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僕に恋する人  作者: 音夢
第4章 文化祭、それは終わりへの道
62/67

4ー3

サクラさんと天音姉さんとのデートと言うにはあまりにも短く、またロマンチック要素も無く、だが男女比率や他の遊びと言う名のデートで考えると合点のいく、そんなデートを過ごし、次は海斗と唯さんと異色では無いが、少し珍しい組み合わせの2人とのデート?と成った。


あったかほんわり、どっかの雑誌で見た様な台詞だが、まるでその言葉を体現して居る様な唯さん、その隣に居る女性なのに凛々しく男らしい、だが時には女性の様な表情をする、大和撫子の様な海斗、対照的な2人を見ていると飽き無い。

そう思っていると唯さんが何時もの様なゆっくりとした、お嬢様の様な何処か抜けて居る感じで喋り出した。

「こんにちは、恋さん。今日はよろしくお願いします」丁寧な言葉遣いそのままに、綺麗な礼と見惚れてしまう、多分一目惚れとかをする人はこう言う笑顔でするんだろうな、そう思う程に言葉では表現出来ない笑顔をしてくれた。


唯さんと見つめ合う、見惚れる様に笑顔を見ながら、瞳へと吸い寄せられ、2人の言葉が無くなった。

不思議と変な気持ちには成らない、ただこの状態で居るだけで癒されてしまう。


言葉を失い、それを感じた瞬間、真横に人の気配を感じ、咄嗟に振り向こうとした瞬間だった、耳元に感じる小さいが少し荒れた息、それと「おやおや、君は僕を目の前にしながら、他の人に見惚れ、剰え2人だけの空間を作る何て。全く、君の家族にならまだ納得が出来た。なのに、君はまさか他人とそれをするなんて、僕だって恋、君を感じたいんだ」そんな海斗の嘆きの様な声を。


全く、何時も強がってる癖に、本当に海斗は弱いよ。でも、完璧過ぎるよりかは良いのかもね。

後ろの海斗に向かって振り向き、そして昔の様に頭を撫でてあげた。夏海とも違う、サクラさんとも違う、海斗は海斗で妹なのかな?


僕が海斗の頭を撫でて居る中、海斗はそれを甘える様に受け、唯さんはマイペースと言うかお嬢様みたいに、ふんわりと腕に抱き付いて居た。


海斗の機嫌が直るのに、かれこれ10分程頭を撫で続け、少し腕が疲れて来た頃、要約機嫌が直り、行く場所を決める事が出来る様に成った。

と言う訳で「唯さんは何処か行きたい場所はありますか?」と唯さんに聞いてみたのだが、唯さんに聞いた俺が愚行だった様だ。

「風紀委員長として、他の風紀委員が働いて居る中、私一人が好きな様に遊ぶ事は出来ません。ですので、恋さんや織田さんの方で決めてもらって構いません」何て優等生な発言なんでしょうか、テレビのナレーターならそんな事を言うのだろうが、唯さんの性格を知っている上でこの発言を聞くと、彼女に少し無理をさせてるみたいで好め無いかな。


だからこそ、唯さんが楽しんでくれる様にすれば良いんだけどね。

そう思い、心の中で誓ったのも束の間の夢と成り、儚く消えてしまった。

「それなら、今から剣道部で他校との練習試合があるのだが、それの応援、そして恋、君と戦いたいのだが、いいかい?」そんな海斗の言葉、勿論普段の僕なら全然良い、でも今さっき決めた誓いがある僕に取って、その問いはあまりにも難題だ。


いや、難題の筈だったのかな。

「素敵ですね、私合気道はやってましたが、剣道は興味は有っても出来ず終いでした。だから、とても面白そうです!」そんなキラキラした目で言わないでよ、何だが自分自身が哀れに感じるよ。

それに他人が言った意見にだったら、乗れるのね。


何だろう。自業自得の筈なのに、凄く疲れが溜まって、発散出来ないで居る。

はは、乾いた笑みを心の中で呟き、僕はもう気にしない事にした。気にしたら、気にした分だけ疲れちゃうから。



道場の中心に視線が集まる中、面を付けた2人の男女が竹刀を持ち、試合、いや。一方的なそれこそただのお遊びを見ている感じかな。


「はじめっ!」その声と共に2本の竹刀が撓りながらぶつかり合い、パンッとした轟音が響き渡る。

何の心得を持っていない唯さんには2人の接戦にも見えるのだろうが、全く持って違う。それがそれを殺れる間合にズカズカと入りながら、しかも飼い殺しの様に弄ばれている時点で、力量の差など歴然だろう。

にしても相手は哀れだろうに、何せやり合って居る相手が海斗なのだから。


そう冷静に2人の試合を分析して居る間にも海斗優勢の試合が続き、そして完全に叩き潰す様に相手との差を明白に示す様に、「(メーン)!」その叫びと共に竹刀を振り下ろし、まさにワンサイドゲーム。ここまで来ると一方的な暴力とさえ感じる圧倒的な差のゲームだった。


試合が終わり、相手は面越しでも分かる程に絶望し切った顔をしながら道場を去ってしまった。

哀れとは良く言った物だが、流石にあれではお粗末だ。自ら死にに行く武術など、武術として痛く欠落している。

あの相手がやって居たのは、それの典型的な物とでも言えるだろう。武術などの一番の技は、自分の獲物が届く範囲に移動し、相手を殺り、攻撃は交わすか往なせば良い。それは基本的な事だが、これさえ出来れば下手な小細工など不必要だ。


なのに、あの相手の人は海斗の竹刀が心臓、持ち手、頭、足、急所類を全て切れると言うのに、更に間合いに押し入ろうとして居たからな。杜撰にも程度がある。



愚かな武術過ぎて多少呆れてしまったが、今更だけど、それにしても何故か家にある道場よりも小さいな。家の道場がどれだけ大きいのが分かるな。

確かに休みの日は僕や父さん以外の他の人も入るのだから、多少は大きく無いといけないのは分かる。それでも、この道場とは比べ物に成らないな。はは、ブルジョワなつもりは無かったのに、まさかこんなに侵食されて居たとは。


自分の感覚が麻痺している事に嘆きを覚えながらも、何故か正座をしたまま動かない海斗と目が合ってしまった。

次の試合は無いらしいが、では何故海斗は戻って来ないのだろうか?答えは容易に出る。


今だ、興奮冷めやらぬ、そんな雰囲気のまま目をキラキラと輝かし海斗を見ている唯さんが居る中、「恋、次は叶うのならば、君と試合をしたいのだが、よろしいだろうか?」その声に含まれた小さな闘志を感じてしまったからには、断れないだろうに。


何時に成ればNOと言える分類の人間に成れるのか、以外と後を引く事が多々ある性分だが、こと流れ主義の他力本願で構うまい。

どうせ、大差無いさ。僕に取ってはね。



道場の中心から3m程開けて海斗と見つめ合う中、僕の右手には竹刀が握られ、左手はぶらんと落とした体制となり、腰は落とし、戸から吹く風が気持ち良い程に防具は着けなかった。

勿論海斗は着けて居るが、僕には必要無い。何故ならと解説をするまでも無い程に単純な事だ。僕が試合、まぁ模擬戦をして居る時の想定は常に実戦での事、実戦中に防具を着ける事などは先ず出来ない。ならば、着けないと想定した上でやればいいだけなので、今の僕は竹刀とは言え当たれば怪我は免れない。

海斗も分かっては居るだろうが、それで手を抜く様な柔な性格じゃないのは知っている。


秋風がゆっくりと道場を駆け抜ける中、僕の視界には海斗だけが映り、海斗の呼吸が感じ取れる中、「はじめっ!」先程と同じ言葉が響き、試合が始まった。


鳴り響く轟音、先ず先手を攻めて来たのは海斗だった。床を蹴り上げ、腰を落とし、地を這いずくばる様に縮地をし、下から振り上げる様に飛んで来る竹刀。

一言で言えば正しく速い、それに尽きる動きだ。だが、僕だって伊達に武術はやって居ない。

竹刀の柄を両手で握り締め、海斗とは逆の方向に向かって下から振り上げ、竹刀の鍔に海斗の竹刀の鍔をぶつけ、力に物を言わせ止める。


すると海斗は直様、自分の竹刀で僕の竹刀を押し出してくるが、技術面では負けようとも、筋力面では負ける事などはない。

それに合わせる様に海斗の竹刀を押し出し、海斗と見つめ合う様に成りながら、海斗の睨みが見える。


「やっぱり、キツイかな。海斗を相手するのは」そう言いながら、筋力に体重を乗せ、海斗を押し出そうとするが、「何を言うか、僕がコレだけ押されて居ると言うのにっ!」その言葉と共に、海斗はバックステップを取り、更に僕の押し出しの威力を使い、離れてしまった。

いけずだなぁ、何時もは自分から呆れる程、仕掛けて来るのに。余裕なのは事実だが、だからと言って力を抜きはしない。直ぐに地面を蹴り上げ縮地を行い、面に向かって突きを行う。

「舐めるなぁっ!」海斗の竹刀が突きをした竹刀を流す様に、逸らされてしまった。


それでも収穫はあった。海斗との距離が2m程度になり、剣道の様にある程度の距離を保ちながらでの接近戦を得意とする海斗に取って、僕の様な実戦を意識して作られた形が無い格闘技や、戦いのリズム感が極端に無い相手と戦うのは精神を使うだろう。


だからこそ、長い緊張感に慣れて居ない海斗を倒す事は容易に出来る。それこそ本気なんて出さなくてもね。

すると距離を感じ取った海斗は間合いを築きながら、僕を誘って来る。

ならば、その誘い乗ってあげなきゃ、失礼かな。ただ、精神を極端に使って居る今の海斗には見えないよ。


予備動作、音、間合い、その全てが武術に取っては付き物であり、先ず無くすことは不可能だろう。僕も無くす事は無理だ。

だけど、補う事ぐらいなら出来る。


連続して行う縮地、そして風を切る音だけが響き渡る程に早く振りかざす竹刀、海斗の死角を理解しながら予備動作など関係なく打ち込む正確な切り、間合いから間合いへと移動し続ける速度、その全てを一瞬にしてやる。


鍛え抜いた、いや。鍛錬で行い続けた基礎的なトレーニング、それは地道な事だが、続け、鍛え抜く事に寄って今の僕は海斗に取って数段の問題では無く、不可視からの攻撃となる。

全て竹刀を狙いながら、海斗の間合いを侵し、そして海斗は視界に映らない攻撃に対応しようと精神を削りながら、研ぎ澄まし、また更に精神を使う。

それの繰り返しで、ゆっくりと海斗が倒れて行くと踏んだのだが、海斗も知らず内に強く成った様だ、まだ荒削りな所が多々あるが、精神を多大に使う事に寄って、先程寄りも竹刀を返して来る。


海斗とは結構な数の試合をやって来たけど、試合をやる事に強く成って行くのが分かって楽しいな。

まぁ、そろそろ「終わりにしよう、海斗」そう言い、海斗の目の前に移動し、そして「本気だから、気を付けてね」海斗に警告だけは出して置き、気を研ぎ澄まし、世界が変わる。


静寂な程に何も流れない空間、まるでムービーをスローモーション再生しているかの様な気持ち悪い動き、そして海斗の視線から視界、骨や心臓の動き、その全てが感じ取れる。

それは海斗がまるで手の中で踊っているマリオネットのような、そんな第3者から見て居る様な世界。


僕の世界なのに、他人の世界の様にも感じる、ああ、気持ち悪い。

止まって居ると思う程に遅く動く竹刀を無視しながら、海斗の死角へと撃ち込み、息を吐きながら世界を戻す。

急激に早く動き出す世界、先程とは打って変わり、今度は早送りの様にも感じられる。


そしてそんな変わり行く世界と共に、海斗は唖然とした表情のまま、理解出来ない何かに押された様に倒れた。

だが、海斗も少しは気付いたのだろう。唖然とした表情は徐々に無くなり、数秒で今度は「はははははっ、全く。まさかこんなにも高い壁があるとはね」笑いながら、今の試合を振り返って居た。


少しは落ち込むとでも思って居たのだが、どうやら誤算だったらしい。いや、何方かと言うと、僕の知っている女性殆どに言える事だけど、先ず彼女達の行動が分かって、理解出来る様に成ったら人間辞めてしまうか。

良くも悪くも、突発的な行動が多いのが、弱点なんだろう。


取り敢えず、試合も終わったので唯さんの所に戻ると、いつの間に買って来たのだろう?手にはスポーツドリンクを握って居り、さっきの試合の時の様な目をキラキラとさせた興奮では無く、目をトロンとさせて、そう見惚れる程に見入って居た様な目をしながら、「恋さん、これどうぞ」そんな短い言葉だが、色っぽい。何時もの唯さんとは確実に違う色香を漂わせ、スポーツドリンクを渡してくれた。


何故、と頭の中には?が浮かんで来るが、それよりも貰ったスポーツドリンクを飲む事に専念しよう。

何時も鍛錬をして居るとは言え、疲れる物は疲れるし、喉が渇く物は喉が渇く。生憎、そこまで人間に進化する力は無い。そもそも、適応する意味が無ければ、進化などはしない。


ペットボトルの口を加えながら、スポーツドリンクを飲んで行く。スポーツドリンクは喉を潤す様に体を冷やして行き、喉の渇きを無くす。

ふぅ、そんな息を吐きながら「唯さん、ありがとうございます」と唯さんに礼を言った瞬間、今度は「恋さん、汗は少しでも掻いたのでしたら、拭かなくてはいけませんよ。しっかりと始末をしなければ、風邪を引いてしまいます」と言って、また何処からか用意したのであろうタオルで、首筋や腕などの多少露出してくれる所を拭いてくれた。


至れり尽くせり、とはまさにこの事だろう。

そんな風に唯さんの事を考えて居ると、何故か「ふふ、恋さんは少し、甘えてみてはいかがでしょうか?」と言いながら、頭に手を乗せて撫でてくれた。


「恋さんは優しいです、ですが、それが時には刃に変わってしまいます。だからこそ、私は恋さんの全てを受け入れますよ」何でだろう、頭の中に響いて来る。

凄く変な気持ち、言葉で表現出来ない気持ち。

それが気持ち悪い、ムズムズと身体中が可笑しくなる。


その瞬間「僕も混ぜてくれないか」そんな海斗の声が、気持ち悪い何かを消しさり、何時もの僕にさせてくれた。

一体なんなんだろうか?


それと、何時まで頭を撫で続けるのですか?唯さんの。

はぁ、流石に唯さんはが返事をしてくれる訳「私が満足するまでです」もう、はい。いいです。いいですよ、僕の周りが変なのは今に始まった事じゃないですから。



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