3ー1
暑い、熱い、アツい、つい2週間程前まではまだ肌寒いと感じて居たが、今は何処の誰に聞いても大概『あつい』とつまら無いが切実な悩みを無意識にでも、口に出しているのだろう。
夏が暑く無ければ、まぁ確実なまでに異常気象としてテレビ何かにでも取り上げられるのだろうが、個人てきには少し肌寒い程度が好ましい。
雪が降るぐらいに寒いのはあまり嬉しくは無いが、パラパラと降ったり、運動がしやすい程度に寒ければ良い。
そんな事が起きるとは思って居無いが、愚痴として零したくは成る。
勿論、皆が皆、そうとは言わ無いが、多数の人はそう思うだろうに。
そしてと言うか、我が完璧生徒会メンバーが集うこの生徒会室でも、同様といべきかは分から無いが、温度差が激しいながらにも同じ様な事が起こっている。
汗を掻きながら、だが切れて居る様な感じでは無く、「アツいにゃぁー」そんな事を言いながら、わざとなのだろう。副会長さんが更に熱く成るのにも関わらず、その柔らかい感触を僕には味わわせる様に抱き付いて来る。
正直暑いが、抱きついて来たのと同時に、それを見て居た飛鳥さんから無言の制裁が副会長さんに落ち、「っ!」と短い声と共に、副会長さんは机にダイブした。
酷くシュールな光景であり、また普段からあんまり怒ら無い飛鳥さんが怒って居るのも、この暑さから来る苛立ちの為なのか、それとも単純に副会長さんの行動にキレただけなのか、それは分から無いが、普段騒がしい生徒会が此処まで静かなのは確実に、この異様なまでの暑さのおかげであり、暑さのせいだろう。
にしても、何時もなら備え付けのエアコンが動き、快適空間へと早変わりする筈なのだが、今日は一学期最終日であり、明日から夏休みの為、部活動は軒並み休み、職員もデスク作業の為、帰宅している。
だからか何だかは知ら無いが、終業式が終わった今は、全校舎エアコンを使うのを禁じたらしい。
何処の誰かは知ら無いが、全く持って今の状況はあまり芳しくは無い。と言うか、絶対それを言った人は帰宅しているな。
ぐちぐちと文句を言いながらだが、無論。生徒会とて夏休み中に色々と定例会議を行ったり、部活動の見回りなどがある。その為の会議を今日やらなければいけないのだから、流石にこの暑さを耐え得るのはキツイが、我慢程度なら出来る。
それに会議自体はもう殆どが終わり、帰れない訳が無い訳でも無いのだが、こんなにも暑い中わざわざ外に出たいと思う愚か者、愚考を考え実行する程の、理解力が乏しく浅はかな考えをする人間はこの中には、まぁ居無いだろう。
にしても、秋葉姉さんは熱くは無さそうだけど、明らかに口数が減って居るな。大丈夫そうだが、そろそろ
九条先生も職員室に仕事をする為に戻ってしまったし、しょうがないか。
何時もお世話に成って居るし、とそんな誰に言い訳してるんだろ?と思う様な事を考えながら立ち上がり、ある場所に向かおうとした瞬間、思考回路を停止させ、どこか遠くに黄昏て居た筈のサクラさんの手が僕の手を絡める様に指を掴み、そして「ねぇぇ、恋くん どっか行くのぉ?」と何時も以上におっとりしたと言うか、ゆっくりと更に伸びた可愛らしいさを向上させた様な喋り方をしながら、そう聞いて来た。
先ほどまで黄昏ていたサクラさんが手を掴んだ事も驚居たけど、何と言うかこの小動物の様な人を無性に愛でたく成るのは、多分致し方が無い事だろう。
そんな感情を抱きながらも心に押し止め、サクラさんに「今からちょっと買い物でもして来ようかなと」とザックリとしては居るが、そう簡易的に説明を為ると「じゃぁあ、気を付けてねぇ」と流石に着いてくる元気は無いのだろう。サクラさんは手を離してまた椅子に座った。
それじゃあ、行くか。何の為の踏ん切りかは知ら無いが、心の中でそう言って僕は生徒会室を後にした。
扉を開けた瞬間、生徒会室の様な篭った暑さは無く成ったが、今度は一気に直射日光の刺さる様な暑さが襲って来る。布団を干すには良い天気だろうに、さながら自然のサウナと言うか、良い天気と言うか、汗をかく嫌な季節と言うかは悩むが、まぁ何れにせよこね異常な暑さが電力に成ったり、水不足に成ったりと良し悪しがあるのは確かか。
にしても、此処まで暑いと日射病でも流行りそうで怖いな。特に夏休み中の部活や遊びに出かけて居る人のだけど。
そんな心配をした所でこの暑さや日射病に掛かり、熱中症に成る人が減るとも思わないが、此処よりかは増しとは言え生徒会室に居る人が直ぐに成らないとは限らないし、急ぎ目で向かうかな。
と大義名分ね様な事を言っても、一応こんなんでも生徒会役員であって、規則として廊下を走る事は出来無い。そもそも緊急事態では無いのだから、走る意味は無いんだけど、やはり暑いのは居るだけで体力を奪う。
しかも自販機って確か一階の掲示板横だから意外と遠いし。
不満では無いにしろ、こんなにも暑いと愚痴の1つや2つ、零したく成る。まぁもう既に結構な量を零して居る訳だが。
普段は飽き飽きする程にこの教室の量や広さに関心を抱いて居たが、流石に早く移動したい時には憂鬱でしか無い。
零れそうな溜め息を抑えながらも、体内から流れ出る汗を抑える事は出来ず、歩き疲れる程の距離でも無いが10分程度歩いただけで、目に見えて疲労が溜まって行くのが分かる。
そんな妙に嫌な感覚を覚えながら歩き、漸く着いた、そう思ったのは良かったが、人に出会ってしまった。別段、学校の敷地内に生徒が居る事に文句がある程、可笑しな頭では無い。ただそれが男なら殺意が篭った目で見られ、又女の人ならば熱く絡みつく様な視線を向けられる。何方もあまり好ましくは無いと言うのが辛い。自販機で飲み物を買うぐらいは出来る、だけとま出来るなら会いたくは無いって言うのが本音。
でも、それは接点を持たない他人に言えた話であり、今回の場合は少し違う。
真っ直ぐと伸びた廊下の律儀にもしっかりと右側に寄り、掲示板を眺めて居る女生徒、日本人形とでも言うのか、そのサラサラとした中に凛とした何かを備えた黒髪、制服が似合わない訳では無いがその顔とはミスマッチとは違う、そんな雰囲気を放った秋葉姉さん達とは違う綺麗な顔をした女生徒、目の前に居れば男女とまず目に入れてしまうだろう、彼女だが今の状況から言えば素直に頷けない。
そう思いながらも、足を止める訳には行かず、彼女が見ている掲示板の横にある自販機に近づいて行く。
この不思議な何とも言えない間、空間に足音が響き、それを聞いた彼女が何か確認する様に、首を此方に向けた。
顔だけが此方を向き、そして揺れる様に靡く黒髪が絵を見ている様な感覚を覚えさせる。
1つ1つの動作が何か芸術的な物を感じさせる彼女だが、此方を向き無表情だった彼女の顔が優しく、まるで聖母の様な微笑みを見せた。
ゆっくりとした動作にも見える、お淑やかな動きの中、彼女と目が合い、そして「あら、こんにちは。恋さん」と話し掛けて来た彼女、もとい高等部1年にして風紀委員長と言う肩書きを持ち、容姿端麗、才色兼備、まさに非の打ち所がない。そんな高嶺の花の様な地位に居ながらも、誰にでも気さくで優しく接する佐藤 唯さんだが、何故かと白々しい事は言わないが、良く話しかけられる。
長ったらしく回す様な口調で説明をした所で、これ以上思考能力は上がらないだろうに。そして縮まって行く彼女との距離、だった筈だがピョンとウサギが飛んだ様に近づいて来た彼女、そんな彼女を見て先ず始めに「こんにちは、唯さん。所で掲示板何かを見つめてどうして居たのですか?」と何時に無くは無いが、冷静に僕はそう聞いて居た。
すると彼女は首を傾げながら何かを考える様な仕草を取ると、何かが分かった様で「いえ、ただ掲示板に張り出されたテストの結果を見ていたのですが、下の方から探すと何時も時間が掛かってしまい、一体何故なんでしょうか?」と言う唯さんだけど、テスト結果は言わば順位表でもあって、彼女は肩書き通り高い学力を所持して居り、下から一々名前を確認して居てはかなり時間が掛かるのだろうが、多分彼女は『結果なのに何故、五十音の行数では無いのでしょうか』と、多少頭の硬い事を思って居るのだろうな。
流石に無いと苦笑してしまいそうだが、事実多分そうなのだろう、と言うか奥ゆかしさの塊の様な唯さんなら、別段あり得なくは無い、と考えてしまう辺り、僕自身に苦笑いが出る。
色々と思う所はあるが、取り敢えず伏せて起き、また足を進め様と為ると「恋さんも結果を見に来たのですか?」と聞いて来たので、素直に自販機に飲み物を買いに来たと言うと「確かに人の事を思い、行動出来る事は素晴らしいですが、それ以上に自分の事もしっかりと考えて行動して下さいね」と注意と言うか、優しい言葉を受けた僕は「それは唯さんもですよ、幾ら風紀委員長だからと言って終業式終わりに、女生徒1人で見回りをしたり為るのは危ないんですから」と、仕返しのつもりでそう言った。
対が会った訳では無いのだが、唯さんは事の他、秋葉姉さん達に近かったらしい。「大丈夫ですよ、昔から武道を嗜んで居ますから」と笑顔で返されてしまった。
こう言った返しに対する返しは得意では無い、寧ろ苦手な方な訳で、取り敢えず自販機で飲み物、と言ってもジュースでは無くスポーツドリンクなどの、授業として見てもまだ了承出来る範囲の物を買い、唯さんと別れて生徒会室に戻った。
今だ消えないこの暑さを感じながら、夏の始まりと共にこの夏休みに何があるのかも、知らないままに。
長らくお待たせしました。
本日から第三章を投稿して行きます。




