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僕に恋する人  作者: 音夢
第4章 文化祭、それは終わりへの道
61/67

4ー2


生徒会室に集まった生徒会メンバー一同、何時に無く真面目オーラ全開の秋葉姉さんが居り、またそれとは裏腹に気の緩み切った顔、彼氏に会い行く?そんな表現が似合う表情をしたサクラさん、と大きな机の上には何時もの書類では無く、発信機やマイクと言った機材類が並んでいる。

少し異質かな、本来ならばこう言った機材は放送室に置かれている筈なのだが、まぁ秋葉姉さん曰く「生徒会長が生徒会室を出て、わざわざ放送室に出向いてまで放送を流す必要は無い」らしい。…………確かに放送室でなら放送委員がやればいいんだけど、わざわざ生徒会室に用意するとは。

秋葉姉さんもだが、用意する学校側も凄いな。呆れを通り越して、もはや凄いとさえ思えて来るが、深くは追求したくないな。


そう思って居たのも束の間に、こくこくと止めど無く過ぎて行く時間は文化祭の始まりへと近づき、1分前、その瞬間に副会長さんや飛鳥さんが何故あんな感じなのに、生徒会に選ばれたのかが分かった。

校舎内全てのスピーカーに電波を配信する発信機、そしてその発信機と繋がったマイクの電源が入った瞬間、軽く『キーン』と言う甲高い音が成り、直ぐに飛鳥さんがそれを調整しながら副会長さんがOKサインを出し、2秒も掛からずに一瞬にして完璧なまでにセッティングされてしまった。


驚いた、素直にそう思う僕が居るが、と同時に秋葉姉さんの放送が始まる。

マイクやスピーカーを通しても何の苦も無く聞き取れる声、誰が聞こうが一言「綺麗」や「美しい」としか言えない程に。世界が止まった様にも感じる、まるで秋葉姉さんの声だけを聞く様に。

『全校生徒の皆さん、これから待ちに待った文化祭が始まりますが、生徒会より数点の注意事項があります。』そう釘られ、秋葉姉さんの声だけが又、静寂の中に響き渡る。

『先ず、一般の方も来るので、本校の生徒として恥じない振る舞いをして下さい。そしてトラブルなどの無い様な行動、マナーを心掛けて下さい。最後に』また釘られた声、だが今度は貯める様に、吸い込まれる様な感じで。

一瞬にも何時間にも感じられた静寂の中での旋律、だがまたそれも一瞬に寄って消えた。『文化祭を楽しんで下さい!では、これより第60回目の文化祭を開始します!』その声と共に、大歓声が成り響き、世界はまた動き出した。


一気に高まり、張り巡らされた緊張感と言う名のワイヤーが解け落ち、何もして居ないのに肩の荷が下りた、と言う表現が1番似合う。

また生徒会室の外から扉を開ける音や『いらっしゃいませ』などの声、総じて始まったと言う事を感じさせられる。



始まった、そう思って居るのを吸収してしまう程に、先程までカッコいい生徒会長様だった秋葉姉さんが今度はダランとした表情で、僕の前に来てこう言った。

「それじゃあ、今から恋ちゃんには皆とデートをしてもらいます」驚いた、頭を鈍器で殴られたみたいな感じとは違うけど、銃弾で脳天を撃たれたみたいな感じかな?

度肝を抜かれた、色々な言葉で表現出来るだろうが、まぁ悟ってしまおう。


拒否権はある、がそれを選ぶには僕が罪悪感や理性何かで押しつぶされてしまうと。


ただ、それでも昨日の内に事前にメンバーを決めて、周る順番や時間も決めていたらしい。

もはや、何故そんな事に脳細胞を使うのか理解し難くも思えるが、もうアレだよ。脳筋みたいだけど、男なら黙って受け入れよう。どうせ、何時もの事だしね。


悲しくも慣れてしまったか、呟く様にそんな事を思いながら、あの顔の理由なのかは知ら無いがサクラさんと、余りサクラさんと接点の無い天音姉さんと文化祭を周る事に成った。

「れいくん、今日はお姉ちゃんと一緒にいっぱい、いっぱいしようね♡」分かり易い程の天音姉さんの声が、無駄なまでに透き通る中、少し制服のコスプレをして来なかった事に安堵しているのは内緒です。

そんな僕だけを見て発した天音姉さんの話にサクラさんは「え、えっと、よろしくね。恋くん、それと天音さん」と健気な挨拶をするサクラさんだが、天音姉さんには届かなかった。


そして当然、デートだけでは無いが、当たり前の様に学校内を歩かなければ文化祭の意味が無いのだが、考えて欲しい。

文化祭ならば他校生は愚か、保護者に寄りかなりの人目があり、そんな中をサクラさんと天音姉さんと一緒に歩くだけでもキツイ物があるのに、更に追い打ちを掛ける様に天音姉さんは腕に抱き付いて来ると言うのは、もう拷問と言っても間違いではないのだろうか。

腕に当たる小さいながらにも柔らかい感触、女性独特の甘く優しい匂い、少し横向けば天音姉さんと目が合い、微笑んでくれる。理性を保つだけでもキツイと言うのに、周りから来る殺気が心境を歪ませる。


はぁ、零れてしまいそうな溜め息を心の中で止め、文化祭とは言え周れる箇所を考えると少なくも多くも感じてしまう。多分、普通に天音姉さん辺りは自分から率先して楽しむだろうが、サクラさんは引っ張って貰って楽しむタイプだろう。

だからこそ、多少でもエスコートらしい事を考えなけれれば。


紳士やジェントルマンと言う程の事は出来ないが、少しでも、と考えて居るのを裏腹に、腕を抱き締める天音姉さんの力が少し強くなり、まだ完全には慣れては居ないからか、嬉しそうに、だが同時に構って欲しいと言わんばかりの安心された顔が近くにある、と言うだけでやはり気恥ずかしい。

何とも歯痒い気持ちを味って居る僕を尻目に、目を合わせた天音姉さんはまるで子供の様に「れんくんの腕気持ちぃぃ〜」そう可愛らしく、同時に甘えて来るお姉さんを見ている気分にさせられる。


頭でも撫でれば喜ぶのだろうか?そうすれば大人しく成ってくれるだろう、確定は無いが祈る様にそう思いながら手を上げ、天音姉さんの抱き締められて居ない方で頭を撫で様とした瞬間、その手は天音姉さんの頭を撫でる事無く、腕全体を包み込む様な柔らかい暖かさに包まれた。

急な事に驚きを感じながらも、暖かさの先を見てみるとそこには嬉しそうに、だが寂しそうに、我慢出来なかった子供の様に、様々な事を感じさせる表情、雰囲気をしたサクラさんが居た。

腕はサクラさんに天音姉さん同様に抱き締められて居るが、天音姉さん寄りも強く縋る様な感じなのに、弱々しいのが伝わって来る。


全く、そんな保護者見たいな言葉が出てきそうな程に何と無くだけど、サクラさんの感情が理解出来た。

羨ましいかった、嫉妬して居た、そう主張したかった、性格が内気なせいか感情を表す事は出来るのに、怖がってしまう。

苦手なんだよな、本当はこう言う立ち位置。でも、夏海が居たおかげで、もう兄に成る位、慣れたんだよ。


優しく、なるべく自分が怒って居ないと思わせる様に、ゆっくりとサクラさんの目を見た。

目は口ほどに物を言う、と言うが、確かに伝わる事もあるが、感情は先に口走る物か。


「わ、私も恋くんと、そ、そのし、したい」か細く、囁く様に、呟かれた声。なのに、サクラさんの声室は通り易く、僕の耳に届き、また天音姉さんにも届いてしまった様だ。


怒って居る?そう問いたく成る程に笑って居ない笑顔、毒を吐く訳では無く、ただ只管に訴え掛ける様にサクラさんに目を向けて居た。

一方、ライオンに駆られそうなウサギ、獅子は兎を狩るにも全力を尽くす、と言うが、正に今がそれだれう。ウサギの様にサクラさんはプルプルと震えながら僕の後ろに隠れ、天音姉さんはそんなサクラさんをライオンが獲物を見る様な目で見つめる。


まだ大人の余裕からか、何も天音姉さんはしないが、それもこの状態が続けば時間の問題だろう。

何かしなければ、そう思い直ぐに思考を回転させるが、やはりそう簡単に止める手立ては出ては来ない。

なら、責めて気を紛らす程度の事をして、2人の中を取り持とう。


「ねぇ」そう言った瞬間に、2人の対照的な視線が注がれるが、流石に真近で見られると少し来る物があるが抑え付け、こう言った。「少しお腹空いたから、何か食べないかな?」突拍子も無いが、気を紛らす程度には十分だろう。

天音姉さんはまだ少し目が笑って居ないが「うーん、れいくんと一緒だったら、私はいいよ」と言って来れ、サクラさんは震えて居るが頷いてくれてるのが分かる。


そして2人に腕を抱き締められながら移動をする訳だが、自滅をしてしまった様だ。

先程寄りもかなり大量の視線を集めながら、2人に離れてとは言えず、溜め息を出したくなる移動になってしまった。



少しでも動く度にまるで押し付けられる様に女性特有の膨らみが当たり、何とも言えない気持ちにさせる。しかも、まだそれなら良い。それに対して何も言わず、寧ろもっとやって、と言わんばかりの表情で此方を見つめて来るのを辞めてくれ。

気力だけで理性と言うか、色々な削がれて行く物を耐えながら、普段は広場として活用されている場所に、フランクフルトとアメリカンドッグを扱って居る屋台が出て居た。


屋台には文化祭と言うだけあって此処の学生がやっているからか、制服にエプロンとマニアにしか喜ばれない組み合わせが完成している。更に個人で出して居る所らしく、男性店員が居ないのが分かる。

僕的にはまだ女性と接する方が免疫が有るし、変な事も無いから出来るだけ、皆と居る時は男に近付かない様にしている。まぁ、あとは世の中の10分の8ぐらいの男が皆、姉さん達を見る目が完全に下心しか無い目だから、絶対嫌なのが分かって居るのもあるが、それは置いておき、フランクフルトを3本買って来る事にした。


「僕が出すから、2人はいいよ」と言い財布からお金を出そうと思った。そう、思っただけだった。

今現在、自分の意思で腕を動かすのには抵抗と言うか、そのやっぱり恥ずかしい感じのなんとも言い憎い感情に襲われてしまう。

どうしようか、と思いながらもどうする事も出来ず、一瞬だが唖然と黄昏てしまった瞬間、天音姉さんが気付いてくれた様で、僕のポケットから財布を出してくれた。


「ありがと」たまにこんな風に気を効かせてくれるから、余計残念に見えちゃうけど、それも全部ひっくるめて天音姉さんの魅力なのかな。

天音姉さんのそんな魅力、優しさに見直しながらも普段とのギャップからか、素敵に見えてしまう。


何時も見て居て、見慣れてしまったが身内贔屓無く天音姉さんは美しい、スレンダーなプロモーションが絡みつく様に髪を靡かせ、胸が残念とも言えるのにそんな言葉がただの負け犬の遠吠え程度に霞んでしまう、それ程に綺麗だ。


でも、やっぱり「ん、見直してお姉ちゃんに見惚れちゃった?ふふ、可愛いれんくんにだったら、私の全てを上げるよ」こんな事を言うと、さっきとのギャップで引いてしまうよ。



3人でフランクフルトを食べ、まだ時間があるそうなので、サクラさんが『占いの館』と言う出し物をやりたいらしく、少し戻る事に成るが向かう事になった。

にしても、なんで女の人は占い系が好きな人が多いのだろうか?普段は信じて居なくても、最下位だとラッキーアイテムを持ったり、毎日チェックしてたり、正解率寄りも楽しんだ者勝ちに成ってたりで、真実味が無いんだよね。


でも、女の人って言っても海斗や母さん何かは全然見てないって言ってたし、やっぱり人によるか。

男でも好きな人は好きだし、一応確認して上位だと信じて、下位だと信じないみたいな人も居るし。


何やかんや考えて居る内に、占いの館と看板を立てている店の前に着いた。

見た目は数台の机をくっ付け、そこに3人のフード付きの黒いマントを着た多分女性徒が居り、女性徒と対面する感じで椅子が並べられ、また各女性徒でトランプやタロット、名前や生年月日など様々な占いをやっている。


地味に客は入っている様に見えるが、丁度トランプ占いが空いたのでサクラさんはそこに入った。

目までフードを被り、口元しか見え無く成っている女性徒だが、やはりと言うか、サクラさんの後ろに僕が居るのだが物凄く熱い視線を感じる。

全然フードがその意味を成してないと思うが、サクラさんは気付かずに占いを始めて貰っていた。


「えー、本日はどのような占いをご所望ですか?」そんな丁寧な言葉とは裏腹に、ジーと言う声が聞こえて来そうな程に女性徒の視線が凄まじい。

健気にもそんなうわ言の様に喋られた決まり文句の様な言葉に、サクラさんはしっかりと女性徒の方を見ながら、小さな声で「………で、お、お願いします」何故か恥ずかしそうに、最初の部分が聞こえない程の声で言った。


コレには流石の女性徒、店員さんも困ったらしく、「あの、もう一度お願いします」と再度聞き直した。

それに今度は恥ずかしそうな顔から、顔を赤く染め上げ、「だから、その、…ん…あ…をお願いします」モジモジしながら発した言葉、それさえも可愛いらしく見えては来るが、先程よりかは聞こえたがまだ全然聞こえ無い。


「あの、もう少し大きな声でお願いします」店員としてどうかと思うが、店員さんは少し呆れた様子でそう言った。

その声で更にサクラさんの顔は赤く染まり、そして更にモジモジとしながら、一気に息を吸い上げ、「だから、恋愛をお願いします!!」そんな声が無情にも、響き渡ってしまった。


木霊する声、周りがどんな反応をすればと唖然する。

店員さんも口元で驚いては居る様だが、目の前に居るサクラさんが涙目で息を「はぁはぁ」と荒げて居るのを見て、何も言えない状態だ。

取り敢えず、よく頑張ったね。と言う意味を込めて、サクラさんの頭を撫でた。


数秒の時間だったはずだが、色々凝縮され過ぎて疲れすら感じてしまいそうだが流し、店員さんも逃げる様にトランプ占いを始めた。

あと、天音姉さんは羨ましそうな視線で撫でられて居るサクラさんを見ないで。



トランプ占い、初心者でも簡単に出来る物から、プロがやる様な難しい物まであるトランプ占いだが、確かトランプがよく占いに用いられる理由はトランプの全ての数字を足した数が364であり、一年間の数字に近く、またジョーカーで足りない一日を補い、エクストラルジョーカーが閏年の日付けを表しているらしい。その為、占いに多数用いられるそうだが、本当の所はあまり詳しく無い。


豆知識を披露している間にどうやら占いの方も終わったらしく、結果を聞くそうだ。

緊張がまる分かりなサクラさんの震える唇が可愛いらしい中、占いの結果ご発表された。


「恋愛運はまぁ有る方ですね、それに待ち人は直ぐ側にいます。ただ、結ばれ無い確率の方が高いです」その瞬間、サクラさんの顔は悲痛なまでに落ち込んだ。

だが、最後の「ですが、その方とは上手く行くが、先にある物は貴方が決める。と出てますね」その言葉に、まだ大丈夫と呟くサクラさんが居り、今だに腕を抱きしめる様に抱き付いて来る天音姉さんが居る。


はぁ、一回目でコレって大丈夫なのかな。この先が不安です。


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