番外編 ちょっとした旅行?
海斗との鍛錬を終わらせた僕は、海斗と共にキッチンへと来た。疲れが溜まってまだ寝て居るのか秋葉姉さんの姿は見当たらず、椅子に座った夏海と天音姉さん、それからセバスチャンさんが母さんの手伝いをしながら食事を盛り付けて居た。
「おはよう」と簡単に挨拶をすると、天音姉さんは「れんくん、おはよ。朝から結構激し目にやってたみたいだけど大丈夫?この海斗ちゃんに何もされて無い?」これが海斗や秋葉姉さんならこの程度で済むのだろうが、誰とも知らない人と何かして居たと成れば声を上げて居るのだろう。また海斗も「ふっ、見頸ってもらっては困りますよ。僕だってわざわざ恋が嫌がる事などする意味が無い。と言うか、恋を傷付ける物は滅んで欲しいぐらいです。ですから、安心して貰って大丈夫ですよ」何時に無く硬く、突き刺さる様な言葉。
ただ、これが喧嘩では無いのが不思議だ。正に一触即発と言う雰囲気だが海斗の硬い感じと、天音姉さんのやんわりとした可愛い物を弄りたい感じがぶつかってこう成ってるだけで、2人に取っては何時もの会話らしい。
そしてそんな2人に見向きもせず、近づいて来た夏海がまるでこれ以上近づくなと言わんばかりに、夏海との間に入り腕を密着させながら挨拶を返してくれた。
「お兄ちゃん、おはよ」眩い程光り輝く笑顔でそう言った夏海は、更に腕を絡ませながら最終的に指と指を絡ませ、俗に言う恋人繋ぎと言うのを作りある程度満足した様や顔を浮かべながら、また今度は別の話を始める。
「それにしても、朝起きたらお兄ちゃんが居なく成って居てちょっとだけ寂しかったんだよ。だから、朝は一緒に」我ながら可愛い妹だと思う。が、その声は最後まで届く事が無かった。「ご飯出来てるから、早く一緒に食べちゃいましょ。恋」母さんのそんな言葉と何か強靭なオーラに寄り、夏海は喋れなく成り食事が始まった。
母さんがと海斗が横に座り、目の前には夏海と天音姉さんが座った。セバスチャンさんは母さんの後ろ辺りに控えながらメニューを紹介してくれる。
「朝のメニューはトーストと和風おろしハンバーグ、それからオニオンコンソメスープに中華風サラダでございます」丁寧な敬語、しかも昨日や一昨日の顔に比べると生き生きとして居るのが分かる。
本当に執事の仕事に生き甲斐を感じてるんだろうな。
それから母さんと多分セバスチャンさんが作ってくれた朝食を半分程食べ、海斗は甘える様に成り、母さんは甘やかし、夏海と天音姉さんは鋭い視線を作る。如何考えてもマッチし得ないが、此処で離れる程……………僕に勇気も無謀と分かって居てもトライする根性は持ち合わせて居ない。と言うか、今の状態だと流石に要らない。
肝を冷やす程の汗が体の中を流れる様な気分が体を襲い、妙な感覚にさせる。第六感が叫んで居ると言うのか、虫酸がと言うのか、兎に角不思議な感じに成る。
身体中を襲うそれが怖い程に正直なまでの僕の感情、だが如何だろう。こう言った以上と言う物に身を落とし過ぎただからだろうか。冷静、冷静過ぎる程に冷血な判断を頭の中で自ずと考えて居る。
でも、そんな考え寄りも早く天音姉さんが言い放った言葉。それは驚き以外に何も感じられなかった。「ああ、そうそう。れんくん、今日はお姉さんと一緒に旅行行きましょうね」と、爆弾発言。しかも何かするとは聞いてたけど、今このタイミングで言うとは。
ああ、益々凄い雰囲気に。
溜め息が出そうに成る。しかもどぎつい程に強大な不運を招き込みそうな。
それから暫くの間、視線と雰囲気による激しい葛藤が続き、両者拮抗かまでに無言の意思会話が続き、それを要約する様にセバスチャンさんが妥協案として「それでは日帰りと言うのは如何でしょうか?」その言葉に全員が驚きの表情を浮かべるが、セバスチャンさんは尚も続けた。「春香様は折角旅行から御帰りに成った恋様がまた何処かに御生きに成るのが、お怪我などの心配があるので宜しく無く、天音様は自分だって恋様と会えなかったので、との言い分。ならば、間を取り事故などの可能性を減らし、尚且つ日帰りでは有りますが天音様の望みも叶えられます」確かにそうなんだけど、僕の休みは?
無いんですね、はい。分かりましたよ、頑張ります。だからそんな申し訳なさそうな顔で見ないで。
そして母さんが年甲斐も無く?いや、見た目的にはかなり可愛らしく上目遣いで「行ってらっしゃい」と言ってくれ、何かとても不思議な気分に成りながら天音姉さんの車に乗って、旅行へ向かう事に成った。
誰が見ても分かる程に高く、機能性から見た目、全てに置いて満点であろう高級スポーツカーに乗せられ、また何処の誰が見ても美しいと分かる女性が運転する中、奇妙な能力を持った僕が居る。
とても不思議だ。異常とまでは行かないが、何処かが絶対に可笑しい。
それは彼女が僕に向けて居る笑顔、それとも僕との容姿の差、そんなちっさい物じゃない。根本的な物が違う。済む世界が、存在していい場所が、その全てが彼女…天音姉さんとは違う。
綺麗とか美しいとかの問題じゃない。汚れて居ない天音姉さんとこの力に溺れて居る僕とでは、何もかもが違い過ぎる。
だから、天音姉さんが此方に向けて来る笑顔が眩し過ぎて、でもその場所に立ちたくて、それでも届かない。届くはずがない永遠に開き続けるであろう間。
でもその間に悲しみや嬉しさ、喜怒哀楽全てが感じられ無い。当たり前だと、当然の事だから何も感じないと理解して居るから。
すると高速に入り、周りの車との距離がかなり開いた所で運転しながら「ねえ、れんくん。何か考え事してるでしょ。お姉さんが相談に乗って上げるわよ」と何時もの様な何処か抜けた感じでは無く、しっかりとした雰囲気だ。天音姉さんに心配を掛けて居たと思うと、心苦しく成る。だけど「もちろん私の体を使って、れんくんの望む様にご奉仕から奴隷、メイド、お嫁さん、お姉ちゃん、妹、全部全部れんくんだったらどんな事でもやって上げられるよ」と一瞬で早急までのお姉さん雰囲気は無く成り、そう言いながらハンドルを握って居ない手を伸ばしながら撫でる様に、感じさせる様に天音姉さんの手が僕の首筋から頬に掛けて触れた。
くすぐったい、何時もだったら嫌がる素振りでもするんだろうけど、今は違った。「ふふっ」笑みが零れ出た。
不安が有った訳では無いし、何か感じても居ない。ただ笑みが零れてこう言ってしまった。
「だったら僕の休みを返上した分には、楽しくさせて。それが今の悩みだから」と。まぁ、そんな事が出来るのなら、今までこんな苦労はしなかっただろうけど。
またもや綺麗な笑顔を此方に向けて来る天音姉さんだが、今度は「それじゃあ」とそこで区切り、期待させる様に「早く行って一緒に楽しまなきゃね」ときっちりと落とす所は落としてズルい、と思わせながら目的地に向かった。
大体2時間程の移動距離が一度高速を抜け、市街に入ってからまた高速に乗ると言う移動手段を取り、距離としては結構な距離を進み来た訳だが着いた目的地、それは日本の伝統的な物から外国の歴史を詰め込んだ様な科学博物館兼歴史博物館だった。
意外だ、確かに1ヶ月程前にオープン記念のTVがやって居たので知っては居るし、それは天音姉さんも同様だろう。でも、わざわざこんな居るだけで頭を使う様な場所に天音姉さんが来たがったのが以上だ。まぁ最初は旅行だったから直ぐに変えた結果かもしれないが、それでもねぇ。あとカップルが多いのはって、ああアレか。
入り口近くに立てられた『カップル割引、カップル専用デー』と書かれた看板がある。
これ目当てか、と言うか何時も好きなだけ抱きついて来たり、恋人同士でも結構恥ずかしがる事やってるのに、わざわざこう言うのをやりたがるのは女の子らしいと言うか、なんと言うかだね。
しかも隣の看板にTVの取材と何処かの偉い人が来てるって書いてあるけど、それはとてもめんどくさそうだ。舞川や天音姉さんの天宮時関係の人が来て無い事を祈ろう。
車を駐車場に止め、博物館に向かうと急に天音姉さんの動きがカクカクと、昔のゲームがバグったみたいな動きに成り、何故?と考えて居ると「あ、あにょね!れんきゅん」何か噛み噛みだし、あとコッチが驚く程の声を出したと思ったら小さく成るし、それと顔が赤いのは何で。
今更 恥ずかしいとは言わないだろうし、やっぱりちゃんと順序を踏むのが始めてだから、気恥ずかしいとか?
「あの、その、えーと、んーと………」他には思い付かなかった様で。
まぁ多分、「こうしてれば、カップルと思われるから入れるんでしよ」そう言いながら、天音姉さんの手を握ると「ヒャッ」と可愛らしい声を上げたが、無視しながら引き寄せて腕を絡ませて、指一本一本を絡ませる様にして握り恋人繋ぎをした所で、「それじゃあ、行こっか」とかなり一方的な気もするが、天音姉さんも「うん」と言ってくれたので博物館の中に入る。
博物館は外から見てもかなりの大きさで、ロビーも和洋折衷と綺麗な作りに成って居り、しっかりと若者世代を取り込む為かかなりの種類の自動販売機やまた其れに見合った休憩所、土産物屋などがある。軽く案内マップを見たがレストランも和食から洋食、イタリア、フレンチとかなりの店舗が充実して居る。
にしても沢山のカップル達が居るが、どのカップルの目も此方を熱く、ネットリとした視線や下心丸見えの視線で襲って来る。
勿論男の目は天音姉さんに向けられ、女性の目線は僕に向ける。
如何にも人の視線が多数来るのは慣れないが、嫌と言っても居られ無くなってからはあまり気にする事が無くなった。気にしてたら面倒だし、其れに生きた心地が失くなるからね。
取り敢えず入館も済ませたし、先ずはと言いたいけど目の前に芸能人が3名程、あと確か何処かの市の市長だっけ?その人も居る。
ああ、めんどくさそうだ。幸い注目的には両方に分かれてるから大丈夫そうだけど、動いたら大変な事に成るんだろうなぁ。
疲れ切ってしまって居る心は、よっぽどの事が無い限り早く、神経が入る筈も無い。ゆっくりとした風景が目の前に流れるが、如何にも好きには成れたいし、気に食わない。殺せるのなら殺したい、別段僕に向けられる視線程度なら大丈夫。でも天音姉さんを見て居る事、其れだけは許せない。
舐め回す様に天音姉さんが見られ、また僕が居るせいで趣味が悪いと陰口を叩かれる。
ほんと、壊したいや。こう言う腐った世界を。
周りに耳を傾けてみると、市長達が此方に来て居るのが分かる。如何やら天音姉さんと僕に気付いたらしい。芸能人、まぁ女性アナウンサーと人気女性アイドル、人気女性子役と男性層を狙った作りが丸見えのキャストだ。
それに海斗や夏海、天音姉さんに秋葉姉さん、母さん何かの美が何個付いても足りない様な女性陣とは格が段違いだが、彼女達も普通に考えれば結構綺麗な人達だ。それを自覚して居るのか、僕の方に近付きながら胸を強調する様な仕草や、女子力アピール、可愛らしさアピール何かの典型的な行動をして居る。でも天音姉さんが居ると引き立て役にしかなら無いのが残念。
女子力と言っても上目遣いでお願いとか何だろうけど、多分基本中の基本が缶のプルタブと聞く。が、よく考えると一般女子ならばそれで良い。だけど天音姉さん達がやって開かないのは僕も開けられないのだろうな。だってねぇ、僕は関係無く運動神経はあんまり無いし、天才や才能の塊の様な人達が開か無いのが、僕に開けられる筈が無いのが自然の設立。
で、にしても腕が痛い。女性の視線が此方に向いて居るのが嫌なのか、めちゃくちゃ恋人と言うか恥ずかしい愛人の様に腕に抱き付いてる。痛い、やっぱり握力では絶対に負けるな。
大分話が逸れたけど、もう目の前まで近づいて来たな。市長は「私はこの市の市長をやって居ります、田中と申します。まさか天宮時様と舞川様の御子息に会えるとは思ってもみませんでした。いやはや、実はこの博物館も私が力を入れて居まして、如何か楽しんで下さい」とかなりの低姿勢で話して居る。
残りのアナウンサーはカメラマンやプロデューサーに相談して休みを貰ったのか、残り2人を連れて来た。
元々人混みは大嫌い何だけど、更にそれを加速させる事で。
「すいません、私この番組のアナウンサーをやって居まして、
良かった一緒に話したり」と以下にも清掃で可憐なアナウンサーらしい、黒髪のロングヘアーな女性が話し掛けて来る。勿論これが始まると、更にそれを連鎖させるのがコレの摩訶不思議な事だ。子役の子がその小さい身長で脚に急に抱き付いて来ると、作り笑顔で鍛え上げた綺麗な汚れた笑顔を作りながら「お兄さんも一緒にTVに出ようよ。良かったらお姉さんも一緒にさぁ」とちゃんと弁えては居るのか、天音姉さんもしっかりと誘った。
最後にアイドルの子が、上目遣いの以下にもアイドル顏をすると「ねぇ、私も色々話したいし…ダメかな?」うーん、ドラマの影響を受け過ぎと言うのかな?とても綺麗だけど、下心が見えるし。
はぁ、腐った世界には染まりたく無いけど、見極められる程には浸かってしまった様だ。あと後ろから殴り掛かって来た男。この3人のファンか若しくは天音姉さんと一緒に居る僕に反応したのかは分からないが、まぁ、殴って来たからいっか。
まるで後ろに目がある様な気持ち悪い動きで男の手首を掴み、一回転。完全に関節が掛かった所で投げ付け、床とのご対面。
弱過ぎる、もう少し増しな奴は居ないのかなと思って居る所を感じるし、切れかけて居る様だな。とても、そうとても。
はぁ、アレからあとは何時もの調子に戻った天音姉さんに振り回された。レストランでの食事では平気で口移しをしようとして来るし、博物館は博物館で際どいくっ付け方で色々して来るしで、疲れた。かなり疲れた。
「れんくんは今日、楽しめた?私られんくんと居られたから楽しめたよ」と言われ、何とも複雑な気持ちに成るが、取り敢えず「うん、楽しめたよ。でも………もう少し大人らしくね」と言い、今日の日帰り旅行は幕を閉じた。
勿論、家に帰ると朝一度も会ってない秋葉姉さんや母さんに触られたり、してまた疲れてしまった。
一日、一日が長くとも短くとも、所詮はただの一日か。まぁ価値観の違いで回るのなら、僕は取り敢えず事流れ主義が1番かな。
感想などがありましたら、気兼ね無く書いて下さっても大丈夫です。




