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外から帰ろうとする際に生ゴミが増える瞬間を目撃した訳だが、それが終わるのと同時にセバスチャンさんが自害しそうな勢いでその場に正座し、地面に頭を擦り付けながら「大変お見苦しい所を見せてしまい、誠に申し訳ありませんでした!」言い訳などは一切挟まずに、ただ純粋にそう告げた。
もちろん誰1人とセバスチャンさんを攻める訳などは無く、その場は収まり返って来て軽く休息を取ると直ぐに夕食に成ってしまった。
夕食はホールを使ってのバイキングだが、まぁ女子は男子が居る前で大量に食う訳には行かず、また男子は女子など関係無しにと、とても見苦しい。小学生かとも思うがそれは口に出さないが、テーブルマナーさえ守れて居ない残念な食べ方をして居た。
はぁ、これで本当に高校生かよ。これならどっかの小学生の方がまだよく見えて来る。
不満と言うか、とても残念な食べ方をして居るのを見て居ると気持ち悪く成りそうなので、サラダやパンなどの軽い物を食べて夕食を過ごし、午後7時に成った。
今は一般生は休み時間と風呂の時間が与えられて居る。が一般生の男子は急遽、と言うかテーブルマナーの無さを見たホテル側の人が、僕以外を大浴場を使うのを禁止にしたらしい。まぁしょうがないな、日頃の行いが仇と成った感じだ。
その為、一般生の男子は自室に備え付けてあるシャワールームを使う事に成って居る。
それと生徒会は消灯時間の10時30分まで風呂と休憩が許されて居た筈だが、副会長さんの思い付きで9時に一度集まる事に成ってしまった。
と言う様な事があり、今から大浴場に向かい風呂に入ろうと廊下に出るとそこには何故かセバスチャンさんが居た。
何時も通り、まだ会って一日も経って居ないがこの人の本質が少しだけ分かった様に成った。だから何時も通りニコニコとした良い笑顔をしながら、扉の前に立って居たセバスチャンさんだが、僕を見るなり喋り始めた。
「夜なのです、すいません。実は買い物の時も言いましたが今日は生徒会様との行動です。ですので、出来ればお風呂をご一緒したくて来ました。もちろん嫌なのでしたら良いですが、私としては何故か他人事とし無いのです。ですので恋様とお話しようと」まさか、と言う感情があるが、別に断る理由など全く無い。「はい、別に大丈夫ですよ」と言い、セバスチャンさんと一緒に大浴場に向かった。
場所は2階のワンフロア全てを使っており、向かいながらだがこれからの事を説明すると風呂の事は自分で勝手にやったが、副会長さんに相談され次に何をするかは、セバスチャンさんが考えたらしい。勿論内容は教えてはくれなかったが、セバスチャンさん曰くとても面白い事らしい。
そして着いた。2階の全フロアを使って作られた大浴場に。では、早速大浴場に入り、無料のロッカーを借りて服を脱ぎ始めた。
別にちゃんと男女別れて居るので、いやらしい光景などは広がりはしない。まだ制服なので脱ぐのに多少時間が掛かるが、それは執事服を着ているセバスチャンさんにも言える事で、大体2人共同じ時間で脱ぎ終わり、極部だけをタオルで隠した状態に成った。
にしても会った時も思ったけど、筋肉の付き方が常人とは違う。僕もそうだけど目に見える重たい筋肉を付けるのでは無く、科学的に筋肉を付けるインナーマッスル。内側から鍛えた筋肉の付きだろう。だからあれだけの力を出せたが、かなりゴツイ感じの筋肉が付いて無いか。
あと個人的に何だけど、この傷は。刃物や銃痕なのは何と無く分かるけど以上過ぎる。腕や足、腹、別に気持ち悪いとも何とも思わないが気には成ってしまう。
するとセバスチャンさんと目が合い、にっこりと笑顔を向けられると「いやはや、恋様は若いのに良い体付きしていらっしゃる。しかも私と同じ武道で鍛えたと見た。この老いぼれ目が言うのも何ですが、自分の身体は大事にしなされ。出ないとあとあと痛いしっぺ返しや傷を追ってしまうかもしれません」と人生の教訓と言うべきだろう、真実味のある話をしてくれた。
考えさせられるが執事だからとは言わないが、多分現実を見せながらも自分の仕事をして居る。「では、当ホテル自慢の大浴場に参りましょうか」と直ぐに気分転換出来る話を持ち上げ、そのままの流れで背中を押され大浴場に入った。
水分を多く含み、湿気と呼ばれてしまうであろう熱い湯気が身体に触れ、温泉と言う感覚を与え湯気が無くなりしっかりと前が見える様に成り、そこに拡がって居たのは温泉などを中心として作られたランド何かにあるであろう程、色々な変わり風呂から正統派の風呂まで用意された所だった。
風呂好きとしてはかなり嬉しい。しかも貸し切り状態と来た。
と成るとやる事は決まって居る、別に間をタップリと開ける気などは無い。先ず身体を洗うのが基本中の基本で絶対にしなくてはいけないマナーだ。まぁ理由は汚れを落とし、清潔に風呂に入る為であるのと何と無く気持ち良く入る為と考えれば良い。
と言う訳で身体を洗い終わり、先ずは何の変哲も無い風呂に足からゆっくりと居れて行く。
冷えて居た訳では無いがゆっくりと熱いお湯が足に触れ、沁みる様に足が解れて行き、全身が浸かった所で黄昏る様に気持ち良く成って来る。
セバスチャンさんも風呂でゆっくりと癒されながら、泡風呂や滝風呂と色々な風呂に入り、最後に階段を通り下にある露天風呂に出た。
春先の夜、太陽は完全に沈み街灯と月の明かりが照らし出す。冷んやりとした風が吹き抜け、露天風呂と言う物を寄り良い物へと変えて行く。
そして露天風呂に足を居れ、身体を沈め全身が浸かり高めのお湯と頭を冷やす空気や風、光輝く夜空、幻想的な空間が時が経つのさえも忘れさせてくれるのだろう。
ただただのんびりと浸かって居ると、不図言いたく成った。と言う何とも表現し辛い感じだがセバスチャンさんが口を開いた。
「最初に会った時に、元はお屋敷の執事だったと言ったのを覚えて居りますか?」唐突、だがこの話には口などは出さずにただ聞くのが礼儀であり、相手への敬意だ。
「実は私、明日の午前。生徒会様との仕事を終えるともうこの仕事が終わってしまうのです。長かったと感じるのか短かったと感じるのか、何かが終わる時は何時もそう考えるのですが中々答えが見つかりません。それに、またお屋敷、今はお家と言う感じですが戻り執事に成るのです。普通ならばこんな老いぼれの戯言の様な話も、この様な付き合いもしない。あまり良いとされる事では無いのですが、何故が今までの何かと残したいと言う気持ちからかやってしまいました」曝け出す、自分の全てを出した言葉。
それは虚しく、無情にもこの空に響くだけ。でも「良いんじゃ無いんですが、それで。自分のやりたい様にやれ無い人生なら、捨ててしまいたい。だったらやりたいようにやって捨ててしまいたい。と感じる方がよっぽど有意義で、楽しいんです。だから良いんじゃないんですか?」若僧が知った様に叩く台詞では無いが、伝わった様だ。
「ですな、ならば私はやりたい様にやります。それで失敗すればまたそれも成功ですから」と言い、吹っ切れた様で良かった。
それから暫くして露天風呂から上がり、服を制服からジャージに着替え自動販売機で買ったジュースを飲みながら、セバスチャンさんと共に部屋に戻った。
するとそこには5分前にも関わらず全員が集合して居り、何とも遅れた感があるが副会長さんが全員が揃ったから始めると言う感じで、今からやる物の趣旨を説明し始めた。
「今からやるのは題して!春だよ、春何だよ!でもね、大肝試し大会!だにゃぁ」んー、センスの無さとか合わせて10点かな。10000点中のだけど。
肝試し、その名の通りどれだけ肝が座って居るかを試す物なのだが、この辺りに別段廃病院などの面白物件がある訳では無い。一様セバスチャンさんが近くのお寺と話を付けてくれたらしく、墓地を借りる事が出来たらしい。
とは言っても色々と有ったせいで疲れが溜まって居て、眠たい。なので曖昧な意識をギリギリにさせながら歩いて居た。が、所詮は素人が探検する感覚で行った肝試し。脅かし役がいない為サクラさんが「怖いよぉ」と言いながら抱き付いて来るので、頭を撫で撫でしてあげて居た。
そして本腰を入れる様に狩り?まぁ、カッコ良く言っても痛く聞こえるがまぁ違反者狩りなのには違いない。
が、30分と思いの外早く終わり、漸く眠りに付けた。しかも1人だと思いたかったが、サクラさんが「あの、その肝試しがあったから」と言って来たので、その夏海を見る様な感じで一緒に寝て上げちゃいました。
こんな僕は間違っていますか?如何ですか。
朝、まぁ妹みたいとは言っても血縁者以外が同じベットに居るのは如何も気を張ってしまう。一睡もとは言わないが、全く眠れなかったと言う状況に近い。
少しだけ寝てしまったせいで、余計な眠気まで着いて来るが、かなり覚束ない足で朝食を食べ、今日のもう残りは少しだけ遠くに行き、景色を見るぐらいなのでそれまで我慢だ。
何を食べて居るのかさえ分からないが、何故だろう。眠気からかな、甘えグセが出てしまう。
目の前に居る姉さんに身体を預ける様にしながら、買われていたメイドカチューシャを付けながらご飯を食べさせて貰った。
恥ずかしくはない、恥ずかしくはない。うん、恥ずかしい。だけど寝ぼけ過ぎて訳が分からん。
ホテルを出様とした所でセバスチャンさんが見送りに来てくれた。
「たった1日にも満たない時間でしが、とても楽しく仕事をさせて頂きました。いやはや、年を取ると多少涙脆く成ってしまう節があります。何時も、何時もこの楽しく自分が自分で居られる時間が永遠に続いてくれれば、何れだけ幸せなのかと思いますが如何やら今回はそれを悔い改める事に成りました。楽しい時間は何れだけ自分が楽しませるのかに有り、そして人との出会いがまあそれを紡ぎ出すと。この年に成ってから知るのには遅く思えますが、とても有意義な時間が何時も流れて居た。と知れました。誠に有難く、私は思って居ります」そう感情をぶつけた言葉をすると礼をして、僕達はただ笑顔を彼に向け、バスに乗り込んだ。
礼を立たせたセバスチャンさんだが、大きな堅いのせいかバスの窓まで余裕で顔が届き、惜しげさの中に嬉しさと期待、寂しさなどの色々な事を考えて居るのが分かる。
すると最後にこんな言葉を残してくれた。「私は『サヨナラ』と言うか、別れの言葉が嫌いです。それは全てに等しくあり、特に今回はそうよく思わせる物でした。なので、無礼とは承知ですが言わせて貰います。人の運命とは神様の類稀無い何かに寄って、それこそ天文学的数字の様な無限に折り重なる何かに寄って決まって居ります。ならば、一度絡まったこの運命、もう一度何処かで引き合うでしょう。それまでの間、無病息災を心から祈って居ります」その言葉が聞こえ、バスはアクセルが踏まれたのかエンジン音が鳴り響き、発車された。
本当、良い人だったなセバスチャンさん。それはそうと激しく眠気が身体中を襲って居る。暖かく適温なバスの車内で、しかも多少の揺れが眠気を更に活発に活動させ、僕に眠りと言う快楽への道を見せて来る。
また横に座って居る副会長さんや姉さんが僕の腕を抱き締め、柔らかくも硬い何とも言えない感覚が腕に伝わって来るが、そんな事を気にして居る余裕は全く無い。
丁度何時も体重を預けて居る方に姉さんが居るので、姉さんに身体を寄り掛からせながら姉さんの有無など聞かず、眠りに着いた。
まぁ何時もやられて居る事の仕返しだと思えば、随分と安い物だ。
さて、意識が段段と消えて行くのが分かる、良い夢が見れる事を祈ろう。
「恋ちゃん、恋ちゃん。お家に着いたよ」天使や女神の様に優しく、僕に語り掛けて来る声。同時に肩の辺りをゆさゆさと揺らされ、ゆっくりと目が冴えて行きまだ寝ぼけが残って居るが今の状況に気づいた。
周りには九条先生と姉さんしか居らず、如何やらバスで1人1人の家まで運んび最後らしい。
取り敢えず荷物だけはしっかりと手で持ち、あとは姉さんに抱き着きながら運んでもらう事にした。
九条先生が羨ましそうな顔で見て居るので頭を撫で、真っ赤で気持ち良さそうな表情をしたのでバスを居り、帰って来た我が家に。
姉さんが扉を開け、あまり家族仲は宜しくは無いが「ただいま」と一様言ったと言う感じで言った瞬間、何だろ突然顔が暗闇と共に柔らかい感触に溢れて居る。背中からも誰かが抱き付いてるし、あと何か視線を感じるね。
「良かった、私の大事な大事な恋ちゃんが無事に帰って来て。お母さん、一日中心配で心配で気が気でなかったんだから」母さんがそう言いながら、更に正面からの抱き締めを強くし、怪我は無く無事で済んだのに最後の最後にやらかしそうなので顔を上げた瞬間、後ろから抱き締めて居た天音姉さんの指先が首筋を撫でる、なぞる様に敏感な反応を誘う様にやり、小悪魔の様な微笑みを見せながら喋った。
「私にだけ、何も言わないで出て行った罰として今度お姉ちゃんと、お泊りの有るデートだからね。約束破っちゃダメだよ」ああ、火花が。火花が僕を中心として散りまくってるよ。
父さん、助けて。いや無理か。何か持ち前の技量で空気に溶け込んでるし。
自分で切り抜けろとそう言いたい訳ですか、何か旅行に行く前にもこんな父さんを見た気がするが、まぁ今はこの場を収める物があるから大丈夫かな。
手をズラし、自由に動ける様にさせて買って来たお土産を取り出し夏海はまだ帰って来て居ないが、残りの人に渡してこの場を沈めた。
そしてお土産に書かれている文字、天音姉さんは兎も角他の2人は読めてしまいそうなので逃げる感じで部屋に移動し、忘れない様にと夏海へのお土産を枕元に置き、制服から着替えて再度眠りに着いてしまった。
だが、今回は曖昧な。とても見ていてスッキリとしない夢が頭の中にモヤモヤと浮かぶ。如何にも居心地が悪くなり、目を冷ますとそこには僕の横に寄り添う様な形で寝て居る夏海が居た。
1日足らずの時間だったが、如何してこうも新鮮味があるのか。
それと、お土産を取り出し黄色の六角水晶型文字入りペンダントを夏海の首に掛けた瞬間、あの時のセバスチャンさんの言葉を思い出した。
『Danke, mein Schatz』そう刻まれた水晶、本当何処にでもありそうだが、意味はドイツ語で「ありがとう、私の宝物」と言う、気恥ずかしいが多分僕にぴったりな言葉だと思う。
優しく、久しぶりに感じる様に夏海の頭を撫でて居ると扉をノックする音が聞こえ、扉の方に顔を向けてみるとそこには「どうやら、本当に恋様と運命が絡み合って居た様ですな。それにまさかあの時、私が始めて抱かせて頂いた赤ちゃんが恋様とは。何とも今に成って嬉しくも大人に成ってしまったと言う感じが有りますな」あ、え、じゃなくて!
もしかしてセバスチャンさんが言ってたお屋敷って舞川、母さんの事?何だろ、世間の狭さが「それと護衛ですが、私が担当する事に成りました。この不詳セバスチャン、恋様の身の安全は絶対にお護り致します」何だろ、笑うしかな出来ないや。
こうして僕の旅行は幕を閉じたが、何か引っ張って居るのが分かる。しかもズルズルとおおきな物まで。
次回からは番外編を投稿して行きます。




