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僕に恋する人  作者: 音夢
第3章 夏の訪れ、それと夏休みの様な生徒会
55/67

3ー9

浴衣美人、そんな言葉が似合う美女達を連れながら歩く。辺りを漂う祭りならではの食べ物の匂いが腹を刺激しつつも、周りからの視線がやはり痛い。

何時もと言えば何時もだが、だからと言ってあまり嬉しくは無い。


はぁ、また何時もの様に心の中で溜め息を吐き、夏海が行きたいと言った綿飴屋に向かう。

腕に誰か1人でも抱きつけば、必然的に身体のバランスがズレてしまい、結構歩き辛く成る。今は夏海だからまだ良いが、海斗以外は軽いとは言えそこそこ体重がある訳で、移動だけで疲れそうだ。しかも、ただ抱き着かれるだけならば良いのだが、この人達は思いっ切り身体を預けて来る。多分、片腕に掛かる体重の量が1.5倍に成るくらいに。


そしてゆっくりと体力を削られて行くのもだが、中1とは思え無い程のスタイルの良さがあり、浴衣を着て居て下着を付けて居無いだろうに、わざとかは知ら無いが胸を身体に押し付けて来る。

身体に押し付けられた胸が柔らかく、だが確かな弾力で潰れて行くのが分かり、女性独特の甘い香が鼻を擽る。


意識しない様にしても意識してしまう。それは不自然な動作と成り、夏海にも伝わった様で、まるで遊ばれて居る様な、そんな妖精と言う表現が似合う『可愛い』としか表現様が無い笑みを浮かべ「ふふ、おにぃーちゃぁん」そう甘える様に、猫なで声を出しながら更に全身を使って抱き付いて来る。


柔らかい、香も身体も全てが優しい。それが理解出来たのと同時に、顔に熱が登る。ただそれは恥ずかしいと言う様な感情から来る物では無い。

多分、雰囲気に飲まれて居るのかもしれ無い。いや、多分絶対……絶対的にそうだろう。


自然と、意識せずに、当たり前の様に夏海が抱き付いて居無い手が伸び、そして夏海の髪に触れ様とした瞬間、後ろから刺さる何か狂気を纏った様な気に気づいて……しまった。

後ろを見ずとも分かる。それが姉さん達に寄る物だとくらい。


伸びた手を降ろし、再度歩き出した。もちろん、何事も無かったかの様に。



『綿飴』看板にでっかくそう書かれ、砂糖の甘ったるい匂いが辺りを覆い、キャラクターが描かれた袋に綿飴を入れた物、割り箸に巻いた物の二種類を販売して居る。

甘い、匂いだけでそう判断出来るが、まぁ子供や単純に甘いのが好きな人ならば大丈夫なのだろう。

でも、僕にはコレだけの量があり、それだけの匂いが有ると胸がいっぱいに成ってしまう。


夏海の方を見てみると僕に抱きつきながら、綿飴の方を子供の様に何か憧れの目に似た物で見て居るのが分かる。

兄として見れば可愛らしいの一言だが、まぁ女性は何時でも女の子と言う奴なのかな。理想像として白馬の王子様の様な物があり、憧れを常に抱いて居る。それがお菓子だろうが、あまり変わらないと言うか、お菓子の家に憧れる人も居るし、祭りの色香もあるから普通なのかな。


事故完結で納得しながら夏海が僕の腕を引くのが分かり、一つの棒に巻かれた綿飴を買った。

もちろん売って居たおっちゃんもお姉さんも、舞川に携わって居る人でした。だから買わなくてもくれたと思うが、まぁ多分周りの目を気にしてくれたのだろう。

因みにちゃんと金は出しましたよ。女の子、しかも妹に出す金ぐらい持ち合わせてる。


そして購入した綿飴を持った夏海と共に出店傍にある開けた空間で、食べ始めた。

夏海の口が綿飴に触れ、小さな一口が食べられる。「美味しい、ありがとう。お兄ちゃん」そう言いながら綿飴を食べる夏海を見てみると、夏海の鼻に綿飴が付いて居るのが分かる。


ま、子供の頃とあんまり変わらないか。指が夏海の鼻に触れ、指先が綿飴を絡め取り、口の中に運び、口に広がるのは砂糖の甘さ。

「甘いな」口にそう出しながら、夏海の顔を見てみると頬が紅く染まり、ウルウルと濡れた瞳をして居た。


何も言わず、取り敢えずまるで一連の動作の様に夏海の頭に手を起き、髪質の良さを感じながらゆっくり優しく撫でていく。すると目を細め「にゃぁー」と可愛らしい声を上げる夏海。


そんな可愛らしさに心を和ませているのも束の間、「それじゃあ次は僕の番だね」と言う海斗の声の元、今度は海斗をエスコートして行く事に成ったらしい。


はぁ、次は何処に行くのか。


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