番外編 家族サービス
長かった夏休みも刻一刻と終わりに近づく中、夏休みを残り3日と残した今日この頃、僕の家族サービスが始まった。
何時見ても規格外過ぎるだろ、と感じられる我が家の中に有る居間に居る僕は、セバスチャンさんが入れてくれたお茶を飲んで居た。
冷たく、喉をすっと通り抜けるお茶が身体を潤しながら、程よくお茶の風味が鼻を抜け、癒しを与えてくれる。
一言で表現するなら美味いや凄い、と言った誰でも言えそうな答えなのだが、詳しく表現したく成るのは何故なのだろうか。
味わい深いお茶に舌つづみを討ちながら、セバスチャンさんとの会話に入る。
「今思ったんですけど、セバスチャンさんは何時も執事服なのに暑く無いんですか?」と以外と良く思う悩みを言ってみた。
外目から見るとかなり暑そうだが、確かに暑く無い様に改良されてる。と言われればそうも見え無くは無い。ただ、言われたら、の話で有って見た目はどう見ても暑そうでしかない。
そんな微妙な質問にセバスチャンさんは多少、考える様な仕草を数秒程取り、思い付いた様に喋り出した。
「そうですね、何方かと言えば暑いや寒いと言った肉体てきな物よりも、執事としての誇りを持ちながら着て居ます。ですので、暑いや寒いなどは些細な事でしか無いのですよ」確かな真を持ちながら言われた言葉、その1つ1つには意味と重さがあり、それを背負う事に寄って始めて仕事として成り立つ。
知ったかぶりも良いとこだが、そうとしか思え無かった。
そんなセバスチャンさんの話を聞き、セバスチャンさんが仕事で別の部屋に行ってしまい、僕も部屋に戻ろうと廊下に出た時、ある少女と目が合った。
可愛い、抱き締め愛でたいと思う程に可愛いらしい容姿、又まだ夏の暑さが残るからか、Tシャツにホットパンツとラフな格好に成って居る。
そう思いながら、少女に近付き挨拶をしようとしたが、それよりも早く、少女の方から挨拶をされてしまった。
「おはよう、お兄ちゃん」笑顔が溢れ出した様な笑みを浮かべる我が妹、夏海だからかやはり妹扱いをしてしまう。
夏海の頭に手を乗せながら、なるべく優しく、撫でて行く。手に触れる髪は柔らかく、細く、繊細な感覚が伝わって来る。
「おはよ」撫でながら返した言葉だが、夏海はそれよりも撫でられる方が好きな様だ。目を細め、気持ち良さそうな顔をして居る。
暫くの間、夏海の頭を撫で続け、好い加減と思い手を離した瞬間、夏海の残念そうな顔に罪悪感を覚えながらも、「そう言えば、夏美はどうしたんだ?」と聞いた。
その言葉を聞いたからか、残念そうな顔は無くなり、何時も通りの笑顔で「暇だったから来たんだ。だから、お兄ちゃん一緒に何かしよ?」ああ、僕は弱い。途轍も無く、僕は弱過ぎる。
何を言う訳でも無く、頷いた僕は夏美と一緒に夏美の部屋に行き、年相応の可愛いらしい部屋、ファンシーと言うであろう空間の中、普段はあまりやら無いかがテレビゲームをして遊んだ。
そんな事も1時間程で終わり、今は道場で海斗と向き合って居る。
今日は海斗も鍛錬に参加する様なので、僕は軽く、海斗は本気での試合だ。
とは言っても、攻守を決めてからの試合なので、あまり難しい事は無い。
ゆっくりと息を吐き、一瞬呼吸が止まった瞬間に打ち出された海斗からの突き、ボーイッシュな顔立ちが綺麗だと思わせながらも、踏み込みが甘い。
死ぬ限界まで寄れば、良いんだから。
突きを腕全体で上向きに流し、威力が無く成るのを感じながら、足を殺られる限界まで滑らせ、流された突きの余力を利用し、交わす事が不可能な距離で腕を掴み、投げる。
意図も簡単に浮いた海斗の体は一瞬で地面に叩きつけられ、体内の息は必然的に吐かれ、気が薄い内に寸土めで顔面前へと突く。
これで一度攻守交代と成り、海斗は寸土めされた拳を見ながら、まるで溜め息を吐く様に「はあま、またか」と言い、ゆっくり立ち上がり構えをし出した。
「恋、君のぐらい。絶対に僕は止めるよ」海斗がそう言ったのを聞き、不図笑みが出て来るが無視し、僕も構える事にした。
片足を前に出し、後方の足に体重を乗せる。
静かに呼吸が無くなり、海斗の全てがが止まった瞬間に海斗の間合いに入り込む。
自分に取って有利な場所へ、そして相手に取って不利な場所へ、間合いを察し、死のギリギリまで、己の獲物が届く範囲に、相手の獲物は交わし、殺す。
純粋に死角から海斗へと突きを放ち、海斗を吹き飛ばす。
出来るだけ急所では無い場所への突きだったが、海斗にはキツかった様だ。
鍛錬はそれから30分程で終わり、海斗の方を見ると息を上がらせながらも、僕を真っ直ぐに直視しながら「ハァハァ、次は絶対に、ハァハァ、負けない、ハァハァ、僕が絶対に、ハァハァ、君を守るんだから、ハァハァ」息を荒くさせて居たが、気持ちは伝わった。
だから、何も言わず唯その場を離れた。
汗で濡れた道着を片付け、普通の服に着替えた僕はこう言われた。「恋、辛い事から逃げるのは罪では無い。寧ろ、その行為自体は己が意を曲げてまで、目標を見定める。と言う事が出来る強い者だ」まるで哲学や、偉人の台詞の様な事を言う父さん。
一緒にお茶を飲みながらも、会話をして居るのだが、父さんは随分とそう言った言葉が好きな様だ。
「人と言う字は支え合っては居無い、絶対に片方は楽をしているからね。また楽している方が長いのは、才能などの差を現して居るのだろうね」突拍子もない言葉だが、そう言った考えを思考の中に、理解させておくのは良い事なのだろう。
だからかな、「そうだね、父さん。でも、人は人だ。何方が、では無く、結局は人は人でしか無いんだよ」と乗ってしまった。
それを聞き、少し笑みを浮かべた父さんは「最後に」と良い、こう言った。
「人は醜く、残酷な生き物だが、同時に綺麗で優しい生き物だ。だから、だからこそ、人は面白く、生きて居る意味が見出せるんだ」と。
その言葉は僕に当てはまるのか、それは分から無いが、ただ父さんらしい言葉だった。
僕はそうとしか思え無かった。
これで第3章は終わりました。
それと来年の1月下旬には受験があるので、次の投稿は受験後と成ります。ですが、時間を見つけて3章は直しをいれて行きます。




