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僕に恋する人  作者: 音夢
第2章 疲れが募り募らる、僕の日常
40/67

2ー7

驚きからか見開いた目から放たれた周り全ての視線が、セバスチャンさんに向いて居る中、何時もマイペースな副会長さんですらも流石に驚きながら、だがやっぱり副会長さんか。

「ん、あれ?えーと、まぁいっか。それよりも久しぶり」と何か納得したと言うか、途中考えるのを辞めた様で、あの性格からは想像出来ない程に見惚れてしまう、綺麗な顔でそう言った。

何故、何故にあんな性格な人にこんなにときめいてしまうのか、そう思うと何だか辛い。そしてこんな反応が起こり、こんな事を思ってしまうのも副会長さんぐらいだろう。


続く様に驚いた顔もとても素敵な飛鳥さんが「って、私と扱いが違い過ぎ無いかにゃぁ、恋ちゃん」普通に、当たり前の様に人の心を読む人に常識とか以前に、もう色々な物が通用しませんから。

で、飛鳥さんは驚きながらも冷静に「その、何故此処に居るのでしょうか?」と今1番必要な答えを言ってくれた。

もちろん、セバスチャンさんの答えは「私は今、舞川家。つまり恋様と秋葉様に仕えて居る執事でございます」であり、今日二度目の綺麗なハーモニクスを生み出す驚きの声が、この生徒会室に流れた。共鳴の事など全く考えられて居ないだろう、生徒会室に響き合った声は、ゆっくりと消えて行き、最後張り詰めた様に音が響き、共鳴からの余韻を残し完全に消えた。


そんな事が有ったが、最後コレと言って何かがある訳では無く、僕を除いた生徒会メンバーのおかげで、今までに無い程に早く帰る事が出来た。



帰り道、途中まで一緒の生徒会メンバー御一行に両腕の自由を完全に奪われながら、腕に当たる感触が妙な雑念を生み、とても平常心では居られ無く成りそうだが、何とか歩き、やっとの思いで家に着く事が出来た。玄関に着くと、今までに無い感じだが執事らしくセバスチャンさんが扉を開け、そして僕と秋葉姉さんが通った。

まだと言うか、一生慣れ無いかもしれない感覚だが、そんな感覚の中でも違和感無く凛とした雰囲気を保って居る秋葉姉さんはやっぱり、人の上に立ち、人々に崇められる星の元に生まれて居るんだろう。


玄関の靴置きには母さんと父さん、それから僕達寄りも早く帰って居る夏海の靴が置いてある。

テスト勉強に着いては夕食の時に話すとして、家の中、あまり声を出した訳では無いが「ただいま」そう言った瞬間に、目の前に現れた年甲斐にも無く、だが似合って居る最近流行りと呼ばれて居る服を着た母さんに、大人ぽっいシックな作りの物をわざと子供らしい雰囲気にさせた様な服を着た夏海が現れ、人外や規格外と呼ばれる化け物を何と無く実感出来た。

綺麗な髪を靡かせた、美しい顔の化け物、何処かの昔話にでも出そうなシチュエーションだが、残念ながら人間何だよね。


2人は僕達と言うか、僕を見ると声を合わせながら「おかえりなさい恋ちゃん(お兄ちゃん)」と言い、ゆっくりと体をくっ付けながら、良い匂いが僕を包み込み、そして2人の笑顔が僕の目に映る。

その光景が旗から見れば、100人居れば100人全ての人が見惚れる程に綺麗な人が、僕みたいなメガネに抱き付いて居ると言う、かなり異様な事ぐらい僕にも理解出来た。でも、例えそれを2人に言った所で、2人に取って『周り』や『他の誰か』などは、自分の価値観に入れる意味などは無く、ただ抱き付いて居るのだろう。

そんな中、何時も通りセバスチャンさんはニコニコとしながら、靴を脱ぎ「ただいま戻りました」と言い、仕事があるのか礼をしてから奥へと消えた。

何とも気を使われた感がするが、それとは別に1人、鬼の形相などの露骨なまでに怒りを表した顔では無く、沈黙を作り出す程に冷静で冷気を纏わせて居る秋葉姉さんが居た。


雪女、実在する雪女とでも錯覚してしまいそうな程に、昔話に出てくるそれにソックリな秋葉姉さんだが、その心は冷徹無比な程、冷静では無いらしい。

凍て付く様な視線で僕に抱き付いて居る2人を見つめ、その見ているだけでいやらしい口を開いた。

「2人共、恋ちゃんはコレから色々しなきゃいけないんだから、さっさと離れてくれないかな?」落ち着きや冷静などは一切無く、感情を何とか抑えた様な言葉を2人に向かい放った。


それに対して夏海は可愛いらしく頬を膨らませながら、秋葉姉さんの方をジト目で見つめ、「むぅー」と声を漏らした。

正直、こんなにも可愛い生き物が僕と同じ人間、血縁者とは到底思えないが、兎に角抱き締めたいと言う、小動物愛が溢れ出しそう。


そんな夏海とは対象的に、母さんは少し考える様な仕草を取り、何だろう。昔、隣に住んで居た面倒見の良いお姉さんの様な雰囲気を作り、悩む様なポーズから僕を通して秋葉姉さんに向かって話す。「うーん、恋ちゃんがやる事いっぱいあるってのは本当だから、今は離れる事にするわ。あと、恋ちゃん今からお風呂入れちゃうから」と言うと離れてくれたので、やっと部屋に戻れた。

と言うか長い、あれだけの間に15分ぐらい経ってたよ。



僕が部屋に戻るので、皆も自ずと各部屋に戻り、先ほどとは打って変わり別の意味で静かな空気が漂った。

風通しが良い、物は良い様だが、この殺風景な部屋の中、脱いだ制服をハンガーに掛け、動き易い簡易的な格好に着替え、今日出た作文?論文?かなり長い文章を作る事にした。


普通の男子学生の様に勉強が嫌いな訳では無いので、何時に無くと言うよりも、何時も通りに机に向かった僕は先ず、頭の中で書く内容について整理し始めた。

とは言っても、書く内容はこの前の旅行についてであり、それの一連の流れを『どう見えたか』や『どう思ったか』などの簡単な組み合わせをしながら、私情を挟んで書けば出来上がりに成ってしまう。パターン化した作業はとてもつまらないが、まぁこう言った物も一種の慣れが重要なのだろう。


そして作文用紙10枚に書き始める前に、時計を使い30分経ってば鳴る様にしておく。こうする事に寄って、集中力の限界である30分間はやれる事に成り、乗って居れば続けるが、駄目な場合は休憩の目安になる。

準備も終わったので、早速書き始めた。


頭の中で思い出し、そしてそれを文章にする。そんな作業を繰り返し、時計の目覚ましが鳴り響き、休みに入ろうとした瞬間、扉をノックする音が聞こえた。

ノックを聞いた僕は直ぐ様、時計を止めて部屋の扉を開けた。するとそこには何故か二枚のタオルを持った母さんが居り、何と無く用事は理解出来るが、二枚のタオルの意味は理解したく無いな。


取り敢えず、まぁそうも言って居られ無いので「風呂入ったの?ありがと」と答えは聞いて無いが、予想は簡単に出来たのでそう礼を言った。

「うん、入ったから呼びに来たんだけど、やっぱり恋ちゃんとは相思相愛だからこその意思疎通が」と曲解も曲解。明らかに早とちりするタイプの人の発言だが、何かゆっくりと息を飲む様に間を開けると再度話し始めた。

湿らせた様な唇が妙に色っぽく男心を擽り、同性ならば絶対に憧れるだろう。そんな男にしか分からない感情を感じさせる母さんの口が、ゆっくりと開く。「えっと、その、私と一緒に………くれないかな?」聞こえない。


掠れる様に消えた声は当然の如く、僕の耳には聞こえず、首を傾げると色っぽかった筈の母さんの顔は赤く染まって行き、そして覚悟を決めた顔をした瞬間、母さんは動き出した。

飛び込む、僕の胸に体や顔を押し付けながら、柔らかい感触が身体中に襲い、突然の事に驚くが、雪崩の様に次々に事は進んで行く、正に怒涛。恥ずかしさを照れ隠しする様に「ママと一緒にお風呂に入ろう!!」そう叫び、その叫び声だけが虚しくも響き渡る。


響く声が無情にも僕の心をグサグサに突き刺し、痛みを超えた感情に表し難い何かを感じさせる。

場慣れとは良い事だ、何れだけ周りがテンパって居ても頭の中では常に冷静で居られる。冷静、冷静だからこそ理解した果てには頭が可笑しく成ったんじゃないか?と言う不信感が出て来るが、まぁ先ずはそんな事は言い。色々と良くは無いが、今は触れないで置こう。

ただコレだけは言わなきゃね。はぁ、溜め息混じりの息が漏れる。


母さんの肩を掴み、母さんの目を見つめながら「無理だよ」そう言った。


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