3ー2
夏休み、やっとそう呼べる季節に成ったのは良いが、やはり僕達と言うか生徒会役員、風紀委員などに所属して居る者には、そもそも休日など与えてはくれないらしい。
ついと言う近い時間では無いが、1時間程前「恋ちゃん♪今から生徒会何だけど、1時間ぐらいしたら学校に来てね♡」と何時に無く分かりやすい説明を何故か家で秋葉姉さんから聞かされ、そして1時間が経ったのでハーフのワイシャツで暑さを少しでも緩和させながら、この1時間前には秋葉姉さんも通ったであろう道を歩いて居るのたが、正直萎えてしまう。
休日、しかもダラダラし放題の夏休み、それも始まってまだ1週間も経ってない内に、こうも仕事をさせられると流石にねぇ。
この前の終業式の時だって仕事をして居たせいでかは分からないけど、元々可哀想だったのが更に可哀想に成ってしまった。
あの時は本当に大変だった。飲み物を買い与えた瞬間、水を得た魚のよう動きが機敏なり、何か色々と出来なかった時間を埋めるだの言われながら、ただ一向みんなからのボディータッチ?で足りるものかは分からないけど、兎に角否しながらも傷つけ無い様に交わしてたから、凄く疲労が体に溜まった。
これを苦労と呼ぶか喜びと呼ぶかで、この世界も360度変わるのだろうが、生憎と過ぎた願いは身を滅ぼすと、分かっている。だからこそ、僕は彼女達の幸せだけを願って居る。
桜並木を通り過ぎた辺りから見えて来る学校が、かなり遠く見えて居るのは、この暑さで遣られたんだろうと理解させられるが、だからと言って足を止める事は無い。別段、異常気象の様に暑かったり寒かったりする訳では無いんだ、それこそ夏が暑いのは当たり前であり、寧ろわざわざ口に出した所で暑さが変わる訳でも無いんだ。
だったら、黙って静かに僕は歩く。
学校の門前に着くと門が開いて居るのが分かるのと同時に、広く広がったグラウンドに熱気が溜まった様に、空気感が歪んで居るのが分かる。
ジメジメとした無風空間、何とも日本らしい夏なのかは分かるが、此処を真っ直ぐ通り抜けると言う様な気力や根性は、生憎と持ち合わせては居ない。と言うかこんなにもキツイと帰りたい。
一通り愚痴を零してはみたが、やはりと言うか当たり前だが何か変わる訳では無いなのが少し残念、と思いながらも遠回りだがグラウンドの端にある影を通る事にした。
ただ、影を歩くと行ってもジメジメとした湿気が無くなる訳では無く、正直暑い。
今日何度目の溜め息だろうか、不意と言うか意識せずと言うか、何と言うか口から零れ出た。でも、それに反応を示せない辺り、この暑さに比べたら些細な物と自覚して居るのだろう。
溜め息とジメジメとした暑さ、何処かの営業マンかっ!とツッコミたく成りながらも歩く事20分弱、漸く校舎の入り口まで着いた。
玄関に入る事に寄って、少しだが直射日光が無くなり、嬉しく感じるが靴箱に入って居る手紙が少なく成ったが、それでもまだある事に恐怖を覚えながら、靴を取り替えて手紙は処理をしてから、生徒会室に向かう。
閑散として居るが、所々で話し声が聞こえるのは部活生徒か風紀委員の何方か何だろうか。
完璧な静寂では無いが、誰かが廊下に居る様な感じでは無く、基本的に教室に入っている音だと分かる。何れも掠れた様に一度何かを会した音だ。
変に自分の耳が戦闘に特化した物だと実感しつつも、生徒会まで移動した僕はドアの取っ手に手を掛けた。
熱を蓄えたかの様に熱く成った取っ手に憂鬱にも似た、苛立ちを覚えながらも一応押し殺し、そして入る為にノックはし無かったがいつも通り、生徒会室に入ろうとドアを開けた瞬間、僕の思考が一時停止をしたと同時に再生され、扉を閉めたのが分かった。
才能の無駄遣いとばかりに機敏に扉を閉めた僕は、先ず扉から少し離れ部屋の名前を確認した。だが無情にもと言うか生徒会室で正解だ。
と成ると、この暑さで頭が遣られて幻想が見えたか若しくは蜃気楼と言う、良くSFの様な作品であるアレが僕の身にも起こったんだ。きっとそうに違いない、出なければ絶対に可笑しいしあり得ない。
もう一度ドアを開け様、そうすれば今僕に起こった事が全て分かる。
何か死神が持って居る様な鎌、俗に言うデスサイズを首から全身に掛けて無数に当てられて居る、そんな感覚が身を震わす程に襲う。死を実感した、そう言うのが1番適切な表現だと感じる。
生きて居るのか?そう問いたく成る程に、生きている実感が、死を直視してる感覚が、可笑しな程に欠損し、与えられる。
ただ、何時もみたいな殺気を浴びた感覚では無く、過剰なまでの自己防衛が体を抑え付けて居る様にも感じる。何方にせよ、これは異常だ。
少なくとも、常人が生きて居る中で味わう城の物では無いとだけ、断言出来る。
息を止める様に呼吸が無くなり、肺が圧迫されながらも、取っ手を掴み、そして一気に吐きながら開く。
今、言う事があるとすれば、この時何故、扉を開けてしまったのか、それ自体は小さな事だが世界や選択しと言う物は、その一つ一つの選択から生まれて居る。と言う事ぐらいかな。
扉の奥、直射日光を避ける為か昼間にも関わらずカーテンは閉ざされ、部屋にもともと付けられて居る電球から人口的に作り出された光が何とも、外の光とは別の光を作り出し、自然体ですらも美しい生徒会メンバーと他1人がそこに居た。
再度、扉を閉めたく成ったのは言うまでも無いが、流石に二度見をしてしまうと、理解出来無いと言う脳内補正は不可能と成り、必然的に理解させられてしまう。
この不思議と言うか、何故と思ってしまう思考に。
エデンを楽園と呼ぶのならば、此処は桃源郷、夢見現微睡みから生まれた世界とでも呼ぶのに相応しいだろう。
こんな光景、先ず生きて居て目に移すのは運や才能どうこうの話では無い。今、現状、此処だからと言う限りなく厳選された答えからだろう。
と、関節的にまだ逃げ腰な訳だが、頭が痛い。誰か心が落ち着く何かを下さい。
目の前に居る美女には失礼だが、そう思ってしまう。そして思考とは理解し、また理解出来無い程に緩やかに進む物か。
取り敢えず、もう現実逃避は辞めて先ずは「来たよ」とだけ、言っておく事にしよう。
夏らしい衣装に身を包んだ生徒会長こと秋葉姉さんが、何時も以上にその豊満とした物の揺れを感じさせながら、此方を向き「へへえ、恋ちゃんに見られちゃった」挨拶をしなさい!
そんな冷静な突っ込みに気付く人は居なく、生徒会顧問である九条先生が「恋くんの為だけに着てみたんだけど、どうかな?」だから、夏らしいですね、です。
「恋ちゃーん!!!」ああっ!もう抱き着かないで、暑いから!「いやっ♡お姉ちゃんはこれを恋ちゃんにくっ付けなきゃ死んじゃうんだにゃぁ」勝手に思考を読むな!そして胸を押し付けるなぁ!副会長さん!
ガリガリと体力を削られて行く中、サクラさんと飛鳥さんは笑顔を此方に向けながら、優雅にドリンクを飲んで寛いで居る。大方、夏らしい格好は多少ながらも恥じらいはあるらしいが、暑いのは嫌らしい。何時もみたいに助けてはくれない。
「私はその、暑いの苦手なんで」サクラさんは弱々しくて可愛いけど、出来れば頑張って助けて下さい。
あと飛鳥さんは何時もと同じだから大丈夫って顔だし、何なのこの生徒会。この状況を大丈夫って思える生徒会って。しかも、何でこんなんなのに運営はしっかりとしてるの?訳わかんないよ。
それと「唯さんも何で水着何て来てるんですか?可愛いけど」唯さんに似合う可愛らしくも綺麗な白生地に黒を生やした水着、皆が水着なのは何となく分かるけど、唯さんが着るとは以外だった。
因みに夏らしい、とは着崩しや衣替えでは無く水着なのは、まぁ言わずと知れたかな?だって、ただこの人たちが衣替えをする筈が無いし、している画も想像出来無い。
にしても、黒にピンクに黄色に赤、それと青って何れも似合っては居るんだけど、呼び出した理由がイマイチ分からない。
これぐらいなら、適当な時にでも見せられるだろうし。
そう思って居ると、顔を真っ赤に染めながら早口に成って居る唯さんが「あ、あの、その、これは生徒会長さんが、今日プールで遊ぶって言ってたから、だから、着てみたと言うか、別に恋さんに見てもらいたいとかは全然!」と説明をしてもらったが、なるほど。唯さんは普段冷静だから凄く可愛く見える。
まぁ、それは心の中に置いておくとして、「まさか、その為だけにこの暑い中、規定会議でも無いのに呼んだの?ねぇ、秋葉姉さん」あっ、目を背けた。え、本当に?本気って書いてマジって読む感じの方。
あはは、あはは、本当に何なんだろう、この生徒会って。




