れ馴れし過ぎないか?」いきなりかよ、そう思ってしまった僕は決して悪く無い。
雑談を始めよう、と言う一発目から喧嘩腰の父さんの発言が最悪とまでは行かないが、残念な事に聞こえてしまった。
しかも、セバスチャンさんも笑いながら「おや、そうでしたか、申し訳ありません。ですが、私は現在舞川家の執事なのと同時に、恋様の執事でもあります。主がより良い方向に向かって行く為には、しょうがない事かと」そんな毒(私情)には解毒薬(正論)を、みたいな会話で更に空気が硬くなる。
ここは神主さんに助けを「私に取っては何時もの事過ぎて、あまり気に留める事では無いかと」お茶を飲みながら、放棄しないで下さい。
はは、もういいや。
心が癒しを求める中、僕はお茶を飲み、心からお茶が美味しく感じた所で、ははは………はぁ。乾いた笑いと溜め息って、苦労人の気持ちが少し分かる、そんな雑談でした。




