2ー9
頭を中心として身体全てが重く、またグラグラと揺れる様な感じが脳内から、そしてこの暗闇へと反映させ、気持ち悪さを生む。
今、一体僕は何をして居るのだろうか?
確か、母さんと一緒に露天風呂に入って、色々母さんからの試練を受けながら最後、露天風呂で気持ち良く成って居て、あれ?何でだろ、そこから記憶が無いや。
いや、確か身体がどんどん重く成って行って急に眠く成ったのは分かった。でも其れからは全く出て来ない。
悩む、この様な感覚に一度も成った事が無い。未知数の出来事で、どう対象して良いか分からない。
身体は無理をすれば動きだろうが、何処か身体に負担を掛けてしまうかもしれないので、最終手段として取っておこう。と成ると、今の僕に出来る事はこうして論議するぐらい…か。嫌に無力を感じさせられるな。
だが、何故か不思議と嫌な感じがしない。それに思い筈の身体なのに、優しい何かに包まれて居る気がする。本当に優しい、まるで僕だけを守ってくれているみたいに、ただ僕の事を落ち着かせてくれる。
とても変な感じだ、でも嫌では無い。
すると頭を撫でられた様な感触、そして落ち着きが感じられた。
それはまるで子供の頃、母親に恥じらいも無くしっかりと正面から抱き締められた時の様な、そんな優しくて暖かい感覚に似て居る。とても恋しくて、とても求めてしまう。
子供が親に我儘を言って甘えてしまうのはある意味、こう言った目には見えない優しさが有るからかもしれない。まぁ、その優しさらに苦しめられたり、優しさを感じ無いまま育った人も居るが、ただ不思議なくらい暖かい。それだけは揺るぎ無い程に僕を落ち着かせてくれた。
ああ、眠たい身体がまた眠く成って来たけど、そろそろ目を覚まさなければね。
その暖かさが難儀な程に僕の心残りに成るが、欲は捨て、ゆっくりと目に力を入れて行った。
自然と閉まって居た目が不自然なくらいに閉まり、そしてそれで出来た隙間から突き刺さる程に眩しい光が照らし出され、後悔と言う名の億劫を作る。
それと同時に肩甲骨辺りが締まる様に体を伸ばし、漏れる様に口から零れ出て来る「ん、んんんーー」と言う声。
段々と差し込まれて来る光に目が慣れ来た僕は、目を開けて行く。
その瞬間、目に溜まった涙が霞ませる幻想的な中、見た事がある美人さんが浮かんで居た。
気付いた時には僕の目はもうその美人さんに見惚れる様に奪われ、そして頭を撫でて居る手がただ嬉しかった。
5分程の間、自然と目が覚めるのを待った僕は、しっかりと覚めて来たので身体は寝かせたまま「おはよ、天音姐さん」寝起きだからか、濡れた様な声が出たが、何だか天音姉さんは喜んでくれて居るので良い、そんな中、天音姉さんの顔は優しく女神の様に綺麗な笑みを浮かべながら、僕の顔に顔を近付けると「おはよう、れんくん」と更に見惚れさせる挨拶をしてくれた。
ああ、こんなまったりとした時間が永遠に続けば、誰かが誰かを傷付ける事も、誰かが傷付く事も無いのに。
癒されて居る、何時もは正直辛い優しいさでも、弱って居る時には必要だな。
幸せを噛み締めながらも、そろそろ体を起こそうと身体を上げて行くが、天音姉さんは優しく微笑みながら「ふふ、別にまだ全然良いよ。それに私も嬉しいし」と言い、天音姉さんは僕の身体を膝枕として丁度良い位置に倒した。
ズルい、何時もは本当に変態なのに、こう言う時だけカッコ良くて、惚れちゃいそうなぐらいお姉さん何だから。あーあ、やっぱり僕の家計はスイッチのオンオフが激し過ぎ、だから遣られる側は覚悟して居なきゃ、落とされるよ。絶対的なまでにね。
まぁ、どうでもいっか。勉強も大体良い感じだし、たまに天音姉さんに甘えるのも。
何分経ったのだろうか?ただ僕が膝枕をして貰って、天音姉さんそんな僕の頭を撫でる。それをただ繰り返して居ただけだからか、時間感覚は無くなり、起きた時間も解ら無いのでおおよその時間すら分からない。
聞けば良いと言う話だが、多分聞いた所で「気にしないで、私にいっぱい甘えて」と言われてしまうのが落ちだろうから、聞かないが、今寝てしまうのは余りにもヤバイ。夜に確実的に眠れ無く成り、明日の授業に響くのだけは避けたい。
はぁ、気持ち良いけど眠れ無いって言うのは以外とキツイ。
そう考えながらも、リラックスモードの身体は天音姉さんが撫でる度に、うなぎ上りでリラックスされて行く。
ある意味、天音姉さんの天職かもしれ無いと思ってしまう程に上手い。だが、それは同時にかなりの眠気が襲って来ると言う訳で、そろそろ辞めて貰わ無いと辛い。
その瞬間、天音姉さんの後ろの方から扉をノックする音が聞こえ、続け様に「お兄ちゃん、夕食出来たから迎えに来たよ」と扉一枚越しにも関わらず、透き通る様に聞こえて来た声、それが夏海の声だと言う事は直ぐに理解出来た。
そして扉が開く音が聞こえるが、生憎見えない。と言うか、そろそろ離してくれ無いかな?
僕の気持ちとは裏腹に、事はコクコクと進んで行く。
裏返った、驚いたと言う感情なのだろう。夏海の「え、な、何やってるの!?」と言う声が響き渡り、それを聞いた天音姉さんは「ん?ただ、ううん。私がしたいかられんくんに膝枕して上げてるのよ」と答える。
はぁ、好い加減何だかんだ言ってパターンが読めて来たよ。
それから5分程してから、やっと起き上がれた僕はまた両腕を天音姉さんと夏海に取られ、夏海の方が大きいそれの感触を感じながら、居間に降りた。
居間から漂う美味しいであろう料理の匂い、そして居間の扉を開けた瞬間、映り込んで来る美男美女と執事、正に異国の貴族としか言い様が無い。貴族、品位が高く、決してプライドを捨て無い一族と言うか、ある種の種族でもある。
勿論、この両腕を抱き締めて居る2人もまた高貴な人達であって、決して僕とは違う。人間的な意味から同じ種族かと疑うまでに。
そんな中、僕は2人に引っぱられながらある席に座り、当然の様に2人は僕の横に座るので何時も通り殺気が入り混じる空間へと、一瞬にして早変わり。まるでマジック、いや。マジックなら増しかな。まるで現実を嫌に痛感した様な気分だ。
セバスチャンさん以外の全員が席に座り、目の前のテーブルに広がる高級料亭で見る様な和食が腹の虫を刺激し、自然とした感じで夕食が始まった。
和食、日本人は形から入りたがる人が多いとされて居るが、それを代表するのが和食の様に見た目から味、そして箸の持ち方、礼儀作法、そう言った全てを問われるのが和食。
ある意味、日本ではジャンクフードが生まれ辛い原因でもある。
日本に最初に入って来たファーストフード店の初日には、あまり良い反応は得られず、寧ろ無作法と言う見方が強かったらしい。名残りとして日本のファーストフードはしっかりと食べ易く、見た目を多少は良くして居る。
因みに日本では江戸に入るまで、鍋はあまり良い物では無かった、と言われて居る。理由は1人一膳を基本として居た日本では、数人で1つの鍋を食べる事が汚く見えたと。
色々と歴史がある和食、そんな和食の中でもステーキと言った物は現在は存在して居り、このサーロインの良い感じの柔らかさ、が油を無しにしても焼ける。
そして口に入れた瞬間に溶ける様に、解ける様に無くなり油っぽく無く、寧ろスッキリする程に上質な肉汁。うん、美味しい。美味しいの一言じゃすまないのに、美味しい。幸せ、流石最近の和食は洋食慣れした日本人向けにも作って有るから、本当に口から幸せが零れる。
噛み締められない幸せを噛み締めながら、夕食は進んで行き、半分ぐらいが無くなった所で、テスト勉強についての話を持ち出す事にした。
「えっと、母さんと父さん」と家主である2人にそう問い掛けると、2人は妙に嬉しそうな雰囲気を出しながら、母さんは「どうしたのら?恋ちゃん」と言い、それに続くように「父さん達に出来る事なら何でも言いなさい。どうな事でも協力するよ」と優しさと言うか、親バカ丸出しの発言をされた。
コレには多少頭を痛めそうだが、先ずは無視では無く、流すと言うまだ穏便な対応を取らせてもらおう。
で、だ。話すか。
ただのとは言い難いが、家族である以上、一様は隠し事や良い子ぶる気は無い。でも、こんなにも期待と協力的な目指を向けられると、眼光で脳裏が焼けそうに成る。
眩しさや輝きはその人の生き様や、力、存在、才能と言った言わば人間を構成させてる物で出来て居ると思っている。だから僕以外のここに居る皆は光輝き、僕は壊れた様な狂い咲いた毒々しい花の光を放つ。
光に触れる事には大分慣れた、またその逆にも。
だけど、僕が光る事は一度も無かった。光ったとしてもそれは偽りの光。月にも太陽にも剰え星にさえ成れなかったゴミ屑。
そんな僕が放つ言葉は全てが不安で作られながらも、皆に曲解された形や不安定な形で伝わる。
さぁ、その不安と不安定さを感じる言葉でも、僕は放つ。コレが唯一出来る手段だから。
2人を見て、多少硬直した様に緊張が走り、身体中をピアノ線が縛り付けて居るみたいだが、口を動かす。
「えっと、今度テスト勉強をウチでしたいんだけど」その瞬間、世界は準則される様にルートを変えた。まるで予期して居たかの様に、最初から一択の答えをするつもりだったかの様に、2人の声は「「いいよ(いいわよ)」」と重なった。




